染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
パンチングメタルは材質や穴のあけ方によりたくさんの種類が存在します。防音材のカバーやフィルター、デザイン性のある外壁としても使われたりと用途はさまざまです。
この記事では「パンチングメタルとはそもそも何?」という疑問についても説明するほか、主に使われている材質やサイズ、穴の種類についても解説します。
引用元:Mitsuri金属部品カタログ
パンチングメタルとは、穴あけの加工が施された金属の板のことを指します。
その名の通り、金属板がパンチング(打ち抜き)加工と呼ばれる方法で穴あけされており、切削加工などと比べて短時間かつ安価に加工できる点が特徴です。
引用元:松陽産業株式会社
パンチング加工は上図のようにパンチとダイと呼ばれる専用の金型を使用します。金型を使用することで、大量生産されるパンチングメタルの穴寸法とピッチをすべて均一に制作することが可能です。
また、使用する金型を変えることによって穴の形状を丸穴以外にも加工できます。
参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!
基本的に使用されている材質は主にスチール・ステンレス・アルミがあり、用途によって使用される材質は異なります。
スチールは上記の材質のなかでは比較的安価で加工性に優れています。ステンレスは耐食性に優れていることから屋外での設置や化学施設、食品設備など幅広く使われている材質です。アルミは強度こそ乏しいものの、加工性・耐食性に優れ、軽量でもあることから、車両や電気機器、機械部品に使用されています。
パンチングメタルのサイズは取り扱い店により異なりますが、基本的には各材質の定尺サイズで取り扱われることがほとんどです。定尺とは、市場で標準的に流通しているサイズのことを表しており、材質によってそのサイズは異なります。
引用元:toishi.info
上表は各材質の定尺材のサイズをまとめた表です。
パンチングメタルの材質はスチール・ステンレス・アルミが多く使われており、上表のSPCC・SPHC・SECC・SGCCがスチール、SUSがステンレスを表します。パンチングメタルのスチールのサイズは914mm×1829mmが主に取り扱われており、SUSとアルミは1000mm×2000mmが取り扱われていることが多いです。メーカーによってはスチールの1219mm×2438mmなどのサイズも扱っているので、一般的でないサイズが欲しい場合は問い合わせてみましょう。
サイズは長さと幅以外にも厚みを検討する必要があります。厚みも定尺と同じように、材質によって流通している寸法が異なります。厚みはパンチングメタルの穴寸法、ピッチ、開口率にも左右されますが、おおよそ0.5mm~3.0mmまで扱われていることが多いです。
ここではパンチングメタルの代表的な種類を紹介します。パンチングメタルは、ひとつの穴形状に対して穴の配列が複数あるので種類は多岐に渡ります。
引用元:メタルテック株式会社
丸穴はパンチングメタルの中でも最も使用されているタイプと言っても良いでしょう。丸穴は上図左の「丸穴千鳥(またの名を60°千鳥)」と呼ばれるタイプが一般的に扱われています。上記以外にも、上図中央のような「丸穴角千鳥(45°千鳥)」、上図右のような並列に配置された「丸穴並列(直列90°千鳥)」も取り扱いのあるメーカーは多いでしょう。丸穴の派生として丸と十字の模様を組み合わせた種類も存在します。
引用元:メタルテック株式会社
長穴も丸穴と同様に千鳥状の穴配置が基本的ですが、それ以外にもたくさんの打ち抜きパターンが存在します。
上図の左上から順に「長穴(サイド)千鳥」「長穴(エンド)千鳥」「長穴並列(直列)」「ヘリンボン」「長穴綾抜き」とあり、メーカーによっては穴の端部が丸形状か角形状かを選ぶこともできます。
引用元:メタルテック株式会社
角穴は穴形状が正方形となっているタイプで、上図の左から順に「角穴直列」「角穴千鳥」「斜角抜(ダイヤ)」の種類が一般的です。
パンチングメタルは通気用カバーや防音パネル、建築の外装など用途が幅広く、製品事例は多岐に渡ります。ここでは一部の使用例を見てみましょう。
丸穴60°千鳥のパンチングメタルが採用されているスピーカーカバーとなります。上図は薄型テレビ用として使用されていますが、テレビ以外の音響製品や電気機器にも使われることが多いです。
こちらも丸穴60°千鳥のパンチングメタルを使用しています。パンチングメタルは防音壁に多く使用されており、穴があることで吸音材の効果を高める効果があるほか、カバーの役割としても優秀です。高速道路にはこちらの防音壁以外にも、防音のために高架の裏面にパンチングメタルが使用されていることもあります。
集合住宅の外壁に飛び出しているエアコンの室外機の目隠しかつ、通気性も持たせるために木目調塗装のパンチングメタルを使用しています。打ち抜きパターンは丸穴45°千鳥を採用。
上図では目隠しとして使用していますが、パンチングメタルはその他にもデザイン性を重視したものを使用することで、外観の雰囲気を向上させることも可能です。
パンチングメタルを選定の際には、サイズと種類だけでなく、「穴の配列」「ピッチ方向」「開口率」も見ておく必要があります。
引用元:株式会社布引製作所
パンチングメタルの穴の配列は、千鳥状に打ち抜きされたものが一般的に使われています。ただし千鳥とは一口に言っても、穴の配列する角度を変えることによって、見た目にも大きく変化が見られるでしょう。千鳥以外には並列に打ち抜かれた穴配列もあるほか、長穴のパンチングメタルに関しては、ヘリンボンや綾抜きと呼ばれる特殊なパターンの取り扱いもあるメーカーが多いです。
引用元:メタルテック株式会社
その他にも穴の配列は、「飛ばし型」と呼ばれるパターンのものもあります。飛ばし型は、板の厚み・穴同士のピッチが狭すぎることでパンチング加工が困難な場合に採用される配列です。飛ばし型の特徴は、上図のように板材の左右の両端部が一段毎に穴が飛び出したかのような配列になります。
引用元:メタルテック株式会社
ピッチ方向とは、穴の向きを表しています。上図は左右どちらも60°千鳥の打ち抜きパターンとなりますが、ピッチ方向を変えることで見た目が大きく異なりますので購入の際には注意が必要です。上図左は一般的な千鳥の配置で「通常千鳥」、上図右は通常とは異なる打ち抜きパターンであることから「逆抜千鳥」と呼ばれています。
引用元:メタルテック株式会社
長穴に関しても同様に穴の向きの違いで上図のような違いが出るため、連続でパンチングメタルを配置する場合や、指定の形状がある場合は、ピッチ方向に注意して選定するようにしてください。
開口率とは、穴がまだ空けられていない板材の全体面積に対して、どれだけパンチング加工によって穴が空けられたかを指し示す数値となります。開口率の単位は%にて表示されています。開口率はフィルターとして使用する際、もし透過率を上げたいのなら開口率も上げる必要がありますが、穴を空けすぎることで強度が乏しくなる、歪みがでやすくなるといったことがあるので注意が必要です。開口率を大きく上げたい場合はメーカーに対応できるか相談すると良いでしょう。
パンチングメタルとは、金属板にパンチング(打ち抜き)加工を施し、穴あけされた製品のことを言い、材質はスチール・ステンレス・アルミが一般的に流通しています。
サイズについては、材質により定尺の寸法が異なりますが、1000mm×2000mm程度のものなら、取り扱っているメーカーは多いです。パンチングメタルには穴の形状が主に丸穴・長穴・角穴の3種あります。同じ穴の種類でも配列が変わることで雰囲気は大きく変わるでしょう。
もしパンチングメタルの購入を検討している場合はMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上のメーカーと提携しているため、あなたのご希望に沿うメーカーが見つかります。お気軽にお問い合わせください。
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