2024-09-18
更新
染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
ISO9001は、国際的に通用する品質マネジメントシステム規格のことです。ISO9001認証の取得は、品質の高い製品やサービスを提供するための仕組みを構築して運用し、その運用状況を適切に管理していることの証となります。
取引先や顧客などからの信頼獲得やアピール、業務の効率化、企業体質の改善、従業員の意識向上などのメリットがありますが、取得と維持にコストがかかるというデメリットもあります。
この記事では、そもそもISOとは何かというところから、ISO9001や品質マネジメントシステムの内容、ISO9001と業務改善についてもわかりやすく解説していきます。
ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)というスイス・ジュネーブに本部を置く非営利法人のことです。
その名称の通り、日本国内だけでなく海外でも通用する、国際的に認められた国際規格を策定しています。つまり、ISOは、国際的な取引をスムーズにするため、世界中で同じ形状・寸法・材質・品質・性能・機能・安全性の製品やサービスを提供できるように規格を定めているのです。
このISOが定めた国際規格を「ISO規格」と呼ぶほか、単に「ISO」と呼んでISO規格を指すこともあります。
ISOは、特に電気や通信を除いた工業規格を策定しています。ISOが定める工業規格の中には、製品や部品の具体的な寸法や形状などを定めた「モノ規格」や、組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)を定めた「マネジメントシステム規格」などがあります。
モノ規格については、例えば、以下が挙げられます。
・ISO68…ネジ
・ISO7010…非常口のマーク
・ISO5800…フィルム感度
・ISO/IEC7810…クレジット・キャッシュカードのサイズ
私たちは、ISO規格に適合した製品を選ぶことで、世界中どこでも同等の製品を手に入れることができます。逆に、ISO規格に適合した製品は、世界の多くの国で標準的に使用されているものであり、販路を世界に広げることも可能となります。
一方、マネジメントシステム規格には、例えば、以下のような規格があります。
・ISO9001…商品やサービスの品質向上を目的とした品質マネジメントシステム規格
・ISO14001…企業活動の環境に対する影響を最小限に留めることを目的とした環境マネジメントシステム規格
・ISO27001… 情報の機密性・完全性・可用性を適切に管理し、情報を有効活用することを目的とした情報セキュリティマネジメント規格
・ISO45001…労働安全衛生上のリスクを管理し、継続的に労働安全衛生システムの改善を図ることを目的とした労働安全衛生マネジメントシステム規格
これらのマネジメントシステム規格は、企業全体のほか、事業所や工場、部門単位でも取得することが可能です。そして、この規格を取得した組織は、品質や環境などに関して、国際標準レベルの行き届いた管理を行っていることを示します。
そのため、品質マネジメントシステム規格を取得した工場で生産された製品は、一定レベル以上の品質であることが期待できます。また、情報セキュリティマネジメント規格を取得した工場であれば、機密情報が徹底管理されていることが期待できるため、機密を含んだ部品の製造も安心して依頼することができるでしょう。
参考:【ISO認証とは?】メリット・デメリットも合わせて分かりやすく解説
ISO9001とは、企業や工場が提供している製品やサービスの品質向上を目的としたマネジメントシステム規格のことです。
つまり、ISO9001を取得している企業・工場は、製品・サービスの品質向上のため、製造過程から顧客への提供までのプロセスで、国際基準の管理体制を敷いていることを示します。それは、最終的に提供される製品・サービスについて、一定レベル以上の品質を保証していることを意味します。また、ISO9001では、品質のほか、顧客に対する価格や納期などについても定めており、最終的に顧客満足を達成することを目標としています。
実際にISO9001を取得するには、ISOが発行している「ISO9001」に記載された「規格要求事項」の全てを満たす必要があります。具体的には、以下を実行することが必要です。
1. 準備…担当者と工場や部門単位といったISO9001の取得範囲を決める
2. 標準化…品質向上が可能で、規格要求事項を満たす、事業運営の手順やルールを決める
3. 文書化…決定した手順やルールを文書化する
4. 実行…文書化した手順やルールに沿って実行する
5. 記録…実行した結果を文書に残す
6. 評価…結果の有効性や効果を評価する
7. 改善…問題点があれば見直すと共に、より良い方法に改善する
ISO9001に準拠するということは、この「標準化」で始まり「改善」で終わるプロセスを日常的に行っていくことです。
そして、この一連のプロセスを行った後、問題がなければ、ISO審査機関の審査を受けます。組織が決めて実行したプロセスがISO9001の規格要求事項に適合し、ISO9001の仕組みが現場レベルでも機能していると認定されれば、ISO9001の認証取得となります。
なお、ISOは国際規格を策定している機関ですので、ISOが発行しているISO9001は英文で書かれています。「JIS Q9001」は、それを日本工業標準調査会(JISC)が翻訳したもので、日本国内で円滑に利用するためにJIS規格として発行されています。
品質マネジメントシステムとは、製造した製品や提供するサービスの品質を管理する仕組みのことです。
つまり、品質マネジメントシステムの運用とは、製品の受注から製造、納品までの過程やサービスを考案して提供するまでの過程における手順やルールを予め決めて実行し、結果を評価して改善していく活動のことです。それにより、一定品質の製品・サービスをいつでもどのような顧客に対しても提供できるようにします。
具体的には、上述した「標準化」から「改善」までのプロセスを何度も実行していくことですが、それはPDCAサイクルを回していくことと同義です(上図参照)。
ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムには、そのマネジメントシステムそのものを継続的に改善していく仕組みが備わっています。PDCAサイクルで言えば、「A」の「Act」で行われます。そのため、PDCAサイクルの一回りに一回、改善の機会があることになります。
例えば、作業手順を簡素化したり、設備の配置を変更したりなど、少しでも事業や組織の運営が良くなれば、それは改善です。もちろん、適用した改善は、文書化した上で、その改善の有効性や効果を評価することが必要となります。
この日常的な改善のほか、ISO9001には、マネジメントレビューという改善の機会があります。
マネジメントレビューとは、日常的に実施してきた品質マネジメントシステムの運用について振り返りを行い、成果や問題点などを考察する経営管理活動のことです。必須の活動として、ISO9001の規格要求事項に記述されています。
マネジメントレビューでは、以下のような項目に基づき、経営層が組織の品質マネジメントシステムを検証して、品質マネジメントシステムの変更や改善を指示します。
・これまでの品質マネジメントシステムの運用の結果
・市場状況や顧客要求の変化、法令規制要求事項の変更といった外部の変化から生じた課題
・組織変更や新製品・サービスの導入、設計変更、工程変更といった内部の変化から生じた課題
・顧客や購買先、外部委託先といった利害関係者からのフィードバック
・内部監査や外部監査から提示された問題や課題
これらの情報を元に、従来の品質マネジメントシステムを検証し、今後運用していく品質マネジメントシステムを再構築していくのです。
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