射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も

2023-11-06

射出成形とは、プラスチックなどを加工する代表的な方法の一つです。あまり聞き慣れないかもしれませんが、私たちの生活の中では欠かせない加工方法と言っても過言ではありません。例えば、私たちが毎日使用するスマートフォンやパソコンの部品製造に使用されているほか、自動車や電化製品のパーツとしても広く利用されています。

今回は、この射出成形をテーマに、基本的な知識に加え、その加工の流れや仕組み、メリットなど幅広い内容について解説いたします。また、最後には、3Dプリンターや押出成形など、他の加工方法との比較をしながら、射出成形についてさらにご説明いたします。これから射出成形を用いた製品の加工を検討している方、また射出成形についてさらに知識を深めたい方はぜひご一読ください。

射出成形は金型を用いた合成樹脂などの加工法

射出成形は、プラスチックなどの合成樹脂を用いた製品や部品を加工するのに最もメジャーな方法です。射出成形では、金型を用いて成形を行います。プラスチックなどの材料を加熱して溶かし、金型に流し込み、その後冷却することで目的とした形状を得る方法です。

射出成形は、複雑な形状の成形にも対応できるほか、連続して加工が行えるため大量生産にも向いている加工方法で、幅広い分野で使用されています。

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射出成形の加工フローと射出成形機の仕組み

次に、射出成形の加工の流れについて見ていきましょう。射出成形の加工の流れは、一般に次のような工程となります。これらの工程を繰り返し行うことで、製品を連続して大量に生産することが可能となります。

引用元:ポリプラスチックス株式会社

<射出成形の加工フロー>

①型締め:金型が開かないように、金型を閉じて締め付けます。

②射出:ノズルを金型に押しつけ、溶融した材料を金型の中に圧力で流し込みます。

③保圧:金型の圧を保ちます。

④冷却:金型内に注入された材料が固まるよう冷やします。

⑤型開き:成形後、金型を開きます。

⑥製品の取出し:成形品を取り出します。

射出成形機は、上述した一連の加工の全工程を一台で行うことができる機械で、下図のような構造から成り立っています。

引用元:ポリプラスチックス株式会社

射出成形機は、上図に示したように、主に型締ユニット(図の左側)と射出ユニット(図の右側)で構成されています。型締ユニットには、金型の装着や開閉、また成形後の製品をピンを用いて突き出して取り出しを容易にするといった役割があります。

また、射出ユニットは、プラスチックなどの材料を加熱することで溶かし、金型内へ注入する役割があります。上図に示した、ホッパーから材料を投入し、ヒーターなどを用いてシリンダー内で材料を溶融させます。この熱を加えて材料を溶かすことを「可塑化」と言います。

また、シリンダー内には、スクリューがあります。このスクリューを回転させることで材料を混ぜ、材料の温度を均一にするほか、スクリューの進み具合によって射出する材料の量などを調整しています。

なお、金型はキャビティ (雌型)とコア(雄型)から成り立ち、キャビティーが固定側、コアが可動側となり、開閉します。

参考:キャビコアって何?正体、構造、仕組みを解説!

射出成形のメリット

射出成形のメリットには次のような点が挙げられます。

まず、射出成形ではさまざまな形状・サイズの製品や部品の加工が行えます。複雑な形状にも対応できるほか、射出成形で加工したあとは仕上げなどの後加工工程がほとんど必要ありません。

また、前述したとおり、射出成形は連続して、大量に、素早く加工ができることから、非常に生産性の良い加工方法と言えます。初期投資として製品に合わせた金型の製作が必要となりますが、一度金型を製作してしまえば、製品の生産時には、材料のみ準備すれば加工が行うことができます。

射出成形の用途

射出成形で加工されたプラスチック製品の用途は実にさまざまで、私たちの生活に欠かすことができないものばかりです。

例えば、ドライバーやハサミの取手、雑貨などの日用品、スマートフォンや携帯電話、パソコン、テレビゲームのコントローラー、また自動車部品から、テレビや洗濯機、プリンターといった電化製品、さらにはDVDやブルーレイディスクなど、さまざまな製品が挙げられます。

このことから、射出成形は現在の私たちの暮らしに欠かせない、非常に重要な加工方法であるということがわかります。

3Dプリンターとの違い

プラスチックの加工方法には、射出成形のほかにもさまざまな加工方法があります。その一つが、3Dプリンターを用いた方法です。

3Dプリンターは、ご存知の通り、3次元的なデジタルモデルから、物体を作り出す(プリントする)ことができる機械です。3Dプリンターでは、3DCADの設計データを基に、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことによって、立体モデルを製作します。

3Dプリンターと射出成形の最大の違いは、金型の有無です。上述した通り、射出成形では、製品の設計に合わせた専用の金型を作成する必要がありますが、3Dプリンターでは金型は必要なく、その分コストや時間を節約できます。また、射出成形では射出成形機を用いて加工を行いますが、プラスチックの性質や温度、熱、金型設計などの要素は作業者によってコントロールされており、職人の経験などに基づいて成形品の品質を保ち、加工の多様性を広げられる方法と言えます。

一方、3Dプリンターでは、設計時にはもちろん製品設計者の知識・経験などが必要になりますが、加工時には、射出成形と比べると人間によってコントロールされている部分が少なく、製品の表現方法はある意味限定されてしまいます。

3Dプリンターは、手軽でかつ金型では離型することが難しいような形状でも簡単に造形することができること、また導入コストが安く済むといったメリットはあります。一方で、使用できるプラスチック材料はまだ限られていることや、造形物の大きさによっては一つの製品を作るのにとても時間がかかってしまうなどといったデメリットも挙げられます。

他にも、3Dプリンターでは、積層の測面はどうしても層状に段々と積み重なることから、精度が荒い面になってしまい、積層方向への強度が弱くなってしまいます。そのため、外観部品として使用する場合には、二次加工を必要とすることが多く、量産部品の製造として3Dプリンターを使用するのはまだ難しい部分が多いのが現状です。

参考:3Dプリンターとは?3Dプリンターの基礎を丁寧に解説!

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押出成形との違い

引用元:西村陶業株式会社

プラスチックの成形加工で射出成形に次いで多く利用されているのが「押出成形」です。

押出成形とは、上図に示したような成形機を用いて、押出口(ダイ)からプラスチックが押出されてくることによって、連続的に製品の成形を行う加工方法です。

金型の役割を果たすダイは、製品の形状に合わせてさまざまな種類があります。このように、射出成形と押出成形では成形の方法が違うということがわかりますが、他にも加工時の冷却するタイミングも異なります。射出成形では、金型を開く前に金型内で冷却していたのに対し、押出成形ではダイを通過した後に冷却を行います。そのため、押出成形ではダイから押出された成形品の変形を抑えるために、サイジングと呼ばれる冷却用の金型を用いて、設計通りの寸法に固めていくという工程が必要となります。

参考:【押出加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!

Mitsuriは、押出成形加工に対応している多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

本記事では、射出成形をテーマに、その基本的な知識に加え、加工の流れや仕組み、メリット、さらに3Dプリンターや押出成形など、他の加工方法と比較しながら、射出成形について詳しく解説しましたが、いかがでしたか。プラスチックを加工する方法にはさまざまな方法がありますが、中でも射出成形は最も汎用性・応用性に優れ、仕上がりの品質も非常に高い加工方法となります。これから、プラスチック製品の加工を予定されている方は、ぜひ射出成形での加工もご検討ください。

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