2025-01-13
更新
製造業界で欠かせないのが「CAD」と呼ばれるソフトです。
CADの発売により、これまで手作業で行っていた設計図の作成がパソコンとCADを使うことで格段に時間短縮されました。
今回は新たにCADソフトを導入しようという方に向けて、製造業界で使われているCADの種類をご紹介します。
CAD(キャド)は「Computer Aided Design」の頭文字をとった略語で、それまでは手作業で製作された設計図をコンピュータを使って手軽に作成できるようにしたソフトです。
CADを使うことでスピーディに作業できるようになったことはもちろん、手書きではどうしても困難だった小さなズレなどもより正確に作成できるようになりました。さらにCADを使えば修正履歴も保存できるので、ログをしっかり残しておきたい時にも便利です。
また、データで管理が可能なので、紙を保存しておく手間や場所も必要ありません。共有したい場合はファックスや郵送の必要もないので、確認したい時にすぐチェックできるのもメリットの一つです。
CADは大きく分けて、「2DCAD」「3DCAD」の2つの種類があります。
2DCADとは二次元データの製図を行うCADのことをいいます。図面を平面・正面・側面からなる大三角法によって製図されます。
2DCADは3DCADに比べて導入が比較的行いやすいため、2DCADのみ導入している企業も多くあります。一方で図面の読み取りにスキルが必須となるので手間がかかりやすく、図面読み取りや加工の検討などいくつもの工程を挟まなければいけません。
一方の3DCADは三次元データの製図が行えます。立体で表現できるため、作りたい形状を理想に近い状態で再現できます。立体そのものを見ながら作業できるので、加工方法の検討に要する時間も短縮されます。また、3Dモデルから2D図面の作成も行えるので、3DCADさえあれば2D図面の作成も容易にできるでしょう。
ただし、3DCADは操作の慣れが必要なので、企業によっては対応していないところも多く見られます。しかし近年では、そのデメリットも希薄化しているとも言われています。3Dプリンタなどの登場により、3DCADデータの活躍の場が広がったからです。「フリーCAD」という無料で使える3DCADもあり、個人レベルでは以前よりも簡単に作成できるようになりました。
CADに関する記事:【2D CADと3D CADの違い】 | CADの基礎知識
(引用元:キャド研)
CADを使っていく中で、中間ファイルというワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
CADは用途や目的別にたくさんの種類があります。しかし、双方でデータの共有などを行いたい場合、先方が同じCADファイルを使用していなければ読み込みができません。 CADには多くの種類があり、それぞれのソフト内の構造が異なるため、データが開けない恐れがあるからです。例えば、Power Pointで作った画像をExcelに貼り付けるためには、まずjpegの画像形式にデータを変換しなければいけません。
その変換するためのファイルとしてCADで使われているのが「中間ファイル」と呼ばれるものです。これは共通のデータが読み込めるCADファイルを介することで、データの読み込みが可能になる仕組みです。
ちなみにこの中間ファイルは、特に3DCADを使うときによく使われます。
2DCAD、3DCADデータにはそれぞれ使用する際の用途やメリットがあることがわかりました。
次に2DCADデータの種類と特徴を紹介していきます。ここで紹介する種類は製造業界でよく使われているもので、他業界、他職種となるとその種類はもっと多くなります。
DWGはAutodesk社が策定している形式で、AutoCAD標準のファイル形式です。そのため、AutoCADを用いてファイルを作成した場合には、こちらの形式で作成されます。
しかし、AutoCAD標準のファイル形式であるにも関わらず、なぜDWGの拡張子である「.dwg」が存在するのでしょうか。それは、DWG形式のCAD図面、そしてAutoCAD自体がCAD業界全体の事実上の標準になっているからです。DWGが事実上のスタンダードになっていますが、全部のCADがDWG形式に対応している訳ではありません。なぜならDWGの形式の使用は非公開とされており、他ソフトウェアでの対応が困難だからです。
では、対応が容易ではないにも関わらずDWGが業界のスタンダードであると、使用しているソフトでDWG形式の図面ファイルが開けず困ってしまう人も多いはずです。そんなときに活躍するのが、次に紹介するDXFファイルです。
DXFはAUTODESK社で定められているファイル形式です。 AUTODESK社はCADの中でもトップシェアであり、その高さから業界の中では最もスタンダードなファイル形式とされています。 仕様が公開されているため、CADソフトの中でもDXFに対応しているCADがたくさん存在しています。仕様の解説書も販売されているので、 CADを初めて使う方でも安心して導入できるでしょう。
DXFの特徴は、データの互換性があること。DXFはAutoCADの異なったバージョン間で互換性を持たせるために策定されました。そのため、バージョンで未対応の内容がファイル内に記載されていても、該当箇所を読み飛ばすことで読み込みができるという特徴があります。
また、DXF形式はテキスト形式なので、テキストエディタ等で開いて内容をチェックできるという特徴があります。
SLDDRWは、Dassault Systemes SolidWorks Corpによって開発されたファイルです。SolidWorks CADソフトウェアプログラムを使って作られた独自のCADファイルで、 .SLDPRTや.SLDASMをはじめ、CADデザインを含むSLDDRWファイルを使えばデザインをシミュレートしてPCに公開することが可能です。また、SOLIDWORKS®固有ファイルの表示はもちろん、DWG、DXFファイルの表示や印刷ができます。
Adobe Illustratorは、画像と文字が組み合わさったレイアウト作成や図形や線が組み合わさったイラストを作る際に使います。
使い方のチュートリアルが公式に掲載されているので、初めてソフトを使う方でも安心して取り組めます。さらに7日間無料の体験版もあるので、気軽に試しやすいのもポイントです。
Jw(JWW)_CADの大きな特徴として、無料で使えることが挙げられます。フリーとはいえ高い機能が実装されており、凡庸性が高いことから独自にカスタマイズできることも広く普及しているポイントと言えるでしょう。
ちなみに公式ではWindowsのみの対応とされていますが、MacOS XでJw(JWW)_CADを動かせるソフト「Jw_CAD for Mac」も無料で配布されています。
次に3Dデータの種類と特徴を紹介します。
STEPは国際標準化機構(ISO)で規格されているファイル形式で、国際標準として広く普及されています。中間ファイルとしてソフトウェアプログラム間の互換性を上げ、設計をさらに容易にできるように作られました。
STEPの大きな特徴は、精度の高さにあります。モデルを保存する際、フィーチャを通常の幾何学的図形に単純化しないことによって高い寸法精度が維持できます。そのため、細部まで正確に保存することができるのです。
また、モデルをエクスポートした後でもモデルを編集及びカスタマイズできます。STEPはファイル形式で本体全体が保存されるので、後からモデルを再編集することも可能です。そのため、コラボレーション、クロスプラットフォームの設計、モデルの共有が簡単になります。
STEPのデメリットとして挙げられるのが、ファイル容量が大きくとられてしまうこと。ほとんどの3Dモデルよりも同じモデルを保存した際にファイルサイズが大きくなってしまいます。さらにモデルの特定のテクスチャ、マテリアル、ライティングの情報は保存できません。
x_tも中間ファイルの一つで、ソリッドデータが化けにくいというメリットがあります。ただし、バージョンがたくさんあるため、 CADのバージョンが低い場合は開けなくなるかもしれません。
SLDPRTファイルを使うと、アセンブリモデルの設計や、それらをSLDASMファイル、技術画面、アニメーション、シミュレーションとして保存が可能です。ただし、SLDPRTは専用のプロジェクトビューアツールを使用しなければ表示されません。
また、SLDASMファイル内にあるプロジェクト全てを公開する必要がなく、自分のプロジェクト関連部分のみを共有できます。
IGESは米国規格境界(ANSI)で策定されたファイル形式で、世界基準となっているCADの一つです。国内では主に自動車業界での需要が高いですが、製造業界でも多くの企業で使用されています。
ただし、標準とはいえ全ての仕様の表現が可能な訳ではなく、互換性が一番高いファイル形式に翻訳しなければいけません。
3DMはopenNURBS Initiativeによって開発されたファイルで、3D NURBS CADファイルとも呼ばれています。
3Dモデルデータ(サーフェス、ポイント、カーブに関する情報など)が格納されており、メタデータとフォーマット属性も保存できます。
3DMは用途が幅広く、モデルデータをたくさんの CADやグラフィカルプログラム、CAE、CAMソフトウェア間で保存、共有できます。この凡庸性の高さからNURBSとポリゴン表現を利用でき、さまざまなデバイスやプログラム間で3Dジオメトリデータの交換が可能です。
CATIA V5はダッソー・システムズが開発したソフトです。世界で一番使われていると言われており、3DCADの中でも特に高性能とされています。ワークベンチの数が豊富なのが特徴で、ナレッジエンジニアリング、デザイン面作成、解析、生産加工関連など、幅広い分野に特化したさまざまなワークベンチを持ち、複雑な形でも再現が可能です。
ただし、高性能な分、独学で習得することは容易ではありません。体験版などもないため、CADを扱い慣れている人におすすめです。CADの操作に慣れていない方は、まず別のフリーCADを使って慣れておいた方がいいかもしれません。
パラメトリック・フィーチャー・ベース・モデリングを基本とした、3Dソリッドモデリングの操作ができます。ソリッドの外形形状データを他のソリッドと寸法値との合致関係情報で保持しているので、寸法や関係の変更をする際は簡単に修正することが可能です。
また、削除や形状の追加が自由にできるので、形状全体を一つの演算式として持っておく必要はありません。このような編集作業による形状計算の待ち時間が発生しないことも、Creoの特長の一つです。
Solid Edgeは1995年にWindowsベースのミッドレンジCADとして発表されました。Solid Edge独自の「シンクロナス・テクノロジー」は、ダイレクトモデリングのシンプルさとスピード、そしてパラメトリック設計の制御と柔軟性が合わさったモデリングです。
寸法を変更することによりモデルが壊れてしまうという懸念点を、Solid Edgeはダイレクト編集によって即時対応化を実現しました。さらにアセンブリ内の図面との連想性や位置拘束も保ったままになります。
NXは柔軟で自由度の高い設計手法が可能です。大きな特長はシンクロナスモデリング機能の搭載。NX以外のCADソフトで作られた履歴データがないモデルに対しても、ダイレクトに編集できます。
生産設備・装置設計・機械の設計プロセスや製品形状の特徴に着目して開発された、iCAD SX。なんと100万部品をわずか0.2秒の早さで処理する、高速3DCADエンジンが搭載されています。他ソフトに搭載されているものと比較すると、iCAD SXは200倍の処理が可能です。この処理速度により、開発リードタイムの短縮が実現できるでしょう。
STLファイルは3Dプリンタなどのデファクトスタンダードとして広く使われています。
ただし、幅広いソフトの表現を再現できる程度の互換性はありません。3Dモデルの形状が複雑だったり、情報量が多かったりすると再現性は下がります。完璧な互換を保証するものではないので、大切なデータを扱う際には注意しましょう。
本記事では製造業界で使われているCADを紹介しましたが、自動車や建築業界となるとさらに多くの種類があります。またCADの種類によって、その特長や仕事で対応できる幅はかなり異なってくるでしょう。
CADはものづくりをしていく中で、私たちとは切っても切れない関係にある大切なツールです。日々の仕事で使うものだからこそ、CAD選びは慎重に行ってみてくださいね。
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