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合金鋼の種類と特徴、性質

鉄鋼 | 2021年04月25日

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合金鋼とは、鉄と炭素以外の合金元素を一定量以上含む鋼のことです。鋼の五元素と呼ばれる炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄を規定量以上含む合金や、その他の元素を一定量以上含有する鋼のことを指します。

ステンレス鋼も合金鋼の一種であり、高張力鋼や工具鋼の一部も合金鋼に分類されます。その特徴は、種類によって様々であり、耐食性や耐熱性に優れるもの、強度が高いもの、加工性が良好なものなどがあります。

この記事では、合金鋼の詳細や種類、種類によって異なる性質を解説していきます。

合金鋼とは?特徴について

合金鋼とは、炭素量が0.02~2.14%である炭素鋼に炭素以外の合金元素が一定量以上加えられた鋼のことです。化学成分による分類では、炭素鋼の対となる鋼であるとも言えます。普通鋼に対する特殊鋼を合金鋼と同一視することもあります。

ISOでは、下表のように合金鋼が含む添加元素の含有率の下限が定められており、一つ又は複数の元素の含有率が下表の値を超える場合に合金鋼と呼びます。ただし、優れた効果を持つ元素であれば、下表の元素以外を含む場合でも合金鋼と呼ぶことがあります。

(単位:%)

アルミニウム(Al)

ホウ素(B)

コバルト(Co)

クロム(Cr)

銅(Cu)

ランタン(La)

モリブデン(Mo)

ニオブ(Nb)

0.1

0.0008

0.1

0.3

0.4

0.05

0.08

0.06

ニッケル(Ni)

鉛(Pb)

セレン(Se)

テルル(Te)

チタン(Ti)

バナジウム(V)

タングステン(W)

ジルコニウム(Zr)

0.3

0.4

0.1

0.1

0.05

0.1

0.1

0.05

参照元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)

合金鋼は、含有する合金元素の総量によって、以下のように分類することがあります。

●低合金鋼:5%以下

●中合金鋼:5~10%

●高合金鋼:10%以上

合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。

したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。ただし、合金鋼に共通することとして、炭素鋼と比べて高価であり、市場に出回っている形状や寸法のバリエーションも貧弱であることが挙げられます。

参考:鉄と鋼の違い(強度・重さ・硬さ)

参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など

合金鋼の種類

合金鋼には、様々な種類がありますが、ここでは代表的な合金鋼について紹介します。

ステンレス鋼

ステンレス鋼は、キッチンのシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。

クロムを多量に含有するものや、クロムとニッケルを多量に含有するものなど、その種類は多様です。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などがあります。

耐熱鋼

耐熱鋼とは、高温環境下においても優れた耐酸化性や強度、腐食耐性を保持する合金鋼のことです。エンジン部品や炉の材料などに用いられます。

JIS規格においては、SUH(Steel Use Heat Resisting)で始まる「SUH31」などが耐熱鋼として規定されていますが、それらも化学成分上はステンレス鋼の一種です。「SUS304」などのオーステナイト系ステンレス鋼の一部も耐熱鋼に分類されています。

そのほか、モリブデンを数パーセント含むモリブデン鋼や、クロムとモリブデンをわずかに含むクロムモリブデン鋼も耐熱鋼と呼ばれることがあります。

高張力鋼(ハイテン)

高張力鋼とは、高い引張強さを持つ合金鋼のことです。引張強さがおよそ490 MPa以上のものを指します。特に高強度のものでは1000 MPaを超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。なお、代表的な炭素鋼である「SS400」の引張強さは、400 MPaです。

シリコンやマンガンなどの合金元素の添加や、金属組織の制御などを行うことで高い強度を実現しています。

高圧容器や橋梁、建築のほか、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの材料に用いられます。特に、自動車向けには、高強度である分だけ薄くできるため、自動車の軽量化に役立っています。

合金工具鋼・高速度工具鋼

合金工具鋼と高速度工具鋼は、工作機械に用いられる工具鋼のうち、炭素工具鋼と呼ばれる炭素鋼が材料ではない工具鋼のことです。

合金工具鋼は、炭素工具鋼では硬度や靭性、耐摩耗性などが不足する場合に、工具の材料として選ばれます。一方、高速度工具鋼は、ハイスとも呼ばれ、高温下の硬度や耐軟化性に強みがある工具の材料です。

合金工具鋼と高速度工具鋼はそれぞれ、タングステンやクロム、モリブデン、バナジウムなどの合金元素を加えるなどして性質を調整したものです。

クロムモリブデン鋼

クロムモリブデン鋼とは、クロムを1%程度、モリブデンを0.15~0.45%含む合金鋼のことです。クロムとモリブデンの含有量は少なく、低合金鋼に分類されます。

高い強度と靭性を示し、耐熱性にも優れています。溶接が容易で、焼入れを行いやすい素材です。クロムなどの鉄鋼の耐食性に貢献する化学成分を含みますが、それらの量は少なく、ステンレスほどの耐食性はありません。

ボルトナット類やエンジン部品、自転車のフレームなどの用途がある合金鋼です。

参考:SCM435(クロムモリブデン鋼)材質、硬度、強度、比重、用途

合金鋼と錆

金や白金などを除くほとんどの金属は、空気中の酸素や水分と反応して錆を生じます。その中でも鉄は、比較的錆びやすく、表面に酸化物の皮膜を生じて金属特有の光沢が失われます。この酸化物の皮膜が、錆と言われるものです。

しかし、ステンレス鋼では、空気中においてクロムによって形成された数ナノメートルの酸化皮膜が表面を覆うことで金属内部の腐食を保護しています。さらに、その酸化皮膜が透明であり、外観がほとんど変化しないことから、ステンレスの酸化皮膜は錆と認識されていません。

また、酸化皮膜の耐食性は、クロムの含有量が多いほど高くなり、12%程度に達するまで耐食性は向上します(下図左図)。もちろん、この酸化皮膜が破れると、そこから錆が生じる可能性があります。しかし、鋼中のクロムはその傷を自己修復する機能があるため、皮膜は瞬時に再生されます(下図右図)。

引用元:日本製鉄株式会社(2005)「モノづくりの原点 科学の世界VOL.22」p2

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Mitsuri編集部
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