初心者から分かる!板金加工におけるVA・VEの取り組みとは?

板金加工の基礎

初心者から分かる!板金加工におけるVA・VEの取り組みとは?

板金加工業においても、製品を商品として売り出すにあたり、コスト品質向上の課題はつきものです。そんな中で、現在様々な企業でVA・VEの取り組みが行われています。本記事では、「そもそもVA・VEって何?」という方にもわかるVA・VEの概要と、取り組みの事例をご紹介します。

VA・VEとは?

“ VA”とは、“ Value Analysis”(価値分析)を示します。価値(V)=機能・品質(F)/コスト(C)で表され、品質を向上もしくは維持しながらコストを抑えることによって、製品の価値を最大化することを目的とした取り組みです。

VAと併用してよく使用される言葉“VE”は、“Value Engineering”を意味し、基本的に同義として使われていますが、設計検討段階から価値の最大化を考える“VE”に対して、量産化している既存製品についてバリューチェーン全体の視野からコストダウンを行うものを“VA”として区別する場合もあります。

板金加工のコストを決める要因

どの企業も、少しでもコストを削減して製造したいと考えるものですが、板金加工のコストはどのような要因に左右されるのでしょうか。

大きく分けると、①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立て、の四つが要因として挙げられます。

板金加工のコスト要因

①イニシャルコスト

②材料

③加工方法

④組み立て


①イニシャルコスト

一般的な曲げや溶接などでは、イニシャルコストはあまりかかりませんが、例えば絞り加工を行う際などは、金型を必要とします。簡易金型を採用できるよう設計することで、金型にかかるイニシャルコストを抑えることができます。

②材料

材料に関しては、加工に使用して残った部分が廃棄され、無駄なロスが生じています。コストを抑えるコツとしては、定尺という決まった板の寸法を考慮することで無駄を抑えることができます。

③加工方法

曲げ・溶接などの加工方法では、板厚や施工によって曲げ限界に違いがあったり、溶接しづらい構造溶接後の仕上げが必要な構造で設計を行うと、溶接加工に時間がかかるなど、コストアップに繋がってしまいます。

④組み立て

最終的な組み立て作業で、図面上では成立していても実際の現場ではスパナを回すことができない、または部材同士が緩衝して組み立てられないなどの事象が発生することもあります。

以上のような要因に対処していくには、設計者が部材の加工方法をしっかりと知った上で図面を書くことが必要です。加工を知らないと、結果として段取りが多く歩留まりの悪い加工方法を強いる図面になってしまい、コストアップ・オーバースペックを招いてしまうのです。

VA・VEの取り組み事例

VA・VEの取り組みとして、コスト要因である①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立てに着目しながら事例をご紹介します。

①イニシャルコストに対する取り組み

【Before】プレス金型を用いて行う絞り加工は、通常の方法では、板厚や絞り深さ、高さを気にすることなく設計することができます。しかし、金型製作期間が長い上、物によっては数百万円もする高価なものまであり、製品原価に大きな影響を与えかねません。

【After】このような場合の対処方法として、簡易金型の使用が挙げられます。深く絞ることができない簡易金型ですが、切断・溶接を併せて行うことで、深絞りのような形状を生み出すことが可能になります。

■このように、簡易金型に追加工を施すことで、イニシャルコスト低減を図ることができます。

事例参考・画像URL:精密板金コストダウン.COM

②材料に対する取り組み

【Before】一般的に、耐食性が必要な機械部品にはステンレス材料、中でもSUS304が使用されます。しかし、加工の観点で見ると、SUS304は加工性が悪く、機械加工のコストが高くなる傾向があります。

【After】同じステンレスでも、材料をSUS304から加工性に優れたSUS303に変更することで、コストを削減することが可能になります。耐食性を重視する場合には、SUS316なども選択肢として検討します。

■このように、一口でステンレスとしても、品番によって様々な特性をもっており、加工性・耐食性も異なるため、入念に検討することが必要です。

事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COM

③加工方法に対する取り組み

【Before】TIG溶接を行った後の仕上げ工程では、何度も段階的に細めのディスクで仕上げ研磨作業を行わなければならず、溶接工程以上に研削工程で工数がかかりコストアップにつながってしまうことがあります。

【After】そこで、YAGレーザー溶接を採用することで、溶接ビードが細く、きれいな仕上がりが可能になります。外観上の美しさをそこまで追求しない場合には、溶接焼けの除去だけで済むため、研磨工程を大きく削減することができます。

■このように、YAGレーザー溶接に置き替えたことで、溶接後の工程を削減でき、溶接自体のコストが高くても、トータルで見るとコストダウンにつなげることができます。

事例参考・画像URL:板金加工コストダウン

④組み立てに対する取り組み

【Before】機械や装置を組み立てる際、ステンレスやアルミなどのフラットな部品同士をネジやボルトで組み立てるとなると、両方の部品の位置を正確に合わせることが難しくなります。部品が大きくなるほど困難になり、組み立て作業に時間が費やされてしまいます。

【After】一方に切り欠きを入れ、位置合わせがしやすいようにすることで、時間が短縮されコストダウンにつながります。大きな機械部品や重い部品ほど、時間短縮が可能になります。

■このように、効率よく組み立てられるように設計するためには、構成する部品の改善を考える必要があります。

事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COM

まとめ

現在、様々な企業で、コストダウン時間短縮に向けたVA・VEの取り組みがなされていることがわかりました。機械やシステムがますます発達する今日ですが、これからも現場の技術者達が生み出す工夫や改良に注目していきたいですね。

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Mitsuri編集部

Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

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