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TPMの8本柱と進め方基礎|製造業の生産性向上

2025-01-15

更新

この記事を監修した人

金属加工業界最大級のマッチングプラットフォーム「Mitsuri」を手掛ける企業。
「未来の製造業をつくる」をモットーに、製造業DXを推進している。

TPMは、全員参加の生産保全と訳される生産システムに対する管理技術の一つです。製造業で採用されることが多く、ロスを徹底的に無くすことで、生産活動を効率化し、生産性を向上させることができます。

TPMの直接的な目的は、企業利益の向上ですが、企業の構成員の意識改革や企業体質の変革にも繋がるマネジメント手法とされ、日本国内だけでなく世界中の工場でも採用されています。

この記事では、TPMの詳細から、TPMの具体的な活動であるTPMの8本柱、TPMを導入した際の効果、TPMの進め方までを解説していきます。

TPMとは?

TPM(Total Productive Maintenance)とは、製造業において生産システムで発生するあらゆるロスを無くすことによって、利益の拡大と持続的な利益の確保を実現する活動のことです。「全員参加の生産保全」などと訳され、生産部門だけでなく開発や営業などのあらゆる部門が関わり、現場の作業員からトップに至るまでの全員が参加して、ロス・ゼロの達成を目指します。

16大ロス

TPMでは、生産システムで発生しやすい16の基本的なロスを挙げています。その16大ロスは、大きく以下の3種類に分類されます。

・設備の効率化を阻害するロス

・人の効率化を阻害するロス

・原単位の効率化を阻害するロス

「設備の効率化を阻害するロス」は、設備の故障や取り扱い方法の不備などを原因とするロスのことです。このロスによって、操業時間内の正味の稼働時間が目減りし、製品の生産という付加価値の創出に繋がらないムダな時間が発生します(上図参照)。このロスについては、以下の8つが挙げられます。

1.故障ロス

2.段取り・調整ロス

3.刃具交換ロス

4.立上がりロス

5.速度低下ロス

6.チョコ停・空転ロス

7.不良・手直しロス

8.シャットダウン(SD)ロス

なお、「チョコ停」とは、生産設備の不良や製品の欠陥などで設備にトラブルが起こり、一時的に設備や生産が停止する現象のことで、「空転ロス」とも呼ばれます。


「人の効率化を阻害するロス」は、人員の不効率な配置や動作マニュアルの不備などを原因とするロスのことです。このロスによって、就業工数の内に企業利益を生み出さない工数が発生します(上図参照)。このロスについては、以下の5つが挙げられます。

9.管理ロス

10.動作ロス

11.編成ロス

12.自動化置換ロス

13.測定調整ロス

「自動化置換ロス」とは、自動化が可能であるにも関わらず、人手での作業を維持することで生じる人的ロスのことです。

「原単位の効率化を阻害するロス」は、材料やエネルギーなどのインプットから完成品というアウトプットを生み出す際に生じるモノやエネルギーのロスのことです(上図参照)。このロスについては、以下の3つが挙げられます。

14..歩留まりロス

15.エネルギーロス

16.型・治工具ロス


TPMでは、はじめに、この16大ロスを参考にして、潜在しているロスを洗い出します。その上で、ロス・ゼロを目指した活動を行うとともに、ロスを未然防止する仕組みを構築していきます。

TPMの8本柱

ロスの把握が完了した後、ロスの排除と予防を行うため、「TPMの8本柱」と呼ばれる8つの活動に全員参加で取り組みます。

●個別改善

生産ラインごとや設備ごとなど、個別のプロセスや設備で発生しているロスを調査して把握し、排除する活動のことです。個々のロスを排除することで、生産システム全体の効率化を図ります。

●自主保全

作業員が自分が取り扱う設備や作業を行う現場を自主的に整備して保全する活動のことです。設備のオペレータであれば、設備の点検や部品交換、修理などを自分で行います。また、オペレータか否かに関わらず、自分が作業する現場の保全を行うとともに、作業のムリ・ムダ・ムラなどを排除して作業を改善します。

●計画保全

設備の故障低減や寿命延長を目的に保守部門が取り組む活動のことです。故障時の迅速な復帰のための予備品管理、故障の発生を最小化する保守作業のスケジュール管理、設備の劣化診断などを行うことによる予知保全体制の確立、保全費の最適化などを行います。

●初期管理

製品や設備の開発段階から生産時や稼働時に発生するロスを予想して開発を行い、事前にロスの発生を最小化する活動のことです。製品の改善情報を収集して製品開発に反映するなどの活動も含みます。

●品質保全

不良やクレームによるロスを防ぐ活動のことです。不良の出ない最適な条件の調査とその条件の維持管理を行うとともに、不良発生の可能性を予知して対策することで不良ロスを防ぎます。製品の検査強化ではなく、工程の最適化や設備の条件設定などにより不良ゼロとクレームゼロを目指します。

●教育訓練

仕事に必要な知識や技能を整理して教育・訓練を最適化し、ロスを排除・予防するためのスキルアップを図る活動のことです。

●管理間接部門活動

管理・間接部門が生産現場におけるロスの削減・予防の支援を行う活動のことです。管理・間接部門でも、5Sの推進や工数の削減などによって効率化を図り、ロスの削減・防止に努めます。

●安全・環境管理

無事故・無災害を徹底するとともに、ゴミの排出量削減やCO2削減、省エネといった環境に配慮した取り組みを実施する活動のことです。

TPM導入による効果

TPM導入の目的は、企業における利益の拡大と持続的な利益の確保です。しかし、TPM活動を進めていくと、利益以外の様々な効果が得られます。

TPM導入は、製造コストや生産性、稼働率といった指標の向上に繋がるのはもちろん、不良やクレーム、災害の発生抑制にも効果があります。そしてそれは、製品シェアの拡大や経常利益の増大などに結びつき、結果として企業の利益を拡大させるでしょう。

また、作業員の自主管理の徹底や職場環境の改善のほか、部門間のコミュニケーション活動の活発化、そして企業の構成員の成長という無形の効果も期待できます。

TPM活動の進め方

TPM活動を進めるにあたっては、上述したようにロスを洗い出した後にTPMの8本柱を導入していきます。

しかしもちろん、ロスの種類は企業の実態に応じて変わるため、導入する柱も状況に応じて増減させるなど、柔軟に対応していくことが大切です。

また、TPMを導入する前に、TPMに関する教育、推進体制の整備、活動スケジュールの設定などを準備しておくと、効果が現れやすくなるでしょう。

そして、実際にTPMを導入し、展開していく際には、上図のように段階的に適用範囲を広げていくことが勧められています。

第1段階は、製造現場が対象です。ここでは、製造原価に直結するロスを排除・予防します。

第2段階では、生産技術や生産管理、品質保証、購買・人事の部門など、生産プロセス全体にTPMの適用を広げます。この段階では、製品原価に関わるロスを生産関連部門と連携して排除・予防します。

第3段階では、ビジネスプロセス全体にTPMを適用します。全社的にTPMに取り組み、キャッシュフロー上に潜むロスの全てを排除・予防します。

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