2025-01-15
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今回はツールプリセッタの種類や導入のメリットについて解説します。
ツールプリセッタは、工具の刃径や突出し量などの調整を、工作機械上ではなく、機外で行える測定機器です。ツールプリセッタを使用すると、一部の工程を削減できるため、段取り時間を大幅に短縮できます。
引用元:共立精機株式会社 ツールプリセッタ AMⅢ-5030
ツールプリセッタとは、切削工具を意味する「tool:ツール」と、事前にセットするという意味の「preset:プリセット」が組み合わさっているように、加工に必要な工具の径や突出し長さを、工作機械の機外で測定する機器のことを指します。
NC工作機械やマシニングセンタでは、加工の際にとある地点から設定した地点までを移動するようプログラムを設定します。このとき、同じ設定のまま工具の径や突出し長さが変化すると、その分だけ得られる寸法に変化が生じます。
特に高い寸法精度が求められるボーリング加工のような場合は、細かい調整が必要です。ツールプリセッタなしだと、工具の調整やテストカットなどを繰り返し行わなければなりません。
このような場合、ツールプリセッタを利用することで、事前に工具径などを調整しておくことができ、高精度の加工を効率よく行えるようになります。
ツールプリセッタは、大きく分けて非接触カメラタイプ・非接触投影機タイプ・接触タイプの3種類があります。
非接触カメラタイプは、光源から映し出される刃物の影をカメラで読み込み、モニターへ映し出して測定するタイプです。
非接触カメラタイプは、刃径・高さ・角度・Rなどが個人差なくスピーディーに測定できる点がメリットで、カメラ機能を使って刃先の状態を確認することもできます。
非接触投影機タイプは、ハロゲンランプの光源から刃物の影を投影して測定するタイプです。
XとZ軸のクロスヘアに合わせて、刃径や高さの数値を測定します。クロスヘアを回転させれば、角度の測定も可能です。
ただし、見る角度や位置などによっては個人差が出る場合があり、精密な測定には向きません。
接触タイプは、非接触カメラや非接触投影機タイプのような光源はなく、刃物を直接測定子に当てて刃径や高さの数値を測定します。
接触タイプは、測定子に直接触れる測定のため、高い精度が得られます。ただし、ダイヤルゲージの合わせ方によって個人差が出てしまう点に注意が必要です。
また、角度の測定は不可能なほか、鋭利な超硬の刃先やダイヤモンド工具の測定では、測定子の接触により欠けが生じてしまうこともあります。
ツールプリセッタを使用すると、工具径や突出し量の外段取りが可能になり、結果的に機械の稼働率の向上が期待できます。
仮にツールプリセッタを使用しない場合、テストカット・加工後の寸法測定・工具径などの微調整を、目的の寸法が出るまで繰り返し行うことになります。繰り返し加工や調整を行うと、その分の手間が増えるだけでなく、次第に工具のチップも摩耗してしまいます。
ツールプリセッタは、テストカットや工具径などの微調整をする手間が省けるので、加工に費やす時間が大幅に短縮されるほか、工具の寿命を縮めることもなくなり、コストの削減に繫がります。
また、機上での工具調整は危険が伴うものですが、ツールプリセッタでは機外で工具調整を行えるので、安全性も向上します。
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