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SUS630(ステンレス鋼)磁性、成分、切削性、機械的性質

析出硬化系ステンレス | 2021年04月22日

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SUS630は、析出硬化系ステンレスの一種です。銅(Cu)を添加することで、析出硬化性を持たせており、非常に優れた強度を有しています。しかし原材料が高く、製造が難しいなどの理由から、他のステンレス鋼と比べて価格が高い点に注意が必要です。

SUS630は、クロム(Cr)の含有量がおよそ17%、ニッケル(Ni)の含有量がおよそ4%であることから、クロムとニッケルの含有量を並べて17-4PH(precipitation hardening)と呼ばれています。

耐食性はオーステナイト系に劣りますが、フェライト系よりも良好なため、精密な機械部品に多く使われています。代表的な用途として、シャフト・タービン部品・ゴルフクラブなどが挙げられます。

参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!

SUS630の磁性と熱処理

SUS630は磁性を持つステンレス鋼のため、磁石に付きます。磁性を持つステンレス鋼は、トラブルが発生しないよう、磁気を扱う場所では使えません。

SUS630は、基本的に固溶化熱処理(熱処理記号S)の後に、析出硬化熱処理(熱処理記号H)を行ってから使用されます。JIS規格では、熱処理によってH900・H1025・H1075・H1150から4段階の熱処理に分けられており、H1150からH900にかけて硬度が高くなります。

参考:ステンレスの焼き入れについて専門家が紹介!

熱処理記号について、固溶化熱処理のSはSolution treatment、Hの記号はHardening、900は華氏900度(482℃)の意味を表しています。

SUS630の化学成分

  • <SUS630の化学成分(単位:%)>

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Cu

その他

SUS630

0.07

以下

1.00

以下

1.00

以下

0.040

以下

0.030

以下

3.00~5.00

15.00~17.50

3.00~5.00

Nb

0.15~0.45

引用元:JIS G 4303:2012

SUS630は、他のステンレス鋼と異なり、銅(Cu)とニオブ(Nb)を含んでいるのが特徴です。銅を添加することで、析出硬化と呼ばれる材料の硬化現象を起こしています。また、ニオブは耐食性を高めるほか、高温強度を高める効果があります。

SUS630の機械的性質

  • <SUS630の機械的性質>

種類熱処理記号熱処理条件

耐力

Mpa

(N/mm2)


引張強さ

Mpa

(N/mm2)


伸び絞り硬さ
HBWHRCHV

SUS630

S

1020~1060℃

急冷

-

-

-

-

363以下

38以下

383以下

H900

470~490℃

空冷

1175以上

1310以上

10以上

40以上

375以上

40以上

396以上

H1025

540~560℃

空冷

1000以上

1070以上

12以上

45以上

331以上

35以上

350以上

H1075

570~590℃

空冷

860以上

1000以上

13以上

45以上

302以上

31以上

320以上

H1150

610~630℃

空冷

725以上

930以上

16以上

50以上

277以上

28以上

292以上

引用元:JIS G 4303:2012

SUS630は、JIS規格によると、固溶化熱処理をS、析出硬化処理をH900・H1025・H1075・H1150の計5種を規定しています。SUS630は、耐力・引張強さに優れ、熱処理によってはSUS304と比べて2倍以上の数値があります。

SUS630の物理的性質(比電気抵抗、熱伝導率、線膨張係数、弾性係数、磁性、比重)

  • <SUS630の物理的性質>

比電気抵抗

(常温、μΩ・cm)

熱伝導率

(100℃、cal/cm・sec・℃)

線膨張係数

(0~100℃、×10-⁶/℃)

弾性係数

(×10³)kg/mm²

磁性

比重

80

0.0440

10.8

20.0

あり

7.93

引用元:阪根商事株式会社

SUS630の加工性、切削性

SUS630は、固溶化熱処理(熱処理記号S)の場合でも硬さがあるため、切削速度が上げにくく、工具寿命は短くなる傾向にあります。SUS304と比べると切削性は良好ではあるものの、析出硬化処理を行うと、寸法が0.10~0.15%程度縮む傾向にあるため、精度の求められる加工が必要な場合は注意しなければなりません。

析出硬化後の硬度はHRC40程度のため、析出硬化後の加工もできますが、析出硬化前と比べると、加工はしにくくなります。

参考:【ステンレス加工】加工方法や加工実績について徹底解説!!

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