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【アルマイト処理・化成被膜処理とは?】目的や種類などを徹底解説!

化成処理 | 2021年04月22日

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今回のテーマは「アルマイト処理」についてです。この記事ではアルマイト処理の特徴や種類、そして別の種類でありながら加工の方法や目的が似ている「化成皮膜処理」について説明いたします。

アルマイト処理とは?仕組みを解説

アルマイト(Alumite)とはアルミニウム(Aluminum)に電気処理をして人工的に酸化被膜を作る表面処理のことです。

酸化被膜とは金属の表面を覆っている薄い膜のことです。この膜が張られることで金属が錆びるのを防ぐことができます。人工的にとありますが、酸化被膜はもともと金属が空気に触れることで自然に作られます。

ただ自然の膜は非常に薄く、水に濡れたり湿気の多い環境下にあるとすぐに剥がれて錆びてしまいます。そのため、アルマイト処理によって人工的に強い酸化被膜を作ることで、より錆びにくい膜を張るのです。

アルマイト処理はメッキ処理と同様に液体が入った水槽に浸すことで行われます。こちらがアルマイト処理の動画になります。短いですが加工の様子がよく分かるかと思います。

メッキはいろいろな金属にほどこすことが可能ですが、アルマイトはアルミニウムのみに行われます。

アルマイト処理の使用例

身近な商品でアルマイト処理がされている例を挙げると弁当箱や化粧板、また照明器具に使われていたりします。他にもアルミニウム製の建築材や医療機器など、建築業や医療の分野でも幅広く利用されています。

メッキ処理とアルマイト処理の違い

メッキ処理とアルマイト処理は水槽に製品を浸すという似たような加工の方法ですが、この二つは別の種類の表面処理として扱われます。その理由には下記の二つが挙げられます。

①処理後の状態の違い

まず、アルマイトとメッキは処理の後の状態に違いがあります。

分かりやすく画像で説明しましょう。

引用元:Koike Techno

この画像からわかる通り、実はメッキの方は上に膜が重なっているだけなのに対し、アルマイトは製品の内側を削るように重なり合っているのです。そのため、アルマイト処理の方が膜が剥がれにくく、丈夫なコーティングにできます。

②電気分解の極の違い

二つ目の違いに、金属が陽極と陰極、どちらで電気分解するのかの違いがあります。

アルマイトもメッキもどちらも水槽内に流れる電気で素材の表面を電解して別の金属をくっつけることにより膜を作りますが、アルマイトは陽極でメッキは陰極の電気を流して行います。

陽極と陰極とは電池で言う+と-のようなものですね。電気分解と電池では電極の働きとしては異なりますが、回路は似たような仕組みになっています。

以上①②の違いからアルマイト処理とメッキ処理は別の分類とされているのです。

アルマイトの特徴

アルマイト処理について一通り説明したところで、次にアルマイトが付与された製品の特徴を見ていきましょう。

今回も前編の時と同様に身近な製品を例に挙げながら説明していきます。

アルマイトがほどこされると、もれなく以下の性質が付いてきます。

アルマイトによって付与される性質

①耐食性が高くなる

②硬度が高くなる

③絶縁性を付与する

④着色して綺麗に見せることができる

①耐食性が高くなる

前述の通り、金属はアルマイト処理をほどこすことによって錆に強くなります。アルミニウム自体は錆に弱い金属ですが、アルマイト処理により劇的に耐食性が向上します。

老朽化や物をぶつけた時の衝撃で表面処理が剥がれてしまうとそこから錆びてしまいますが、基本的に膜がある状態で錆びることはありません。そのため、特に車のパーツや船を作るための部品には必須となります。

ただし、製品の中には膜が作りにくいものもあるので、その場合は検査をして耐食性を確認する必要があります。

②硬度が高くなる

アルマイトで膜を張ることでアルミが格段に硬くなります。その硬度はおよそ4倍から6倍ほど。加えて傷や摩擦にも強くなるので製品が長持ちしやすくなります。

やかんや鍋などの使用頻度の高い日用品には是非利用したいところです。

③絶縁性を付与する

アルミニウムは電気を通しやすい金属ですが、膜を張ることで電気を通さなくできます。そのため、電気を通したい時はメッキ処理の方をほどこしたり表面処理をあえてしなかったりしますね。

主に使用される例としては半導体があります。半導体とは電気を通す物質である導体電気を通さない物質である絶縁体中間の物質のことを言います。導体に分類されるのは分かりやすいところで金属や塩水絶縁体にはゴムやプラスチックなど。

画像の黒い部品が半導体ですが、片面だけをアルマイト処理することで電気の流れをコントロールすることが可能になっています。

半導体が使用されている製品には、もはや私たちの生活の中ではなくてはならないスマートフォンやパソコン冷蔵庫や洗濯機などその他多種多様なデジタル用品や電化製品に組み込まれています。

また、アルマイトの膜が剥がれているかどうかを確認する際、電気を通さなくする特性を利用することで剥がれているかどうか判断することができます。電気が通らないということはしっかり膜が張られているということですが、もし電気が通るようなら膜が剥がれているということですね。

④着色して綺麗に見せることができる

アルマイト処理でできた膜は無色透明なので好きな色に着色できます。動画で青く色づけされている場面がありましたが、それがいい例ですね。

先ほども例に出たやかんや鍋などもアルマイトで着色された製品です。

仮に何も着色しない場合、膜は透明なので製品はアルミニウムの色である銀色になることが多くなります。

アルマイト処理の種類

続いてアルマイト処理の種類について。

一概にアルマイト処理と言っても製品に必要な機能や装飾性によっていろいろな種類があります。今回は色々あるうちのよく使われる4つの方法を紹介していきます。

アルマイト処理の種類

①一般アルマイト

②硬質アルマイト

③光沢アルマイト

④カラーアルマイト

①一般アルマイト

通常のアルマイト処理です。アルマイトの特徴のところで説明したように耐食性や硬度を強化します。一般アルマイトは複雑な形状の部品から大型の製品までどんなものでも付与できます。

②硬質アルマイト

通常のアルマイト処理でもかなり硬くなりますが、それよりさらに硬くするためのアルマイト処理です。長時間加工することにより膜を厚くし、通常のアルマイトよりも5倍以上の硬さに仕上げます。

傷や摩擦にもより強くなるので、主に車のエンジンや飛行機の部品などにほどこされます。

③光沢アルマイト

化学薬品でアルミに光沢を出すアルマイトです。白や黒、銀色などのバリエーションが出せます。

反対につやを消すためのアルマイト処理もあります。

④カラーアルマイト

言葉通りカラー着色をするアルマイト処理です。特徴のところの最後に説明した部分ですね。メッキと違い、アルマイトの膜に染み込ませるように着色するので、膜が剥がれない限り色の剥げ落ちがないメリットがあります。

長年にわたる研究により赤、青、金色など様々な色で多彩な模様を描けるようになっています。

化成皮膜処理とは

化成被膜処理の仕組み

表面処理にはメッキ処理やアルマイト処理の他に化成皮膜処理という方法があります。

化成皮膜処理とは金属の耐食性を付与して塗装をするための下地となる膜を作るための加工です。製品となる金属を酸やアルカリ性水溶液を入れた水槽に浸し、塗料を金属に塗りやすくします。そうして化成皮膜処理をした膜の上から塗料を塗っていけるようにします。

引用元:表面処理薬剤

画像では分かりやすいように一段一段が分厚く描かれていますが、実物の製品ではもちろん目に見ない薄さです。では実物を見るついでに、加工の様子も動画で見てみましょう。

化成皮膜処理に使われる材料

化成皮膜処理には主にクロムという金属が使われ、鋼や亜鉛、アルミニウムなどの金属にくっつけます。

クロムとは硬くて非常に高い耐食性を持った金属で、使用例として流し台や車に使用されています。化成皮膜処理の代表的な方法にクロメート処理やパルコート処理などがあり、それらの方法はクロムを使って加工されます。

ノンクロム処理というクロムを使わない化成皮膜処理もありますが、耐食性がクロムを使った方法よりも低くなる代わりに塗料との密着性が高くなるという一長一短な効果であるため使い分けが必要です。

化成被膜処理の使用例

化成皮膜処理をほどこされた製品は主にねじや機械内部の部品など工業製品によく使われます。

普段私たちが何気なく使っている日用品にはあまり馴染みがありませんが、見えない所でいろいろな製品に表面処理がされています。


アルマイト処理はアルミニウムに耐食性や装飾性、その他様々な機能がほどこされる表面処理です。化成皮膜処理は様々な金属に耐食性を付与するのと塗装をするための下地を作るための表面処理でした。

表面処理は製品を完成させるための仕上げでもありますが、製品をより長く、そして幅広く使うためのサポートをする役割も持っているのです。

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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