表面粗さの新旧記号と書き方解説

今回は表面粗さの基礎知識について解説します。

表面粗さとは、加工したワークの表面の粗さを数値や記号で表したものです。表面粗さの値により、光沢や手触りだけでなく、摩擦力や密着性などにも影響が出てきます。そのため表面粗さは、製品の機能性を評価する上でも重要な要素となります。

表面粗さとは

表面粗さとは、加工したワークの表面の粗さを評価するための指標です。

加工したワークの表面は間隔の異なる起伏があります。この起伏が大きいものを「うねり」と呼び、微小なものは「表面粗さ」と呼びます。

引用元:大阪産業技術研究所 表面粗さの測定

表面粗さは、専用の測定機器を用いて断面曲線のデータを取得します。断面曲線から、凹凸の大きさ(波長)で分離し、大きな波長をうねり曲線、小さな波長を粗さ曲線として評価します。うねりと粗さの分離は、【JIS B 0633】の規格で定められた基準長さ(カットオフ値)を用います。

表面粗さ測定の必要性

表面粗さは、製品同士が接触するときなどの、摩擦力や気密性に影響を及ぼします。例えば軸と軸受けは、部品の表面粗さにより、接触面の摩擦力に違いが出てきます。金型と成形品のはがしやすさにおいても、表面粗さにより違いがあります。

また、製品の表面粗さが小さいものほど光沢が出るようになるなど、製品の品質にも影響が出てきます。

これらのように表面粗さは、機能性や品質の評価を行うための値として多く利用されています。

表面粗さのパラメータの種類

表面粗さのパラメータは、主に算術平均粗さのRaと、最大高さ粗さのRzが用いられています。

Ra

引用元:日進工具株式会社 各種表面粗さの求め方と三角記号

Raは、【JIS B 0601:2013】で「算術平均粗さ」と呼ばれる、高さ方向のパラメータを表します。【ISO 25178】では、Saと表記されています。

粗さ曲線とその平均値の直線で囲まれる面積を、長方形に平滑化したときの高さで平均化した値を取るため、全体的な面の評価に採用されています。

算術平均粗さは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、上図の式により求められた値を、μmの単位で表したものが算術平均粗さになります。

Rz

引用元:日進工具株式会社 各種表面粗さの求め方と三角記号

Rzは、【JIS B 0601:2013】で「最大高さ粗さ」と呼ばれる、高さ方向のパラメータで、粗さ曲線の最大値と最小値の差をμmの単位で表したもののことです。【ISO 25178】では、Szと表記されています。

最大高さ粗さは、測定の仕組み上、高い山と低い谷のある箇所だと、最大高さ粗さの値が大きくなるため、部分的なキズなどのチェックに採用されています。

Rzは、2001年よりも前のJIS規格だと「十点平均粗さ」という別のパラメータを表していたので、図面に表記されていた場合は、間違いのないよう注意して見る必要があります。また、最大高さ粗さは、旧JIS規格の場合、RmaxやRyといったパラメータで表記されていました。

測定方法の種類

表面粗さの測定方法は、大きく分けて「接触式」と「非接触式」があります。

接触式

引用元:大阪産業技術研究所 表面粗さの測定

接触式は、先端の大きさが半径数μm程度のダイヤモンド製触針(スタイラス)でワークの表面をなぞり、断面形状のデータを測定します。接触式は、従来から主流となる表面粗さの測定方法で、技術の蓄積も豊富にあります。

接触式の主な特徴は以下の通りです。

  • 明瞭な形状波形が得られる
  • 長い距離の測定が可能
  • 測定力により試料の表面にキズが付いてしまう
  • 粘着性のある試料は測定できない
  • 触針の先端のサイズにより、小さい溝は測定できない

非接触式

引用元:大阪産業技術研究所 表面粗さの測定

非接触式は、触針の代わりに光などを使って表面粗さを測定する方式です。共焦点方式や白色干渉方式など、原理の違いにより、さまざまな測定方式があります。

非接触式は二次元の表面粗さだけでなく、三次元の表面形状の測定に対応したものが多数あります。その場合は、高さ・平面度・平面プロファイルなどのさまざまな測定が可能です。

非接触式の主な特徴は以下の通りです。

  • 試料の表面をキズ付けない
  • 接触式と比べて微小な凹凸を測定できる
  • 測定時間が短い
  • 測定できる試料が限定される

新旧JIS規格の比較

引用元:Tech Note 表面性状の表し方:機械製図の基礎知識(設計精度保証編)4

表面粗さは、JIS規格に基づいて記号を図示します。表面粗さの記号は、上図のように▽記号から2度の改定がされました。しかし現在でも旧JIS規格の記号を用いているケースが多く、それぞれの記号について理解しておく必要があります。

新旧JIS規格の比較については以下の表を参考にしてみてください。

引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】表面粗さ等「表面性状」に関する表示方法を押さえる!

上表を見ると分かるように、▽の数が多いほど表面粗さが滑らかであることを意味しています。表面粗さの滑らかさによって、適用例や加工方法にも違いがあります。

▽記号ではない旧JISの表記と新JISの表記の違いは以下の通りです。

引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 表面粗さの書き方

上図のa~gは、必要に応じて数値や記号を記入するため、全ての箇所を記入しなければならないというわけではありません。

加工方法と記号

引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 表面粗さの書き方

表面粗さ記号は、上図のように加工方法や節目方向を指定できます。節目方向とは、加工でできる筋の方向を意味します。

主な加工記号の例は以下の表の通りです。

加工方法 記号 参考
旋削
外丸削り
L Turning (Lathe Turning)
面削り LFC Facing
中ぐり B Boring
平削り P Planing 
フライス削り M Milling
平フライス削り MP Plain Milling
リーマ仕上げ DR Reaming

引用元:JIS B 0122:1978 加工方法記号

上記で挙げたもの以外にも、多くの加工方法の記号があります。その他の記号について知りたい方は【JIS B 0122 加工方法記号】の規格をチェックしてみてください。

筋目方向の記号については、以下の表を参考にしてみてください。

引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 表面粗さの書き方

 

見積や調達にお困りの場合は、ぜひMitsuriをご活用ください!

図面をアップロードするだけで、加工できる工場から見積が届きます。

WEB上で見積~発注まで完結します。詳しくは下のボタンから!

メルマガ購読

Intuit Mailchimp

カテゴリ一覧