染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
ユーザーからの図面に溶接って書いてあるけど、社内に溶接に詳しい人がいない。
そんな悩みをかかえたことはありませんか?
溶接とは簡単に説明すると、金属同士を熱で溶かしてつなぎ合わせることを指します。
つなぎ合わせる材料は鉄の場合が最も多く、同じ素材、例えば鉄と鉄、ステンレスとステンレスなどであれば、問題なく溶接が可能です。
しかし、実はつなぎ合わせる材料が異なる場合でも溶接することが可能なのです。
今回は、ステンレスと鉄との溶接にスポットを当てて、溶接方法やそのポイント、事例などを紹介していきます。
ステンレスは「Stain less steel」の略でSUSとも呼ばれています。日本語に直訳すると、さびにくい鋼という意味です。
ステンレスの主成分は鉄ですが、クロムを添加することで材料の表面に酸化被膜ができて、内部が錆びにくくなります。
そのステンレスと鉄とを溶接することができるのか。
答えはイエスです。
ステンレスの主成分は鉄ですから、溶接可能ですが、異なる材質の溶接となるので、高いスキルを伴います。
同じ材質同士であれば熱伝導率も同じなので、溶接は比較的難しくはありませんが、異なる材質の場合、まず溶接棒を正しく選定することが重要です。
例えば、ステンレス(SUS304)と鉄(SS400)を溶接する場合に使用する溶接棒は、SUS309を使用したほうがよいとされます。
一般的に炭素鋼同士を溶接する場合は、低いグレード側の成分系にあった溶接材料を使いますが、今回のステンレスと鉄などの異材溶接では、ちょっと違います。
SUS304はオーステナイト系ステンレスの一般的な材料で、化学成分が18%Cr(クロム)-8%Ni(ニッケル)のため、常温でもオーステナイト組織が安定しています。
しかし、一般的な溶接材料で溶接してしまうとCrやNiの量が減少して、マルテンサイト組織に変化してしまう可能性があります。
マルテンサイト組織に変化すると、硬度があがり、硬化や割れの原因となってしまいます。
そのため、溶接棒の材料はステンレス側の化学成分を考慮した選定になります。
SS400側での溶込み量が多くなるとCr・Niの量が減ってしまい、溶接個所での高温割れが起こりやすくなります。
これがなぜ起こるのかというと、溶接した金属中のフェライト量が関係しており、フェライト量が少なくなれば少なくなるほど高温割れが発生するのです。
したがって、ステンレス(SUS304)と鉄(SS400)とを溶接する時には、溶接部の化学成分とフェライト量を調整(鉄側の溶込み量を小さくする)することが非常に大切なポイントです。
SS400とSUS304を溶接する場合の溶接棒の材料は、一般的にはSUS309系を使えばいいと言いましたが、溶接後の使用環境によってはそれでも割れが発生することがあります。
それは、常温から400°C以上での熱サイクルの環境下にある場合です。
これは、オーステナイト系ステンレス鋼の熱膨張係数は鉄の約1.5倍と大きく、熱疲労によるワレが原因となります。
そのような場合には、熱膨張係数が真ん中あたりのインコネル系(ニッケル合金)の溶接棒を使います。
ただし、インコネル系の材料でもSUS309同様に高温割れが起こるので、低電流・低速度で溶接することが必要とされています。
ブロック部分:ステンレス、その他:鉄素材。
ステンレスと鉄を溶接するポイントについて説明してきました。
結果的には、このような異材質の溶接はかなり難易度が高く、簡単にできるわけではないため、熟練した経験が必要です。
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