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ステンレスの鏡面仕上げには種類がある?種類や特徴を紹介!
2023-11-07
美しい光沢を放つ鏡面仕上げ。ステンレスの鏡面仕上げは、求める仕上がりやステンレス自体の種類によって、行う作業や扱う研磨剤が変わる非常に難易度が高い表面仕上げ加工です。
この記事では、そんなステンレスの鏡面仕上げについて、具体的な工程や種類を紹介します。自宅でDIYできる鏡面仕上げの方法や、鏡面仕上げに傷がついてしまったときや曇ってしまったときの対処法なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ステンレスの鏡面仕上げとは
鏡面仕上げとは、金属の表面を鏡のようにピカピカに仕上げる加工のことです。鏡面加工やミラー仕上げとも呼ばれます。代表的なステンレスの鏡面仕上げは、キッチンの流し台などが挙げられます。
ステンレスの鏡面仕上げは鉄材などに比べて難易度が高く、研磨職人が修行する際にも、鉄材の荒い研磨から鏡面仕上げへ、その後ステンレスの荒い研磨から鏡面仕上げへ、とステップアップしていくそうです。
また、一口に鏡面仕上げと言ってもその目的は大きく2種類あります。
ひとつは、鏡面仕上げをすることにより、その後のヘアーライン加工やアルマイト処理といった表面処理加工をしやすくするためのもの。こちらの場合は、傷を徹底的になくしていった結果鏡面のような仕上げになった、というイメージです。
もうひとつは、純粋に見た目をきれいにするためのもの。近年有名なものとしては、iPod裏面の鏡面磨きなどが代表的です。そのほか、ステンレス製のタンブラーなど、それ自体がデザインとして活躍している製品も数多く存在します。
そのほかにも、表面が滑らかになることで平滑性が向上するといったメリットも得られます。
ステンレスの鏡面仕上げの製造方法
ステンレスの鏡面仕上げの手順は、大まかに次の通りです。
①ビート除去・バリ取り
まずは、溶接によって盛り上がったビート部分や、切り離した際に残ったバリを取っていく作業です。ビートやバリがどの程度出っ張っているかにより研削の粒度を調節します。高さが1mm未満程度なら、#150の研削で十分でしょう。グラインダーを使う際の回転数は、6000~12000rpmが目安です。
②ならし
次に、研削キズ(=スクラッチ)を防止するために、①ビート除去・バリ取りで使った粒度の2倍程度の研削にかけます。回転数の目安は同じく6000~12000rpm程度。この段階で傷をしっかり消しておかないと、最終的な仕上げの際に傷が出てきてしまいます。
③ツヤ出し(中仕上げ)
ならしを終えたら、最終的な仕上がりを美しくするための中仕上げを行います。①②できちんと盛り上がりやバリが取れているか、その際の傷が残っていないかを、回転数を落として3000~5000rpm程度で確認しながら作業していきます。
④鏡面仕上げ
最後に、白棒・青棒と呼ばれる固形油性研磨剤と、フェルトなどのやわらかいバフを使って仕上げていきます。回転数は3000~8000rpm程度。一般的にステンレスの仕上げには白棒が向いているとされていますが、鏡面仕上げでは適宜青棒も使うことで、より美しく仕上がります。
また、こちらでは一連の工程を、各工程で使用する粒度まで含めて動画化されていますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
ステンレスの鏡面仕上げを種類別に紹介!
次に、ステンレスの鏡面仕上げの種類を紹介します。ステンレスの鏡面仕上げは、研磨に扱う粒度によって3つに分かれます。
#400
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引用元:板曲げ.com
#400は、名前の通り400番の粒度を持つバフで仕上げたもので、鏡面に近い光沢を持っていますが、完全な鏡面ではなくややすじが残っている状態です。建材や厨房器具に良く用いられる仕上げで、業務用のレンジフードや厨房台などに#400で仕上げられているものが多く見受けられます。
No.7
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引用元:板曲げ.com
No.7は、#400よりも細かい600番バフで仕上げたもので、準鏡面仕上げとも呼ばれます。ただ、この段階でも研磨跡自体は残っており、完全な鏡面とは言えません。主な用途は建材のほか、装飾用としても活躍します。
No.8
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引用元:板曲げ.com
No.8は、No.7で使用した600番バフよりもさらに細かい800番の鏡面用バフで仕上げたもので、ステンレスの表面処理加工としてはもっとも鏡に近い仕上げです。研磨跡もなく、建材や装飾用として使われるほか、実際に鏡として利用するのにも適しています。
自作のステンレス鏡面仕上げの方法を解説!
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引用元:株式会社テヅカ
ステンレスの鏡面仕上げは、道具さえそろえればDIYすることが可能です。リューター、サンダー、ディスクグラインダーといった電動工具を揃えれば、バイクのカバーやマフラー、車のホイールなどもぴかぴかに仕上げられます。
ステンレスの鏡面仕上げは、DIYだからといって特にする作業が大きく変わるわけではありません。傷や盛り上がりを削ってならして、徐々に粒度を細かくしていき鏡面に近づけていきます。
ただし、あまり荒い番手で削ってしまうと元の鏡面に戻すのに非常に手間がかかるため、家庭で試すならまずはピカールなどの金属研磨剤を、マイクロファイバーの布につけてごしごしとこすってみましょう。水垢・手垢などのこびりついた汚れならば、これだけでほぼ落ちるはずです。
ちなみにクレンザーなどは研磨剤が荒すぎるため、不要な傷がついてしまいますので注意しましょう。もしもピカールでは傷が消えなかったり、クレンザーなどで荒い傷がついてしまった際は、ディスクグラインダーなどで一気に削り取ることをおすすめします。安い物ならば3000円程度で購入できますので、ぜひ一度試してみください。
鏡面仕上げのステンレスについた傷の修復方法
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引用元:鋼屋
鏡面仕上げのステンレスについた傷は、ついた傷の深さによって、どの工程から行うかが変わってきます。
まずは、消したい傷の中でもっとも大きく深くついている傷がどれなのかを見極め、その傷がぎりぎり消すことのできる番手で削っていきます。
注意したいのは、ロゴなどの刻印が刻まれている箇所の場合、荒すぎる番手でいきなり削ると、刻印ごと削り取ってしまう可能性がある点です。手間はかかりますが、120番から始めるよりは240番から、それでも不安なら320番からはじめて様子を見るといいでしょう。
無事傷を消すことができたら、そこから先は通常の鏡面仕上げと同様です。徐々に番手をあげていき、元々の状態まで仕上げていきます。なお仕上げる段階で、削る方向を一方向に絞るなどすることで、ヘアライン仕上げを意図的に復活させることなども可能です。
曇った鏡面仕上げへの対処法
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引用元:株式会社テヅカ
曇りの原因によって、対処法は異なります。例えば腕時計のボディ裏の曇りなら、それは蓄積した皮脂汚れが原因です。皮脂汚れが原因の曇りは、入れ歯用洗浄剤などで漬けおき洗いすると、だいぶん見違えるようになります。
またシンクの曇りなら水垢や細かい傷の蓄積が原因ですので、まずは台所用のクリームクレンザーなど粒の細かい研磨剤で磨き、それでも傷が無くならなければ粒度を荒くして削っていく必要があります。
そのどちらでもなく、磨いている最中はピカピカしているのに、仕上げ終えるとなんだかくすんで見える、という場合は、表面が酸化して錆びがついてしまっています。これを防止するためには、最後の仕上げ段階でオイルを含ませて磨きつつ、錆びを拭き取る必要があります。
なお、鉄系材料の場合、錆びるのが速いためDIYで鏡面仕上げを復活させるのは現実的ではありません。あくまでもステンレス材だから可能な対処法です。
まとめ
今回はステンレスの鏡面仕上げについて、工程や種類から、家庭でDIYする方法まで解説しましたがいかがでしたでしょうか。
鏡面仕上げは、普段身の回りでも見かけることの多い表面仕上げで、正しい方法を押さえればDIYすることもできる、シンプルな加工法です。
しかし一方で、極限まで磨きぬけばそれそのものがデザインとしても成立する、非常に奥が深く、熟練の技術が求められる加工法でもあります。
それ以外にも、傷をなくすことが目的なのか、見栄えをよくすることが目的なのか、によっても要件は異なってきます。求めている鏡面仕上げに適した方法が選べずお困りの時には、ぜひMitsuriにご相談ください!