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溶剤塗装とは?特徴や粉体塗装との違いについて専門家が解説!

2025-01-14

更新

この記事を監修した人

志民 直人

技術営業、カスタマーサクセス

切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。

様々な塗装方法がある中で、どの塗装方法がいいのかお悩みではありませんか?

製品の加工や製作に関しての方法は見通しがたっても、完成した製品を綺麗に仕上げたいと考えると、適切な塗装の選択が不可欠です。

塗装は、単に色を付けるだけでなく、製品の強度や防錆といった重要な役割を持ちます。製品を長持ちさせるためには、正しい塗装方法の選択が重要と考えられます。

そこで、本記事では塗装方法の中で最も有名な溶剤塗装について、

  • 溶剤塗装の特徴
  • 粉体塗装との違い
  • 溶剤塗装が使われている製品

を塗装の専門家がわかりやすくご紹介しますので、塗装方法でお悩みの方はぜひご一読ください。

溶剤塗装とは

引用元:アイテック株式会社

溶剤塗装は古くから用いられてきた最もスタンダードな塗装方法で、様々な形状の対象物が塗装できます。

溶剤塗装はシンナーなどの有機溶剤に樹脂や顔料、塗料を溶かし入れ、ハケやスプレー、ペイントローラーなどで被塗物に塗っていきます。

溶剤が乾燥すると被塗物全体を覆うように塗膜ができ、被塗物の防錆性向上によって耐久性も上げられるため、色をつけていくというより「コーティングをする」と表現する方が似合っているかもしれません。

溶剤塗装は塗装方法も豊富で長い歴史もあるため、塗料や有機溶剤の配合データ蓄積量も膨大に残されているため、最も信頼性がある塗装方法でもあります。

また、溶かし入れる塗料の種類も豊富であることや、樹脂を入れて蒸発速度を容易にコントロールできることから、広範囲の塗装にも向いている特徴があります。

さらに粉体塗装と組み合わせることもできるため、複雑な模様などの表現も可能です。

ただし、有機溶剤を使用するため、保護具の着用や作業中に中毒症状に陥らないように換気設備や作業環境をしっかり管理しなければいけません。

粉体塗装と溶剤塗装の違いについて

引用元:小泉塗装工業株式会社

もう一つの代表的な塗装方法として、粉体塗装があります。粉体塗装とは有害物質を含む溶剤を使用しないため、人体や環境に優しい塗装方法として扱われ、ここ数年で急速に普及してきた塗装方法です。

粉体塗装の基本は、粉末状の塗料を静電気で被塗物に付着させ、その後の焼き付け作業にて塗料を溶かし、被塗物を覆うように色を付ける仕組みです。

そのため溶剤を使用する必要がなく、1回の塗装で塗膜にならなかった塗料は回収して再利用できるため、溶剤塗装と比べて塗装コストを大幅に抑えることができます。

また、強度がある性能の高い塗装皮膜を形成できるため、

  • 耐食性
  • 耐候性
  • 耐薬品性
  • 耐ピッチング性

に優れた塗装ができます。

反面、粉体塗装を行うには、専用の塗装ブースや塗装ガンが必要であるため、初期投資がかかります。

一方溶剤塗装は、塗装に必要な道具さえ用意すればすぐに作業を始めることができます。また、溶剤塗装は様々な種類の色を生み出すことができますが、粉体塗装は色合わせが難しく、メタリックなどの特殊な塗装ができません。

どちらの塗装方法がいいとは一概には言い切れませんので、用途によって最適な塗装方法を選びましょう。

溶剤塗装の特徴

溶剤塗装には、次のような特徴があります。

  • 対象物や目的に合わせた塗料が作れる
  • メタリックや模様など色彩の表現が豊富
  • 多様な塗装方法が選択できる
  • コストを抑えられる
  • 職人の技量によってはこだわりの塗装ができる

対象物や目的に合わせた塗料が作れる

塗料が豊富にあるため、対象物に限りなく近づけた色を作り出せるのが最大の特徴です。また、被塗物に合わせて、スプレーにするかやハケ塗りにするかなど、塗装方法も自由に決められます。

さらに、長い歴史によって培われた溶剤塗装技術は、他の塗料や塗装方法と組み合わせて使うことができるため、様々な可能性を秘めているともいえます。

メタリックや模様など色彩の表現が豊富

他の塗装方法は、多くの色のパターンを持ち合わせていないため、配色がワンパターンとなったり、要望に応えられないといったデメリットがあります。

しかし溶剤塗料は、原色が豊富にあるため、メタリックや模様柄も入れることができ、依頼主の要望を細かく表現できる大きな特徴を持っています。

多様な塗装方法が選択できる

有機溶剤は常温で揮発するため、焼き付け不可能な被塗物も問題なく塗装できます。また、用途によってハケやローラー、エアースプレー、エアレススプレー、ロールコーター、カーテンフローコーターなどの塗装方法を選べるため、細かい部分や精度が求められる被塗物にも問題なく塗ることができます。

コストを抑えられる

一般的には、大量生産品の塗装には一定量の塗料が必要になるため、ある程度の製造コストを覚悟しなければいけません。また、少量生産の場合は塗料の料金が割高になるデメリットがあります。

しかし、溶剤塗料は必要な量を用意できるため、テスト品や少量生産品であっても製造コストが上がることはないため、かなりお得な塗装方法と言えます。

さらに溶剤自体の原価も他の塗料に比べて安いため、総合的に見ると圧倒的にコストを下げられるでしょう。

職人の技量によってはこだわりの塗装ができる

昔ながらの塗装技術でもある溶剤塗装は、他の塗装方法と比べて技術を要します。

例えば、一部に塗料が偏ってムラができたときは、人の目で判断しながらその部分を塗り直し、周りの色を合わせ込んでいく修正技術が必要となります。

また、現代においても機械が塗装に失敗した時は、熟練者が上から手直しする場面も度々訪れます。そのため、溶剤塗装は職人の腕前によって左右されますが、言い換えれば「技術さえあればどんなにこだわった塗装も可能」ということになります。

もちろん、Mitsuriの協力工場にも熟練した腕を持っている職人さんがたくさんいますので、難しい塗装であっても、お気軽にご相談ください。

溶剤塗装の製品事例

溶剤塗装が用いられる製品事例をご紹介します。

まず、溶剤塗装では次のような塗料を使用します。

  • アクリル樹脂系塗料・・・安価で購入でき、カラーバリエーションも豊富
  • メラミン樹脂系塗料・・・自動車の外板用塗料で用いられ、耐水性、耐薬品性、耐熱性に優れる
  • エポキシ樹脂系塗料・・・常温硬化型と加熱硬化型があり、高度な防食性、耐薬品性がある
  • ウレタン樹脂系塗料・・・耐候性が求められる上塗りとして使用される
  • フッ素樹脂系塗料・・・耐候性に優れており、塗り替え頻度も少なくて済む
  • ラッカー・ビニル樹脂系塗料・・・塗膜が硬く、乾燥も非常に早い

また、適応素材として代表される金属は以下のものがあります。

  • SPHC(熱間圧延軟鋼板)
  • SPCC(冷間圧延鋼板)
  • SECC(亜鉛めっき鋼板)
  • SUS(ステンレス鋼)
  • AL(アルミニウム)

この素材で生み出される製品は生活必需品から工業製品まで、様々です。

例えば、日用品のハサミの柄の部分などの曲面にも、塗装が施されています。

引用元:岡野コーティング

また、大型モニュメントの塗装も可能です。

引用元:株式会社ヒバラコーポレーション

さらに、製品の防錆や耐久性を向上させる特徴をもつ塗料を使用し、工業用エアタンクを塗装したのが、下の例です。

引用元:株式会社ヒバラコーポレーション

まとめ

溶剤塗料とは、有機溶剤に樹脂や顔料、塗料を混ぜ合わせ、液体となった溶剤を被塗物に塗りつける塗装方法です。

塗装の歴史の中でも最も古く、膨大な配合データがあるため、ほぼ全ての色を作ることができるのが大きな特徴です。

さらに、熟練した職人が行えば、よりこだわった塗装ができるのも大きな魅力です。ただし、有機溶剤を使用するため、作業環境が悪くなりやすいので、換気や保護具などの準備は欠かせません。

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