2025-01-11
更新
今回は機械加工における、荒加工について解説します。
荒加工は、製品を作り上げる際に、安定して高い精度に仕上げるためや、刃物の寿命を延ばすために必要な加工です。完成品にある程度近いところまで加工をしておくと、仕上げ加工の際に、ワークの応力が開放された状態になりやすく、仕上げの寸法精度を出しやすくなります。
荒加工とは、機械加工において必要となる加工(荒加工・中仕上げ加工・仕上げ加工)の一種で、別名「粗加工」や「荒引き加工」とも呼ばれています。
荒加工は、仕上げの加工代を残した状態まで無垢のワークを削ることで、仕上げ加工を行うときの刃物や工作機械の負担を軽減できます。刃物の負担を軽減すると、同じ刃物を長く使えるので、コストを抑えることに繫がります。
また、荒加工はワークの内部応力を開放させやすくなり、仕上げ後に安定して高精度の寸法を出すのに有効です。
機械加工にて高い安定性かつ高精度のものを得るためには、荒加工のほかに「中仕上げ加工」と「仕上げ加工」を行います。
中仕上げ加工は、仕上げ加工の準備を行うための加工です。目安としては、仕上げ用の加工代である0.1~0.02mmまで削ります。
中仕上げ加工は、ワークとの接触面積を減らして切削熱を抑えるために、小径の切削工具を使います。切削にて発生する熱は、ワークの歪みが発生する原因になるので、加工の際は注意しなければなりません。荒加工の段階では大きくワークを削っており、熱が発生しているため、中仕上げ加工にてワークに発生する熱を抑える必要があります。
仕上げ加工は、設計や製品仕様で決められた寸法精度に合うものに加工するための機械加工です。
仕上げ加工の際は、加工代をなるべく均一にする必要があります。中仕上げ加工の段階で、ビビり痕のような凹凸がでないように加工しなければなりません。また、仕上げ加工の加工代は、薄すぎると切削工具がワークに食い込まなくなるので注意してください。加工代は、使用する刃物に適した寸法を残しておくことが大切です。
荒加工では、仕上げの加工代を除く不要な大部分を削ることから、主に大径の切削工具を使用します。小径の切削工具は、荒加工を行うと切削の効率が悪くなるほか、刃物の負担が大きくかかってしまい、破損しやすくなるため不向きです。
荒加工で使用する代表的な工具には以下のようなものがあります。
・フライス
・エンドミル
・ドリル
・タップ
・センタードリル
旋盤加工は、主に円筒状のワークを回転させながら、バイトの刃物を当てて切削加工を行います。旋盤加工で使用する工作機械は、汎用旋盤やNC旋盤があります。
旋盤加工の荒加工で使うバイトは、荒加工用や仕上げ加工用の製品があるので、荒加工用を使用します。荒加工用とは異なるバイトを使って荒加工を行うと、バイトの耐久性が足りず、すぐに破損してしまうので注意してください。
一方で、荒加工用のバイトは、仕上がり面に乏しいことから、仕上げ用としては使えません。
フライス加工は、フライス盤に取り付けた、フライスやエンドミルなどの工具を回転させながらワークに当てて切削を行います。フライス加工の工作機械は、汎用フライスやNCフライス、マシニングセンタなどがあります。
荒加工をするのに適した工具は、平フライスやラフィングエンドミルがあります。平フライスは荒加工用の荒刃と仕上げ用の普通刃があるので、選定の際は注意してください。
エンドミルは、刃の数が少ないほうが切粉の排出性に優れており、荒加工に適しています。
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