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RoHS指令について詳細を解説!対象範囲についてもご紹介!

RoHS指令とは、欧州連合に加盟する国で流通する電気・電子機器に関わるEUの法令です。
EUは、欧州連合(European Union)の略称で、マーストリヒト条約によって設立されたヨーロッパの地域統合体のことです。加盟国は製造業大国であるドイツをはじめ、フランス・イタリア・スペイン・ポルトガルなど27ヶ国に上ります。(2026年10月現在外務省)
本記事では、そのEU(欧州連合)に流通する電気・電子機器に関わるRoHS指令について、施行時期や改定点、規制される物質、対象製品にいたるまで、詳しく解説します。
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RoHS指令とは
RoHS(ローズ)は、Restriction of the use of the certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipmentの略称です。日本語の意味は、電気・電子機器の特定有害物質使用規制となり、RoHS(ローズ)指令とは、EU(欧州連合)に加盟する国で流通する電子・電機機器において、「特定有害物質の使用を制限する」法令のことになります。
RoHS指令の目的
RoHS指令は、サプライチェーン全体で、健康保護や環境保護へ取り組むため、化学物質の安全性をEU(欧州連合)の基準において確保することを目的にしています。
RoHS指令は、EU加盟国に対して、定められた目的を国内法で実施することを義務づける形式の法令(指令)です。規制される物質や濃度などの基本的な要件はEU全体で共通ですが、各国は指令の内容を国内法に落とし込んで運用するため、罰則や執行の方法は国ごとに異なります。EU加盟国に電気・電子機器を流通する場合は、いずれの国でもRoHS指令に適合している必要があります。
RoHS指令の制限物質
RoHS指令の対象となる範囲は、後ほどご紹介する電子機器カテゴリのサプライチェーンに関わる企業だけでなく、構成部品の製造・流通・使用についても、幅広く影響を及ぼします。
例えば、製造プロセス・製品設計・在庫管理・品質管理・サプライヤーリレーションシップ・購買・カスタマーリレーションシップなどが影響を受ける可能性があるのです。
参考記事
RoHS指令の規制物質である六価クロムや、代替に使われる三価クロムについて知りたい方は「電気亜鉛めっきとは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します!」をご覧ください。
制限物質と規制濃度
規制物質は、現段階で10品目あります。6品目は、旧RoHS指令(RoHS 1、2002/95/EC)の時点から制限されており、RoHS指令(2011/65/EU、RoHS 2)にも引き継がれました。その後、付属書IIの改正(委任指令(EU)2015/863)で4品目が追加されました。それぞれの制限物質と制限濃度をご紹介します。
RoHS 1・2で制限された6物質
- 鉛(pb)
- 水銀(Hg)
- 六価クロム(Cr6+)
- ポリ臭化ビフェニル(PBB)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
- カドミウム(Cd)
規制濃度は、カドミウムが0.01wt%(100ppm)で、それ以外は0.1wt%(1000ppm)になっています。(wt%は質量パーセント濃度の単位で、質量分率ともいいます)
規制濃度は、均質材料(部品を機械的に分離できる単一の材料)ごとに適用されます。
RoHS指令(付属書II)の改正で10物質に
RoHS指令(2011/65/EU)には、2015年の委任指令(EU)2015/863により、次のフタル酸エステル類の4品目が追加されました。(通称「RoHS 3」と呼ばれることもあります。)
新たに追加された物質
- フタル酸ビス[2-エチルヘキシル](DEHP)
- フタル酸ブチルベンジル(BBP)
- フタル酸ジブチル(DBP)
- フタル酸ジイソブチル(DIBP)
規制濃度は、4品目とも0.1wt%(1000ppm)になっています。
表面処理への影響(六価クロム)
六価クロムは、RoHS指令の制限物質の1つです。ユニクロめっき(光沢クロメート)やクロメート(有色クロメート)は、六価クロムを主成分とする処理液でクロメート処理をするため、六価クロムを含みます。規制濃度は0.1wt%(1000ppm)で、均質材料ごとに適用されます。めっき皮膜も1つの均質材料として扱われるため、電気・電子機器に使われる部品では、基準を超えるとRoHS指令に適合しません。
六価クロムの使用を禁止する仕様の場合は、ユニクロめっきの代わりに、三価ホワイト(三価クロメート)が使われています。三価ホワイトは六価クロムを使わないため、六価クロムの制限に抵触しません。防錆力は処理剤や仕様によって異なるため、必要な性能を確認したうえで選びます。めっきを選ぶときは、納入仕様書でRoHS対応の指定があるかを確認しましょう。
詳しくは、ユニクロめっきとは?亜鉛めっき/クロメートとの違いや、電気亜鉛めっきとはをご覧ください。
RoHS指令の対象範囲
RoHS指令の対象となる電子・電気機器には、一体どんなものがあるのでしょうか。
RoHS指令の制限物質10品目の対象製品は、以下の電気・電子機器になります。
RoHS指令の制限物質・対象電気電子機器
- 冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの大型家庭用電気製品
- 掃除機や時計、電動歯ブラシなどの小型家庭用電気製品
- パソコンや複写機、携帯電話などの情報技術・電気通信機器
- テレビやビデオカメラ、楽器、アンプなどの民生用機器
- ランプ類や制御装置付きの照明機器
- 半田用具やミシン、電気ドリルなどの工具
- ビデオゲームを含む玩具やレジャー用品、電気電子部分を含むスポーツ用品
- 医療機器
- 産業用を含む監視及び制御機器
- 飲料や食品、ATMを含む自動販売機
- 上記カテゴリ以外の電気・電子機器と接続ケーブル
適用除外用途
RoHS1で適用が除外されていた医療用機器や監視・制御機器も、改定後のRoHS指令2では対象となり、ほぼすべての電気・電子機器が対象となりました。
しかし、RoHS指令には、適用除外用途もあります。
軍事用・宇宙用・産業用大型固定工具・大型固定据付機器・輸送機器・ソーラーパネルなどは除外されています。
また、現在の科学技術で、特定有害物質を使用しなければ作製できない場合、代替する物質がない場合は、申請することにより期限付きですが適用除外用途とすることが可能です。
適用除外(付属書III・IV)は、期限付きで認められており、技術の進歩にあわせて見直されます。金属加工に関わる例として、鉛を合金元素として含む鋼・アルミニウム・銅合金の適用除外があります(鋼は機械加工用で0.35%以下、アルミニウムは0.4%以下、銅合金は4%以下)。これらは2025年11月に公布された委任指令(EU)2025/2364で更新され、用途ごとに期限が2026年12月〜2027年6月に設定されています。適用除外は期限が来ると使えなくなることがあるため、最新の内容は、EUの公式情報(EUR-Lex)や、取引先の指示で確認してください。
REACH規則との関係
RoHS指令と混同されやすい規制に、REACH規則があります。RoHS指令が電気・電子機器に含まれる特定の物質を制限するのに対し、REACH規則は、EUで流通する化学物質全般を対象に、登録・評価・認可・制限を行う制度です。製品によっては、両方への対応が必要になります。六価クロム化合物のように、RoHS指令の制限物質でありながら、REACH規則でも高懸念物質(SVHC)や認可の対象として扱われる物質もあります。
罰則
RoHS指令の違反に対する罰則は、EU全体で共通の金額や内容が定められているわけではありません。RoHS指令(2011/65/EU)は、加盟国に対し、指令に基づく国内法の違反について、実効的で、違反の程度に見合った、抑止力のある罰則を定めることを求めています(第23条)。
そのため、制裁金・刑事罰・製品の販売停止や回収命令といった具体的な内容は、国ごとに異なります。EU市場向けに製品を輸出する場合は、販売先の国の国内法や、現地の取引先からの要求も確認する必要があります。
また、直接的な罰則でなくても、基準に適合しない製品は販売停止や回収の対象となることがあり、取引先や市場からの信頼を損なうおそれがあります。
RoHS指令一回目改定について
RoHS指令は、度々改定が行われているEU法令です。
旧RoHS指令(通称:RoHS指令1)は、2003年2月欧州議会・理事会により制定されました。2003年2月13日に公布され、2006年7月1日に施行されています。
しかし、RoHS指令が改定されたため、RoHS指令1は、2013年1月3日に廃止されました(RoHS 2が適用開始)。
一回目の改定項目
RoHS指令の一回目に改定された項目は、以下の2点です。
1.対象製品の拡大
RoHS指令1では、適用を除外されていた医療用機器や監視・制御機器が対象製品になりました。
そして、今まで規制されていたカテゴリ以外のすべての電気・電子機器に、RoHS指令が適用されるようになりました。
2.CEマーキング制度の適用
CEマーキング制度が適用され、EU市場で初めて発売・販売する時は、CEマークの貼付が義務付けられました。
対象製品の製造者は、適合性評価を実施し適合を宣言後、CEマークを貼付しなければなりません。
適合証明できる技術文書と適合宣言書も、10年間保管することが義務付けられています。
RoHS指令二回目の改定について
一回目の改定後、2011年6月8日の欧州議会・理事会で2回目の改定が行われました。
これが、通称RoHS指令2です。2011年7月1日に公布され、2013年1月3日から適用が始まりました。
二回目の改定項目
RoHS指令1からRoHS指令2に改定された部分は、以下の2点です。
1.制限物質の追加
2015年6月4日に公布された委任指令(EU)2015/863により、フタル酸エステル類4物質が制限物質として追加されています。適用開始日は機器によって異なります(次の「規制開始時期」を参照)。
2.規制開始時期
RoHS指令2で改定された規制が開始される時期は、それぞれ違っています。
2014年7月22日より医療機器及び監視・制御機器に適用され、2016年7月22日には、体外診断用医療機器に適用されています。2017年7月22日には、工業用監視・制御機器に適用が開始されました。また、2019年7月22日に、ほぼすべての電気・電子機器が対象になり(オープンスコープ)、フタル酸エステル類4物質の制限も、多くの機器で始まりました。医療機器(体外診断用を含む)と監視・制御機器については、フタル酸エステル類の制限は2021年7月22日から適用されています。
RoHS指令は、現段階で制限物質は10品目ですが、科学技術の発達により代替できる物質が見つかれば、改定される可能性があります。規制物質の品目や対象製品も、さらに増えていくかもしれません。
サプライチェーン全体で、安全対策や環境保護のため、化学物質の安全性を確保することは、地球規模で必要とされている目的です。RoHS指令は、世界の有害物質規制の推進への参考であり、近い将来世界準拠になる可能性があります。
本記事は一般的な情報提供です。規制対応は、最新の公式情報や専門家にご確認ください。
参考:
- Directive 2011/65/EU(RoHS 2)|EUR-Lex
- Commission Delegated Directive (EU) 2015/863(フタル酸エステル類の追加)|EUR-Lex
- Commission Delegated Directive (EU) 2025/2364(鋼・アルミニウム・銅合金に含まれる鉛の適用除外の更新)|EUR-Lex
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