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RoHS指令について詳細を解説!対象範囲についてもご紹介!

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

RoHS指令とは、欧州連合に加盟する国で流通する電気・電子機器に関わるEUの法令です。

EUは、欧州連合(European Union)の略称で、マーストリヒト条約によって設立されたヨーロッパの地域統合体のことです。加盟国は製造業大国であるドイツをはじめ、フランス・イタリア・スペイン・ポルトガルなど27ヶ国に上ります。(2023年7月現在外務省)

本記事では、そのEU(欧州連合)に流通する電気・電子機器に関わるRoHS指令について、施行時期や改定点、規制される物質、対象製品にいたるまで、詳しく解説します。

RoHS指令に準拠した製品・表面処理方法をお探しなら、Mitsuriにご相談ください。

RoHS指令とは

RoHS(ローズ)は、Restriction of the use of the certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipmentの略称です。日本語の意味は、電気・電子機器の特定有害物質使用規制となり、RoHS(ローズ)指令とは、EU(欧州連合)に加盟する国で流通する電子・電機機器において、「特定有害物質の使用を制限する」法令のことになります。

RoHS指令の目的

RoHS指令は、サプライチェーン全体で、健康保護や環境保護へ取り組むため、化学物質の安全性をEU(欧州連合)の基準において確保することを目的にしています。

RoHS指令は、EU条約を基に制定されているため、各国の裁量は認められていません。EU加盟国に電気・電子機器を流通する場合は、どの国もRoHS指令を守り、違反しないようにしなければならないのです。

RoHS指令の制限物質

RoHS指令の対象となる範囲は、後ほどご紹介する電子機器カテゴリのサプライチェーンに関わる企業だけでなく、構成部品の製造・流通・使用についても、幅広く影響を及ぼします。

例えば、製造プロセス・製品設計・在庫管理・品質管理・サプライヤーリレーションシップ・購買・カスタマーリレーションシップなどが影響を受ける可能性があるのです。

参考記事

RoHS指令の規制物質である六価クロムや、代替に使われる三価クロムについて知りたい方は「電気亜鉛めっきとは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します!」をご覧ください。

制限物質と規制濃度

規制物質は、現段階で10品目あり、RoHS指令で6品目制限され、RoHS指令2で4品目追加されました。それぞれの指令で制限された物質と制限濃度をご紹介します。

RoHS指令で制限された6物質

  • 鉛(pb)
  • 水銀(Hg)
  • 六価クロム(Cr6+)
  • ポリ臭化ビフェニル(PBB)
  • ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
  • カドミウム(Cd)

規制濃度は、カドミウムが0.01wt%(100ppm)で、それ以外は0.1wt%(1000ppm)になっています。(wt%は質量パーセント濃度の単位で、質量分率ともいいます)

 

RoHS指令2で10物質に制限拡大

RoHS指令2で新しく追加された物質は、次のフタル酸エステル類の4品目です。

新たに追加された物質

  • フタル酸ビス[2-エチルヘキシル](DEHP)
  • フタル酸ブチルベンジル(BBP)
  • フタル酸ジブチル(DBP)
  • フタル酸ジイソブチル(DIBP)

規制濃度は、4品目とも0.1wt%(1000ppm)になっています。

RoHS指令の対象範囲

RoHS指令の対象となる電子・電気機器には、一体どんなものがあるのでしょうか。

RoHS指令の制限物質10品目の対象製品は、以下の電気・電子機器になります。

RoHS指令の制限物質・対象電気電子機器

  1. 冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの大型家庭用電気製品
  2. 掃除機や時計、電動歯ブラシなどの小型家庭用電気製品
  3. パソコンや複写機、携帯電話などの情報技術・電気通信機器
  4. テレビやビデオカメラ、楽器、アンプなどの民生用機器
  5. ランプ類や制御装置付きの照明機器
  6. 半田用具やミシン、電気ドリルなどの工具
  7. ビデオゲームを含む玩具やレジャー用品、電気電子部分を含むスポーツ用品
  8. 医療機器
  9. 産業用を含む監視及び制御機器
  10. 飲料や食品、ATMを含む自動販売機
  11. 上記カテゴリ以外の電気・電子機器と接続ケーブル

適用除外用途

RoHS1で適用が除外されていた医療用機器や監視・制御機器も、改定後のRoHS指令2では対象となり、ほぼすべての電気・電子機器が対象となりました。

しかし、RoHS指令には、適用除外用途もあります。

軍事用・宇宙用・産業用大型固定工具・大型固定据付機器・輸送機器・ソーラーパネルなどは除外されています。

また、現在の科学技術で、特定有害物質を使用しなければ作製できない場合、代替する物質がない場合は、申請することにより期限付きですが適用除外用途とすることが可能です。

罰則

RoHS指令に違反した場合、罰則があります。責任者は、略式裁判では法定最高額(£5,000=約60万円)以下、正式裁判では無制限の罰金刑に処される可能性があります。

また、「主要な違反者以外の人物の責任」に対しても罰則規定があり、違反に関与した第三者を告訴の対象とすることもできます。

直接的な罰則ではありませんが、RoHS指令に違反した場合は市場に公表されるため、評価やシェアを失うことになるでしょう。

RoHS指令一回目改定について

RoHS指令は、度々改定が行われているEU法令です。

旧RoHS指令(通称:RoHS指令1)は、2003年2月欧州議会・理事会により制定されました。2003年2月13日に公布され、2006年7月1日に施行されています。

しかし、RoHS指令が改定されたため、RoHS指令1は、2013年1月2日に失効しています。

一回目の改定項目

RoHS指令の一回目に改定された項目は、以下の2点です。

1.対象製品の拡大

RoHS指令1では、適用を除外されていた医療用機器や監視・制御機器が対象製品になりました。

そして、今まで規制されていたカテゴリ以外のすべての電気・電子機器に、RoHS指令が適用されるようになりました。

2.CEマーキング制度の適用

CEマーキング制度が適用され、EU市場で初めて発売・販売する時は、CEマークの貼付が義務付けられました。

対象製品の製造者は、適合性評価を実施し適合を宣言後、CEマークを貼付しなければなりません。

適合証明できる技術文書と適合宣言書も、10年間保管することが義務付けられています。

RoHS指令二回目の改定について

一回目の改定後、2011年6月8日の欧州議会・理事会で2回目の改定が行われました。

これが、通称RoHS指令2です。2011年7月1日に公布され、2013年1月3日から施行されました。

二回目の改定項目

RoHS指令1からRoHS指令2に改定された部分は、以下の2点です。

1.制限物質の追加

2015年6月4日に公布され、2019年7月22日より制限物質としてフタル酸エステル類4物質が追加されています。

2.規制開始時期

RoHS指令2で改定された規制が開始される時期は、それぞれ違っています。

2014年7月22日より医療機器及び監視・制御機器に適用され、2016年7月22日には、体外診断用医療機器に適用されています。2017年7月22日には、工業用監視・制御機器に適用が開始されました。また、2019年7月22日に、ほぼすべての電気・電子機器が対象になった上、上述制限4物質が追加されました。

RoHS指令は、現段階で制限物質は10品目ですが、科学技術の発達により代替できる物質が見つかれば、改定される可能性があります。規制物質の品目や対象製品も、さらに増えていくかもしれません。

サプライチェーン全体で、安全対策や環境保護のため、化学物質の安全性を確保することは、地球規模で必要とされている目的です。RoHS指令は、世界の有害物質規制の推進への参考であり、近い将来世界準拠になる可能性があります。

 

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