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抵抗溶接について!原理や特徴を解説!

この記事を監修した人

金属加工業界最大級のマッチングプラットフォーム「Mitsuri」を手掛ける企業。
「未来の製造業をつくる」をモットーに、製造業DXを推進している。

製品作りで欠かすことができない接合作業は、製品の強度にも関わる重要な役割を担っていますが、精密な製品の制作にはより一層の加工精度が求められることもあります。

特に金属の溶接と言えば、バチバチと火花を撒き散らしながら豪快に溶接するイメージがあると思います。

しかし溶接といっても様々な種類があり、製品によって最適な溶接方法は異なります。そのため、作りたいものによって最適な方法を選択することが非常に重要とも言えるでしょう。

そこでこの記事では、様々な溶接方法の中でも特に精度や見栄えを向上することができる抵抗溶接について詳しくご紹介します。金属の接合方法についてお悩みでしたら、ぜひ読み進めていってください。

※抵抗溶接だけでなく、溶接の基本についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

溶接中級者以上は知っている!?【溶接の10の基本知見】

抵抗溶接とは

引用元:有限会社こだま製作所

抵抗溶接とは、被溶接材を適切な力で加圧し、電気エネルギーを通して発生した抵抗熱により被溶接材を接合する方法です。

一般的に金属の溶接方法は以下の3つに分けられます。

  • 融接
  • 圧接
  • ろう接

抵抗溶接は母材である金属に適度な圧力をかけるため、「圧接」に分類されます。

補助材料を溶かし込んで接着する「ろう接」と違い、母材を直接融解させて接合するため、強度が高く比較的信頼性が高い溶接方法です。

また、金属は適切な電流を通すと一瞬で融解するため、他の溶接方法と比べて加工時間が短縮でき、大量生産品の加工にも向いているでしょう。

抵抗溶接が用いられている代表的なものと言えば、自動車のボディが挙げられます。

引用元:SankeiBiz

自動車の製造は、複雑な形状の溶接や加工後の品質も考慮され、様々な種類の抵抗溶接が用いられています。代表的な抵抗溶接は、以下の方法があります。

  • スポット溶接
  • シーム溶接

この2種類の溶接方法は、用途や目的によって使い分けられます。詳しく見ていきましょう。

※抵抗溶接だけでなく、他の溶接の種類についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

スポット溶接

引用元:ハイメカ株式会社

スポット溶接は最も有名な抵抗溶接の方法で、対象物を点で溶接するため「スポット」という呼び名が付けられています。

溶接したい金属を「チップ」と呼ばれる電極で挟み込んで加圧し、電極間に電流を流した時に発熱する抵抗熱によって母材を溶融します。

電流を流し終えると自然と冷却されて再凝固するため、2つの金属を接合することができます。

しかし、金属を適度に加圧して電流が通らなければ溶接できないため、電気が流れない被溶接材や抵抗が不十分な金属、厚板の被溶接材では用いることができません。

スポット溶接は条件管理が出来ていれば、スパッタと呼ばれる火花が散ることはほとんどありませんので、安全な溶接方法とも言えるでしょう。

しかも熟練した技術を必要とせず、安全性も高く初心者でも簡単に溶接できます。さらに発熱時間も短く、被溶接材が熱によって歪む可能性も低いため、品質を安定させられる特徴もあります。

そのため、生産性の向上に欠かせない大量生産の現場に向いている溶接方法とも言えるでしょう。

※スポット溶接についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

【スポット溶接】メリット・デメリットや他の溶接との違いを専門家が解説!

シーム溶接

引用元:トキワバネ工業株式会社

シーム溶接とは、被溶接材を円盤の電極で挟みこみ、電極を回転させながら連続で通電して生じる電気抵抗の発熱を利用して溶接する方法です。

スポット溶接と違い連続的に接合できるため、強度が高いことはもちろん、気密性を保つ製品を製造できるため、燃料タンクの製造などに用いられています。

また、電極をローラーのように回転させて母材を連続的に送り込むため、溶接速度が速く作業効率が高い方法とも言えるでしょう。

一方、シーム溶接のような線状の接合は分流を発生させやすいため高電流が必要となります。また連続的に電流を通すため電極の磨耗が早く、ある程度の製造コストが必要となります。さらに加工後の製品は熱による歪みが生じやすいという欠点もあります。

抵抗溶接の原理

抵抗溶接は被溶接材の金属を重ね合わせ、溶接する部分を電極で加圧します。そして数十アンペアから数万アンペアの電流を流して被溶接材の抵抗によって生じる熱を利用して溶融させます。

この抵抗溶接には3大条件と呼ばれる条件が存在します。

  • 電流・・・溶着部分であるナゲット(内部に形成される溶融金属部分)の大きさが変化する。低ければナゲットが形成できず、高すぎると溶融しすぎて電極に溶け込む。
  • 加圧力・・・接触抵抗が変化する。加圧が低すぎればナゲットが形成されず、高すぎるとスパッターが飛散する。
  • 通電時間・・・電流を通電させる時間。短かければ溶着が不十分となり、長すぎると溶接機器の破損に繋がる。

このように、3つの条件のうち一つでも適していなければ溶着不良や出来栄えの欠陥などの不具合が生じるため、条件管理は必ず行わなければいけません。

しかし被溶接材である金属の種類や形状によって違うため、各現場では多くのトライ&エラーを繰り返し、製品によって最適な溶接条件が管理されています。

Mitsuriは様々な溶接条件のデータを蓄積している工場とも多数提携しております。

また、抵抗溶接のプロフェッショナルもたくさんおりますので、抵抗溶接を行う工場をお探しであれば、ぜひ一度ご相談いただければ最適なご提案をさせていただきます。

抵抗溶接の特徴

圧接に分類される抵抗溶接は、他の溶接方法に比べて以下のような特徴があります。

  • 作業時間が短時間で効率的に製造できる
  • 溶接補助剤やシールドガスを必要としないため製造コストが抑えられる
  • スパッターや有害ガスの発生量が少ないため作業環境をクリーンに保てる
  • 溶接跡も比較的目立たないため出来栄えが綺麗

抵抗溶接は被溶接材に通電した時に発生する熱源を利用するため、接合用の溶接補助剤(溶接棒など)やシールドガスを使用しなくても溶接できます。作業時間も短時間であることを考えると、製造にかかるトータルコストを大幅に抑えられます。

また、アーク溶接や半自動溶接などは紫外線やスパッタ、有害なヒュームガスが発生しますが、抵抗溶接はスパッターや有害ガスはほとんど発生しません。そのため作業環境をクリーンに保つことも可能です。

一方デメリットと言える特徴もいくつか存在します。

  • 適切な条件を見つけるまで時間がかかる
  • 重ね合わせ溶接であるため溶接欠陥を発見しづらい

まず、被溶接材に合わせた適切な溶接条件を見つけなければ、溶着不良などの品質不具合が起こるため、製品としての品質を確保することができません。

特に溶接条件は製品の個体差によっても微妙に変わるため、臨機応変に条件を合わせられるノウハウも必要になるでしょう。

また、抵抗溶接は金属同士を重ね合わせた溶接となるため、溶接欠陥が内部に隠れて発見しづらいという欠点もあります。

ただし、溶接欠陥を見つけるために溶接痕に品質チェック用の「たがね」を入れて破断試験を行う「破壊検査」や、超音波で内部の溶着具合を確認する「超音波検査」など、製造現場では様々な品質管理が行われています。

しかし、溶接個所の検査として、非破壊検査は技術的に難しく、大掛かりな検査設備が必要という欠点があるため、試作やテストなどの少量生産で利用することはできても、大量生産の現場には向いていません。

そのため自動車工場などの生産現場では、決められた製造数に数個製品をサンプルとして抜き取り、溶接箇所を切断して溶接品質をチェックしたり、溶接箇所にたがねやマイナスドライバーを入れ溶接強度がしっかり確保できているかを確認するなどの破壊検査が実施されています。

まとめ

抵抗溶接は金属を結合させる方法の中でも、出来上がりの状態も非常に綺麗で、精度や見映えが求められる金属製品の製造には最適な溶接方法です。

しかし、条件管理をしっかり行わなければ品質的な不具合も招くため、確かなノウハウや品質管理が必要なのも事実です。

作りたいものがあっても専門的な知識だけでなく技術も必要となると、なかなか製品作りにトライできないというお悩みもあると思います。

そんな時は、ぜひMitsuriにご登録ください!

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