染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
生産管理の課題とその解決方法について調べている、企業ご担当者も多いかと思います。生産管理をスタートすると、さまざまな課題に直面することが想定されます。その際に、都度対策を打つよりも、事前に課題を把握して改善を図り、全体の最適化を目指すことが生産管理の成功への近道でしょう。
そこで本記事では、生産管理の課題、解決方法、システムの選び方について、詳しく解説していきます。
生産管理における課題について、以下7点を説明します。
・プロセス最適化
・標準化活動
・ヒューマンエラー防止
・不良率改善
・組織間連携
・コスト削減
・管理業務の属人化
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の課題は、プロセス最適化です。製造工程の業務内容として、原材料・部品の調達、製造ラインの作業などがありますが、全体として工程数が多く、プロセスの最適化を図ることが難しいとされています。たとえば、多種多様な製品を製造する際、工程が多いために、管理者が一つ一つの工程の進捗状況を把握することは困難でしょう。そうなると、どのようにプロセスを最適化すれば良いのか方法がわからなく最適化できない、という課題に直面してしまいます。
生産管理では、製造工程の業務プロセスを最適化できずに生産性の低下につながってしまうこともあります。
2つ目の課題は、標準化活動です。
製品を製造するための製造・生産ラインが複数ある場合、ライン毎に生産量が大きく異なることがあります。代表的な原因として作業員毎に作業の内容や進み具合など、対応品質が一定でないことが挙げられます。その結果納期にも影響したり、生産量や精度にもバラツキが生じることでしょう。
作業管理者はバラツキの発生や業務にムダがあることを把握しているものの、生産ライン数や製造製品数が多いことや、多品種少量生産のケースもあると、各工程の問題点を詳細まで把握することは困難です。
生産管理では、各工程で必要な作業の内容などを標準化できないことが、大きな課題として挙げられます。
3つ目の課題は、ヒューマンエラー防止です。
たとえば生産業務の工程におけるチェック漏れや、ミスなどが挙げられます。誤発注の問題や、過剰在庫の発生にも繋がるでしょう。ヒューマンエラーを防止するためには、作業員を増やして抜け漏れがないかを二重チェックする対応もありますが、そもそも現場に作業員が足りないという問題もあり、大きな課題と言えます。
4つ目の課題は、不良率改善です。
製造業の生産ラインで発生する、不良品発生率が改善しないことが課題として挙げられます。原因としては、前述した課題に含まれる人為的なミス、標準化ができていないことなどが挙げられるでしょう。不良率は、欠品が発生して生産計画で予定していた量に満たないケースもあり、出荷数にも影響するでしょう。顧客満足度にも関わってくるため、企業としてなんとしてでも発生率を下げたいものです。
5つ目の課題は、組織間連携です。たとえば、部署間・工場間での連携ができていないことが挙げられます。組織感連携ができていないと、製造プロセスのさまざまな問題発生にもつながるでしょう。製造工程の工程数、作業員数、工場数などが多いと、コミュニケーションの難易度も高くなるため、組織間連携の課題を感じやすいです。
6つ目の課題は、コスト削減です。生産計画において、業務適正な人員配置・原価管理・製造コスト管理が正確にできていないと、ムダなコストがかかってしまいます。製造業では、業務で日々発生するコストを削減したいものの、なかなかできないという課題を感じているところも多いです。
7つ目の課題は、管理業務の属人化です。
生産管理業務を担当している従業員が一人の場合、その従業員が不在の場合、管理業務ができないことがあります。数日程度であれば影響は少ないものの、異動・退職時には大きな問題となってしまうことでしょう。また、一人に生産管理を任せてしまうとその業務の内容を正確に評価することも難しいと言えます。企業にとって管理業務の属人化は大きな課題と言えます。
生産管理の課題解決方法について、以下5点を説明します。
・シート管理による進捗状況の可視化
・課題の明確化
・改善点の洗い出し
・ノウハウの共有
・生産管理システムの導入
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の解決方法は、シート管理による進捗状況の可視化です。工程管理シートを活用すれば、各工程の進捗状況がわかり、実際に関わっている作業員数の把握も容易に行えます。どの工程にどれくらいの費用、人的コストがかかっているのか、作業員数は適切かなどを把握することもできるでしょう。エクセルや専用ツールなどを使えば工程管理シートを効率的に作成することができます。
2つ目の解決方法は、課題の明確化です。まずは、自社の生産管理目的が何かを知り、生産現場の現状を見て、課題が何かを明確にすることが大切です。生産現場を見れば、作業員それぞれが何かしらの課題を感じているでしょう。工程管理シートと現場を比較して、進捗が遅れているのはどの生産工程なのか、計画と実際の作業内容の違いは何か、改善しなければならない点はどこかなど課題が何かを明らかにしていきます。
3つ目の解決方法は、改善点の洗い出しです。工程管理シートの進捗状況と明確化した課題から、どの工程をどのように改善すべきかを洗い出していきます。改善案によってどれくらい効果がでるのかを検証し、優先順位をつけていくことも重要です。改善点を洗い出すことは、課題を確実に解決することに効果的といえるでしょう。
4つ目の解決方法は、ノウハウの共有です。
生産工程における改善点や生産活動で直面するさまざまな課題への対処法など、作業員や管理者が持つノウハウを、関係者に共有していきます。ノウハウを共有することで、作業担当者も都度調べる手間がなくなり業務効率もアップし生産性も向上するでしょう。
また、他の部門に対しても容易にノウハウ提供ができ、部門間・組織間の連携強化も可能です。ノウハウ共有に特化したツールなどを使えば、引き継ぎも容易にでき、管理業務の属人化防止にも役立ちます。
5つ目の解決方法は、生産管理システム導入です。専用のITシステムを導入することで、生産管理の効率化を図ることができ、従業員の生産性も向上します。定型業務を自動化しているツールも多く、ヒューマンエラー防止、業務標準化、不良品の発生率削減など、生産管理で発生しがちな課題にも効果的です。生産管理システムには、生産工程に必要な機能が集約されています。
生産管理の課題を解決するシステムの選び方について、以下3点を説明します。
・導入方法
・AIによる学習が可能か
・他業務へも適用可能か
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の選び方は、導入方法です。
システムを選定する際は、そのシステムをどのような手順で導入するのか、対応環境、コストなどを細かく確認する必要があります。自社に合った導入方法でないといざ導入しようとした際に、環境が合わずに導入できなくなる可能性があるからです。
生産管理システムには、PCに直接入れるソフトウェア・物理サーバーの構築が必要なオンプレミスシステム・クラウド型のサービスなど、さまざまな種類があります。
それぞれ、料金も支払い方法も異なるため、年間でどれくらいのコストがかかるか確認しましょう。
2つ目の選び方は、AIによる学習が可能かどうかです。
近年の生産管理システムでは、単純にデータを入力するような機能だけではなく、膨大なデータから学習して、オートメーションを実現できるものもあります。
学習機能が搭載されていれば、各工程における効果的な改善点などを自動的に見つけてくれるため、人の手を介しての分析も不要となります。需要予測も自動化できるため、販売計画も立てやすくなるでしょう。システムを導入する際は、AIによる学習機能がある場合、より一層業務効率化が進む可能性があります。場合は、搭載しているかを確認することをおすすめします。その分、担当者は空いた時間を人材育成などの業務に割り当てられることでしょう。
3つ目の選び方は、他業務へも適用可能かです。システムを導入する際は、他の基幹システムへの課題にも対処することができるか、生産管理業務以外のメリットがあるかを確認することもシステム導入を成功するためのポイントの一つです。そのため、どの業務でどのような課題があるかを特定してからシステムを選定することが重要といえます。ERPパッケージなどを担当している部門などにあらかじめ話を聞くこともおすすめです。
本記事では、生産管理の課題と解決方法、システムの選び方について解説しました。企業が直面する生産管理の課題を解決するには、専用のシステムを選ぶことが効果的でしょう。導入前に、自社内のシステム方針やセキュリティなどに合った導入方法か、AIによる学習方法が搭載されているか、また、自社の他業務課題にも適用が可能かを確認してから、自社に適したシステムを選びましょう。
金属加工のマッチングならMitsuri!
法人・個人問わずご利用できます。
Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
そんな疑問に毎月メールでお届けします