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ホーニング加工とは?ホーニング加工のメリット・デメリットについても詳しく解説!

この記事を監修した人

金属加工業界最大級のマッチングプラットフォーム「Mitsuri」を手掛ける企業。
「未来の製造業をつくる」をモットーに、製造業DXを推進している。

ホーニング加工は、エンジンや油圧機器のシリンダーなど、円筒形状の機械部品の内面を高精度に研磨できる優れた加工方法です。

さらに最近では、静音性が重要視される、ハイブリッド車や電気自動車などに用いられるギアの精度を向上させるためにも用いられています。そのため、今後も引き合いが見込める加工法であり、その適用対象も拡大していく可能性があります。

今回の記事では、このホーニング加工とはどのような加工方法なのかについて解説していきます。また、類似の加工方法である内面研削との違いやホーニング加工の種類、メリットやデメリットについても説明します。

ホーニング加工とは

ホーニング加工とは、中空構造物の内面に砥石を押し付け、回転させながら往復させて、磨き上げる加工方法のことです。水溶性の切削油や研削油などを大量に流し込みながら加工を行います。研削・研磨加工に分類される加工方法です。

例えば、中空円筒の内壁にホーニング加工を行う場合では、下図のように、まず複数の砥石が取り付けられたマンドレルと呼ばれる回転工具を中心に挿入。次に、マンドレルを拡張させることで内壁に砥石を密着させます。その上で、内壁に適切な圧力を加えながらマンドレルを動作させることで内壁を研磨します。

引用元:Weblio辞書

特徴としては、加工公差が小さく、高精度な加工が可能であることが挙げられます。さらに、表面を滑らかに研磨することができ、表面粗さの小さい仕上げを行うことが可能です。また、加工対象が中空円筒の場合は、優れた真円度と円筒度を実現することができます。

適用される対象としては、シリンダーや歯車などが代表的です。

シリンダーは、主にエンジンや油圧機器などのピストンと対になるものが対象となります(下図参照)。それは、ホーニング加工では、往復と回転の同時運動により、シリンダーの内壁に摩擦発生を抑制するクロスハッチ(上図参照)と呼ばれる網状の微細な筋を形成できるからです。

このクロスハッチは、ピストンとシリンダーが摺動する(滑り動く)際、潤滑油を保持することで摩擦の発生を抑制します。

引用元:株式会社佐々木

歯車の歯面の加工においても、ホーニング加工は非常に有効です。近年のハイブリッド車や電気自動車(EV)の広まりと共に、トランスミッションのギヤから生じる騒音や振動が問題となっていました。

その点、ホーニング加工では、歯車に噛み合い一定の軸交差角を持たせた砥石を用いることで、歯面の加工目を制御することができます(下図参照)。それにより、歯車が噛み合う際のノイズを減少させることが可能です。また、砥石と歯車の回転を同期させて研磨することにより、歯車のピッチを砥石のピッチに矯正することができます。そのため、トランスミッションの騒音の原因の一つとなっていた、累積ピッチ誤差を低減することが可能となります。

なお、累積ピッチ誤差は、歯車の歯間のピッチ誤差を全歯にわたり累積し、最大と最小を求めて振幅として表したものです。

引用元:ヤンマー農機株式会社

引用元:ヤンマー農機株式会社

ホーニング加工と内面研削の違い

引用元:東大阪市技術交流プラザ

内面研削は、上図のように、回転させた中空の工作物に回転している砥石を挿入して研削する加工法です。

この方法では、加工後の形状が工作物の回転中心の位置と砥石の挿入位置に依存します。そのため、前加工の精度に依存するホーニング加工と異なり、前加工での位置精度が不十分だった場合には修正が利きます。また、内面研削は、一つの砥石で多様な内径の工作物を研削することができます。

しかし、精度に関しては、表面粗さ・真円度・円筒度の全てにおいてホーニング加工が優れています。そして、内面研削では、加工目が一定方向を向くため、ピストンシリンダーなどで用いられる潤滑油が馴染みにくいという欠点もあります。

参考記事

研削・研磨加工の種類などについては、以下の記事に詳細がありますので、ご参照ください。

研磨加工とは?種類と加工手順、その他除去加工についても解説!

ホーニング加工機の種類

引用元:昌富工業株式会社

ホーニング加工機には様々な種類が存在し、場合によっては特注で製造されることも少なくありません。

その中でも大部分を占めるのが、上述した中空構造物の内壁を研磨する加工機です。これらの加工機は、マンドレルを上下に動かすことが可能な縦型と、水平に動かすことが可能な横型に分類されます。

縦型は、円筒形状の製品を安定して据えることができるため、様々な直径の製品を対象とした多様な加工機が存在します(上の写真参照)。特に直径が大きい大物の加工には縦型が適しています。その一方で、横型は、長尺の製品に向いています(下の写真を参照)。

引用元:昌富工業株式会社

そのほか、ホーニング加工機には、外径を研磨するものなどがありますが、ここでは、「平行平面ホーニング研削盤」「CNC多軸ホーニング盤」「液体ホーニング盤」について解説します。

平行平面ホーニング研削盤

平行平面ホーニング研削盤は、工作物を2枚の円盤型砥石で上下から挟み、往復回転させることで加工を行う研削盤です。中空構造物の内面を加工する加工機ではありませんが、通常のホーニング加工機とは、砥石を押し付けて磨き上げる加工機であるという共通点があります。

円盤型砥石で挟める製品ならば、下図のように、形状の異なるものも同時に加工できる加工機です。従って、同一の高さであるものの、外形が異なる製品の高さを揃えるためなどに用いられます。

引用元:精密研削加工.com

CNC多軸ホーニング盤

CNC多軸ホーニング盤は、コンピュータによる数値制御を可能とし、多軸化したホーニング加工機です。

通常のホーニング加工では、粗仕上げや中仕上げ、最終仕上げといった工程ごとに砥石などを交換する必要があります。しかし、この加工機では、自動的に全ての仕上げ工程を完結させることが可能です。

そのほか、工作物の自動搬送に対応している加工機もあり、工場のライン上でホーニング加工が可能なものがあります。

液体ホーニング

液体ホーニングは、微細な砥粒と水の混合液を加工物に噴射するホーニング加工方法です。この研磨法は、表面の仕上げのほか、メッキや塗装面の下地仕上げ、錆取り、バリ取り、清掃などにも利用されます。

砥粒や噴射速度などを調整することにより、準鏡面から梨地面(微細な凹凸が施された状態)までの表面仕上げを施すことが可能です。その表面は、硬化して疲労強度や耐摩耗性が向上します。また、入り組んだ形状をしているなど、複雑な形状の加工物にも容易に適用可能です。

ホーニング加工のメリット

ホーニング加工のメリット、特に内面研削と比較したときのメリットは以下の通りです。

穴精度が高い

ホーニング加工で研磨することで、高精度の真円や円筒形状を実現可能です。

ホーニング加工では、中空円筒の内壁を研磨する際に砥石を内壁に密着させますが、このとき砥石は、可能な限り精密な円を描くように内壁に押し付けられます。そのため、中空円筒の内面は、高精度な真円度と円筒度を持った穴となります。

加工公差が小さい

内面研削では、加工物と砥石を固定した後にこれらを回転させて研削するため、加工物と砥石が接触した部位は削り取られてしまいます。

しかし、ホーニング加工では、加工物の形状に合わせて磨き上げるため、加工前の形状を加工後も持ち越すことが可能です。そのため、ホーニング加工の前加工の寸法精度が高ければ、ホーニング加工の加工後も寸法精度が高くなります。

加工目を制御可能

ホーニング加工では、内面研削と異なり、回転運動と往復運動を組み合わせて研磨するため、円周方向以外の加工目を形成することができます。

このとき加工目は、円周方向に角度が付いた形で形成されますが、回転速度と往復速度を調整することでこの角度も変化させることが可能です。

従って、加工目のパターンが製品の品質に影響するピストンシリンダーなどでは、ホーニング加工を採用するメリットが高くなります。

高精度な表面を形成可能

この加工法では、大きな圧力を加えず、比較的ゆっくりとした速度で研磨するため、滑らかで表面粗さの小さい表面を形成することができます。

加工物への負荷が小さい

加えられる圧力が小さく、研磨速度も比較的遅いため、加工物が高熱を帯びたり火花が発生したりすることはあまりありません。

そのため、加工物の強度が小さかったり熱に弱かったりしても加工の影響は小さくなります。

ホーニング加工のデメリット

その一方で、ホーニング加工には、以下のようなデメリットがあります。

前加工の寸法精度に依存する

ホーニング加工では、前加工で成形された形状を保持したまま磨き上げるため、前加工の精度が悪い場合でも修正が利かないというデメリットがあります。そのため、前加工段階での精密さが重要となります。

マンドレルの拡張限界以下の内径までしか加工できない

内壁に回転させた砥石を当てるだけで加工可能な内面研削と異なり、ホーニング加工では、マンドレルに放射状に取り付けられた砥石全てを内壁に密着させて研磨を行います。そのため、加工物の内径がマンドレルの拡張限界を超えてしまうと加工はできません。

従って、加工物の内径に合ったマンドレルを用意する必要がありますし、それに取り付けられる砥石も揃えなくてはなりません。試作品や小ロット品の加工を依頼する場合、形状によっては工具を用意する分までコストがかかったり、加工を断られたりすることがありますのでご注意ください。

ホーニング加工の見積り依頼をするならMitsuri!

手動で制御するにせよ数値で制御するにせよ、ホーニング加工を行うのは熟練した技術を要するので、この加工をご依頼する際には適切なメーカー選びが必要となります。

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