金物加工とは、金属の鉄板や鋼材を切削加工や曲げ加工を施すことで、希望通りの製品形状に仕上げる加工のことです。金物は、普段見かけるものであれば、タンスやクローゼットの取手、フック、金属製の工芸品などです。最近は少なくなりましたが、これらの金物を専門に取り扱っているお店があるほど、金物は私たちの周りに広く普及しています。
実は、金物にはさまざまな種類があります。また、種類によって使用する金属が異なる場合も多いため、素材や種類を把握しておかなければ依頼する際に手間取ってしまうでしょう。
今回は、金物加工の依頼を出したい方に向けて、金物加工の種類や使用される素材について詳しく解説します。実際の製作物もご紹介しますので、依頼を出す際の製品イメージとして参考にしてください。
金物とは、金属製の道具や器具などのことです。金物の種類は多岐に渡ります。ここでは、使用用途によって大きく「建物金物」と「装飾金物」の2種類に分けて解説をしていきます。
建物金物とは、建築や家具などに使われる金属製の部材です。注意点として、配管設備や構造部分などに使用されるものは建物金物には含まれません。
建物金物として代表的な製品には、以下のようなものがあげられます。
建物金物の中でも実用性の高いものを機能金物と呼ぶ場合もあります。
装飾金物とは、金物の中でも機能性より見た目を整えたり、デザイン性を高めたりした製品を指します。こちらも、配管設備や構造部分などに使用される金物は、装飾金物には含まれないので注意しておきましょう。
装飾金物として代表的な製品には以下のようなものがあります。
このように、装飾金物は身近に溢れています。見た目を整えたり、綺麗にしたりして、建物や家具の見栄えをよくするものが装飾金物です。また、金属を使って作られた工芸品なども装飾金物に分類されます。
金物加工を依頼する場合には、建物金物や装飾金物などの種類だけでなく、使用する素材にも注意が必要です。金物を使用する場所や使用用途によって、適切な素材があります。
ここでは、特に金物加工で使われる3つの素材について、特徴やどのような金物に使われているかご紹介します。
鉄は、素材の硬度や弾性が曲げ加工に向いているのが特徴です。曲げ加工が簡単にできると、L字アングルの金物などが製作しやすいです。また、素材自体の単価も非常に低価格なのも魅力的。加工後のメッキ処理も行いやすいので、鉄はさまざまな分野で使用されています。
鉄のデメリットは、真鍮やアルミと比べる耐食性や装飾性が劣ってしまう点です。比較的サビやすいため、装飾金物などにはサビ防止の表面処理を行う必要があります。
金物の中では、その加工性の高さと値段の安さから主に建物金物の釘やボルトなどに使われています。安価で大量に建物金物を仕入れたい場合は、鉄製の金物がおすすめです。
銅に亜鉛を加えた合金のことを真鍮(しんちゅう)と呼びます。真鍮は、加えられている亜鉛の割合が多いほど強度が硬くなります。素材が柔らかいため切削加工や切断加工などがしやすく、工芸品などの複雑な形状の金物製作が行いやすいです。金色の特徴的な色味があるので、多くの場合取手や工芸品などの装飾金物に使用されます。
デメリットとして鉄やアルミニウムと比べると水分に弱いため、使用する環境によってはすぐ酸化して黒ずんでしまいます。また、ゴムやラテックスに触れると分解腐食させてしまう特徴もあるため、真鍮素材の金物は使用する場所を考えなければなりません。水回りやゴム製の製品がある場所には、真鍮素材の金物は扱わないように注意しましょう。
金属の中でも特に軽い素材がアルミニウムです、アルミ缶や1円玉、スマートフォンなど普段よく見かけるものにもアルミニウムは使用されています。
特徴としては、強度が高く、自然に作られる酸化皮膜で素材を保護するため、ほかの金属と比べてもサビにくいです。切削加工や塑性加工(そせい加工)がしやすいため、さまざまな形状の製品を作れます。
多くの場合、素材の軽さや加工性の高さを生かして、蝶番やアングルなどの建物金物に使用されるのが一般的です。
金物加工には建物金物や装飾金物があることは理解していただけたでしょうか。では、実際に金物加工にはどのようなものがあるのか制作事例を5つほどご紹介します。
引用元:金森金物店
引用元:株式会社 興伸製作所
引用元:土肥板金工業株式会社
引用元:株式会社 富士産業
引用元:大和金属工業株式会社
金物の種類や素材について解説しましたが、金物加工の依頼を出す場合には、2つ注意点があります。
ひとつ目は、金物加工はオリジナル性が高い製品が多いため、受注可能な工場が少ない点でしょう。汎用品であるボルトやワッシャーなどの機能金物に関しては、オリジナル性は低いのでホームセンターなどでも購入できます。
しかし、装飾金物である取手や表札、そのほかの金属製工芸品などは独特なデザインのものも多いです。発注内容によっては依頼できる工場が少ない場合があるので、注意しておきましょう。
金物加工ができる工場では、大量生産に対応していない可能性があるので注意しておきましょう。上記で説明したように、金物加工はオリジナル性が高い製品が多いことから、1品作るだけでも多くの工数がかかってしまうこともあります。
建物金物で使用する、ボルトやアングルなどに関しては独特なデザインや機能を付け加えないのであれば、大量生産が可能な場合もあります。依頼時には、大量生産ができるかどうかしっかりと確認することが大切です。
メーカーへ依頼する場合には、使用する素材や用途を明確に伝えることが大切です。依頼品のイメージを簡単にデザインして発注すると、メーカー側も作業がしやすく、納期が早まる可能性があります。
ただ、金物加工はオリジナル性が高いため、受注できる工場が少ないことから、依頼先を見つけるだけでも工数がかかります。
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