染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
工程管理を見える化するために、何をしたら良いのか、どのような流れで進めるべきかについて考えるご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
工程管理の見える化に取り組む際、企業にもたらすメリットや流れを明確にしてから取り組むことで、成功に繋りやすいと言えるでしょう。
そこで本記事では、工程管理の見える化の概要と必要な理由、企業にもたらすメリット、流れについて解説していきます。
まずは、工程管理の見える化について解説します。
工程管理の見える化とは、現場で取り組まれている工程についてそれぞれの細かな手順、必要な人数などの詳細をしっかりと把握できるようになることです。
たとえば、製造業では多くのプロセスがあります。製品計画の際に、製造現場で作業担当者の役割を決めて、必要な工程を洗い出してから作業を開始しますが、実際に作業を開始した後、その工程通りに進んでいるのか、どれくらいの進捗状況なのか、生産計画に沿った進捗状況なのか判断しにくいものもあることでしょう。また、慣れた工程の場合、古い工程管理のまま進んでいることも多いかもしれません。
そのような状況の中、工程管理を見える化することで、業務プロセスの整理、現状の課題を見つけることができるなど、さまざまな効果を企業にもたらします。
工程管理を見える化するための代表的な方法として、エクセルなどでも用意されているガントチャートの管理があります。表形式で左側にタスクを記載し、右側にバーや矢印などで期間を表すことができます。他にも、ネットワーク図や累積グラフなどが、工程管理の見える化に役立つツールです。
ここからは、なぜ工程管理の見える化が必要かについて、以下4つを解説します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
必要な理由の1つ目は、現状の業務の把握です。
一つの業務の中に、多くの工程があり、それぞれ複雑な工程もあります。現状の業務の工程を一つ一つ、詳細を把握し、業務を可視化することで、何に時間がかかっているのか、どこに課題があるのかなど問題を見つけ出すことができます。現状の業務を見て、詳細・課題・問題を把握するために工程の見える化が必要です。
必要な理由の2つ目は、業務手段の見直しです。
業務を遂行する仕方を詳しく見て、改善するためにはどこを見直す必要があるのか詳しく見ていく必要があります。工程の見える化をすれば、業務手段を見直すことができてよりよい働き方ができる可能性があります。
必要な理由の3つ目は、業務プロセスの最適化です。
業務プロセスの最適化を図るためには、それぞれどのような工程があるのか、どれくらいの人数が携わっているのか、どの程度時間がかかっているのかを見て、最適な順番を考えていく必要があります。最適化を図るためにも、工程管理の見える化が必要です。
必要な理由の4つ目は、業務効率化です。
業務効率化を図るためには、現状の業務に潜む問題を解決する必要があります。たとえば業務への属人化、ブラックボックスを発見することで、よりよい業務の方法のための改善策を見つけ出し、効率化を図れるでしょう。業務効率化を図るためには、その業務の工程を詳しく洗い出す見える化が必要です。
工程管理の見える化が企業にもたらすメリットについて、以下4点を説明します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1つ目のメリットは、業務効率化です。
工程管理を見える化することで、現状の業務に潜んでいた時間がかかっている業務、余計な作業などを見つけられるでしょう。現業務の工程の内容と、それぞれの進捗状況を確認し、それぞれ業務に無駄が発生していないかを確認することで、各工程に対応した対策を打つことも可能です。機械・ツールなどを導入し作業担当者一人一人の業務効率化を図ることができ、対応スピード、生産性も向上するでしょう。
2つ目のメリットは、潜在課題への対策です。
これまで気づかなかった製造現場での潜在している課題について、工程管理の見える化によって発見できる可能性が高まります。たとえば業務への属人化・ブラックボックス・過剰な人員配置などが挙げられるでしょう。また、昔から作業工程のプロセスが決まって長年作業担当者がその工程に慣れていると、潜在課題には気づかずに対応を進めてしまいがちです。工程管理で見える化することによって、潜在課題に対して早期に対策を打つことができます。
3つ目のメリットは、製品の品質向上です。
工程管理を見える化し、対策を打つことで、製造業の生産現場などで取り組んでいた作業の無駄や従業員が抱えていた問題が少なくなることでしょう。そうすると、人為的なミスの削減ができ、顧客からの製品不備に関する問い合わせも軽減し、製品自体の品質も向上することが期待できます。
4つ目のメリットは、顧客満足度向上です。
工程管理の見える化によって、より高品質な製品を、より早いスピードで届けることができます。作業担当者の対応スピードも向上し、品質の高い製品製造ができれば、顧客からの満足度も向上することでしょう。高品質な製品を納期内に届けることで、顧客の満足度も高まります。またその製品をリピートしたいと思ってもらえるかもしれませんし、評判がよければ、他の企業にも紹介してくれる可能性も高まります。
工程管理の見える化の流れについて、以下6点を説明します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1番目は、目的の明確化です。
工程管理の見える化に取り組むにあたり、まずは何のために工程管理の見える化を行うのかを明確にしてから、計画・実行する必要があります。そもそも自社・自組織は工程管理の見える化で何を実現したいのでしょうか。たとえば、工程で完成する製品の質を変えたいのか、業務プロセスを変えて社員の潜在的な課題をなくしたいのか、工程の無駄をなくしたいのか、売上を向上したいのかなど、さまざまな目的が挙げられるでしょう。
目的が違えばその後の実施する流れ・内容も変わります。工程管理で見える化する目的を明確にすることで、いつまでに何を実現するべきかゴールのイメージができるようになり、ゴールに向かって着実に行動できます。
工程管理の見える化に取り組む際、まずは目的が何か、改めて熟考しましょう。
2番目は、スケジュール策定です。
設定した目的に沿って、何をいつまでに実施するか工程を項目単位に落とし込んで、スケジュールを決めていきます。
たとえば、対象業務の選定・工程チェック・分析期間・改善トライアル期間・本稼働などが挙げられるでしょう。業務部門へのアプローチなど、他部門へのスケジュール調整もあるため、さまざまな情報を集めた上で、現実的なスケジュールを策定することが大切です。
3番目は、現場調査です。
工場などの現場で調査を実施して、現状の工程管理を見える化していきます。たとえば製造現場調査において、生産現場ではどのような作業工程があるのか、何の設備が使われているのか、どの程度の作業者が携わっていて、どれくらい時間がかかっているのか等について細かく見ていく必要があります。現場で管理している工程表などを参照して、実際行われている工程と照らし合わせるなど、リアルタイムな情報を見ていくことも重要です。
4番目は、分析です。
現場で調査した結果に応じて、現場調査で集めたデータを、ツール・システムなどの機能を活用して詳しく分析していきます。どこにどのような課題や問題点が潜んでいるのか、作業担当者の工数はどれくらいか、稼働率はどれくらいか、課題や問題・属人化の傾向・ブラックボックス化が発生している箇所などを特定していきます。分析した後は、その結果からどこをどう改善していくか計画を立てていきます。
5番目は、改善策の立案です。
調査の分析結果から、何を改善すべきかを立案していきます。分析結果によっては、新たに機械やツールの導入が必要になるかもしれません。改善ポイントとして、現状の課題・問題点に関して、改善策の導入によってどのような効果をどれだけもたらすことができるか、数値化できるとよいでしょう。
6番目は、改善策の実行・見直しです。
改善策が決まった後は、いよいよ現場に改善策を適用し、実行していきます。実行後、定期的な見直しも大切です。計画通りに改善されているか、進捗状況はどの程度か、社員の評価はどうか、改善策は有効かなど、定期的に見ていきましょう。現場を直接見て確認することもポイントです。進捗状況に応じて必要な箇所の見直し、再度改善策を実行することも大切です。
本記事では、工程管理の見える化について解説しました。工程管理は、業務効率化・潜在課題への対策・製品の品質向上・顧客満足度向上などのメリットを企業にもたらします。目的を明確にしてから取り組むことで、最大限の結果を得ることができるでしょう。現状の業務を見直したい、業務プロセスの最適化を図りたいなどと考えている際に、工程管理の見える化を実施することをおすすめします。
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