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プレス機械とは?種類ごとに異なる特徴や目的・用途について解説

2024-09-17

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

物体に圧力を加え、形状を変化させるプレス機械は、元々は金属の棒や板を加熱し、叩いて伸ばしながら形状を作る「鍛造」に、水圧を用いたことが始まりと言われています。

その後、時代と共にプレス機も進化していき、クランクレス機構を使った500トンプレス、油圧式の5000トンプレスと、どんどん大型化が進んでいきます。

しかし、現在では大型化よりも生産ラインをより効率的に回すために用いられることが多くなり、速さや精密さなどが求められるようになってきています。

プレス機械とは

プレス機械とは、上から下方向に強い圧力を加え、金属を折り曲げたり、切り取ったりできる機械のこと。別名で、板金機械、鍛圧機械といった呼ばれ方もしています。

主にアルミやステンレスなどの薄い板金素材に対し、型枠を使うことで形状を変化させたり決められた形状に型抜きしたりできることから、多くの工場で金属加工に取り入れられています。

プレス機械の特徴

現代のプレス機械は、単純に物体を圧縮するだけではなく、加工の用途に合わせて種類が分かれています。また、金属加工におけるプレス機は金型とセットで用いられることが多く、金型の形状によって金属を曲げたり、絞ったり、穴を開けたりと、さまざまな用途に使い分けられています。

金型には上側に設置されるオス金型と、下側に設置されるメス金型があり、圧縮時にオス金型とメス金型が合わさることで金属を折ったり、切ったり、穴を開けたりしています。

プレス機械を使った加工には、1回プレスするごとに材料の設置と取り出しを毎回手作業で行う単発型だけでなく、ベルトコンベアのような機械で材料を決まった量送り出し、プレス機ひとつで穴あけ、切断、折り曲げなどを順番にこなす順送型などがあります。

プレス機械の動力源による種類

プレス機械には、手で圧縮するものから油圧や電動モーターなどを使って圧縮するものまで、さまざまな種類があります。

下記では、プレス機械の種類やそれぞれの特徴についてご紹介します。

機械式プレス機械

モーターの回転運動の動作を用いてスライドを上下させ、圧力をかけるプレス機械のこと。クランク機構、スクリュー機構など、メーカーによってさまざまな手法が用いられており、クランクがひとつだけのものはシングルクランク、ふたつあるものはダブルクランクと呼ばれています。

シングルクランクに比べ、ダブルクランクの方が荷重の分散に強く、安定した加工が可能です。

ピンクラッチプレス機械

ピンクラッチプレスは機械式プレス機械の一種で、駆動部分のクラッチ構造がピン型になっているものを言います。過去に多く取り入れられていたプレス機械で、機械式の中でも構造が単純で扱いやすい点が特徴です。

ただし、現在では取り扱っているメーカーが少なく、市場にはあまり出回っていません。

油圧式プレス機械

油圧式プレス機械は液圧式のプレス機械の一種です。液圧式には油圧式の他に水圧式がありますが、現在ではほとんどが油圧式となっているため、液圧式プレス機械といえば油圧式と考えられることが多くなっています。

油圧式プレス機械は、モーターを使って油圧ポンプを動作させ、圧力を持つ油を油圧シリンダーに送り込むことでシリンダー内のピストンを動かして上下運動を行うプレス機械のことです。

加工速度やストロークの長さなどを自由に変更できる汎用性の高さがメリットで、かつては多くの工場で使用されたプレス機ですが、安全性や生産性が機械式に劣るため、近年ではあまり使用されなくなっています。

人力プレス機械

足でペダルを踏んでプレスするフットプレスと、手でレバーを押すハンドプレスがあります。

精度の低さや動力不足などの問題があり、現在は金属加工の現場ではほとんど見かけませんが、昭和40年代までは多くの町工場で主力として使用されていたプレス機の一種です。

プレス機械の形状による種類

プレス機械には、さまざまな種類があります。すべてに統一して言えるのは圧力をかけて形状を整えることですが、こまかく紐解いていくとその用途はさまざまです。仕組みや目的なども大きく異なるため、下記ではその種類や目的、特徴などについてご紹介します。

C型プレス

機械を横から見た時、Cの形状をしていることからその名が付けられた汎用性に優れたプレス機です。

材料や金型のセットが容易にでき、作業性に優れている反面、作業中、作業者の手が入りやすく加工時の事故やケガに繋がりやすいデメリットを持っています。

さらに、C型プレスはその形状から、加工を続けるうちフレームが少しずつ開いていき、経年劣化していきます。歪みが大きくなると加工精度が落ちてしまうため、長く使うためには無理な負荷をかけないように注意しながら使用する必要があります。


門型プレス

本体の四つ角を柱で支えたプレス機械のことで、別名ストレートサイドプレスとも呼ばれています。

剛性が強く、C型プレスに比べて強い負荷でもフレームが歪みにくいメリットがある一方で、フレームが両サイドにあることから金型交換時などに作業がしにくいデメリットもあります。

トランスファプレス

プレス機械の構造に、材料の送り装置が内蔵された、多連続工程のプレスライン加工で使用されるプレス機械のことです。

構造には門型が採用されていることが多く、通常のプレス機に比べて高速で稼働し、なおかつ長時間連続加工ができるメリットがあります。

サーボプレス

サーボモーターを用いて回転数をNC制御することで、スライドの速さを自由に変化させられるプレス機械のことです。

通常の回転モーションによる上下運動の他に、振り子モーションやナックルモーションなどを用いて、高速モーションのプレスを繰り返すことができるため、生産性や加工精度に優れています。

汎用性・生産性を兼ね備えたサーボプレスが各メーカーから発売されており、今後プレス機械の主力となっていくと考えられています。

粉末成形プレス

加工の過程で出た金属の粉をプレスし、ペレット状にするプレス機械のことです。

金属以外に、化学工場や薬品工場などでも粉末状のものをペレット状にする用途で使用されています。

熱間鍛造プレス

高温の鉄を強い圧力によって押しつぶし、金型の形状に整形するプレス機械のこと。

熱して赤くなった金属の塊を、ハンマーで打って強化する、いわゆる鍛造製法と、型枠の形状に金属を整形する作業をひとつの工程で完了できるプレス機械です。

冷間鍛造プレス

プレス機を用い、金属を常温状態で塑性変形させるプレス機械のことです。

冷間というと「冷やす」というイメージがあるかもしれませんが高温でプレスする「熱間」の対義語となっており、冷間は常温で加工する鍛造プレスのことを言います。

冷間鍛造プレスは、熱間鍛造プレスのように自由に形状を変えられるわけではありませんが、整形が困難な高精度の加工が可能です。また、プレスによって塑性加工を行うため、切断や切り屑がほとんど発生しないメリットもあります。

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