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ミガキ材とは?黒皮との違いやメリット・デメリット

2024-09-10

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

今回はミガキ材のメリット・デメリットや、黒皮材との違いについて解説します。

ミガキ材とは、冷間圧延加工にて作られた鋼材のことを指します。

鋼材は代表的なものに、S45CやSS400がありますが、これらの材料を選定する際は、ミガキ材か黒皮材かを指定しなければなりません。ミガキ材と黒皮材では特徴が異なるため、もし予定と違ったものを入手してしまった場合は、作業工程に影響を及ぼしてしまいます。

この記事を参考にして、ミガキ材と黒皮材の違いを把握し、正しく選定できるようになりましょう。

参考:黒皮(ミルスケール)とは?特徴用途、除去方法など基礎知識を紹介

ミガキ材とは

引用元:イワサ株式会社 取扱商品 磨棒鋼材(ミガキシャフト)

ミガキ材とは、冷間圧延加工されて作られた、S45CやSS400などの鋼材のことを指します。ミガキ材の名前の通り、表面は磨かれたかのようなキレイな表面をしていて滑らかです。

冷間圧延加工とは、2本のロールを使って材料を挟み、圧力をかけて材料を塑性加工させる「圧延」を、室温の状態で行うことを指します。「冷」という文字があるものの、冷やして加工はせずに常温のままで加工を行います。冷間圧延での加工は、酸化膜が生じないことから、ミガキ材のキレイな表面が得られるようになります。

圧延加工は、冷間圧延以外に、熱間圧延があります。熱間圧延は材料を高温で軟化させてから圧延する方式で、小さい力でも圧延が可能です。熱間圧延により加工された鋼材は、黒色の酸化膜を生じることから「黒皮材」と呼びます。熱間圧延は、加工性に優れているほか、高温の材料をロールにより加工することで、金属の結晶が強固になり、粘り強い金属が得られます。ただし高温で加工するため、鋼材の表面が空気中の酸素と結合して酸化膜を生じます。

ミガキ材のメリットとデメリット

ミガキ材のメリットは、表面が滑らかでキレイな点にあります。精度もある程度高く、寸法精度を出したい場合に適しています。

一方でミガキ材のデメリットは、冷間圧延により加工されたもののため、金属に力を加えて起こる加工硬化や、材料の内部に力が残っている残留応力の影響などを考慮しなければならない点です。

また、ミガキ材のコストは、黒皮材に比べて高い傾向にありますが、黒皮材の使用するまでに行う加工のコストを考慮すると、ミガキ材のほうが必ずしも割高になるというわけではありません。そのため、ミガキ材と黒皮材のどちらを選択するかは、加工コストや加工時間、用途などを含めて検討する必要があります。

ミガキ材の規格とサイズ寸法

ミガキ材は、【JIS G 3123:2004 みがき棒鋼】の規格があります。

JIS G 3123で規定されている、標準寸法は以下の表の通りです。

<標準寸法(丸・六角・角)(単位mm)>

形状 径・対辺距離
5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 22 23 24 25 26 28 30 32 35 36 38 40 42 45 48 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100
六角 5.5 6 7 8 9 10 11 13 14 17 19 20 22 24 26 27 30 32 36 41 46 50 55 60 65 70 75 80
5 6 7 8 9 10 12 14 16 17 19 20 22 25 28 30 32 35 38 40 45 50 55 60 65 70 75 80

引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼

<標準寸法(平)(単位mm)>

厚さ
3 9 12 16 19 22 25 32 38 50
4 9 12 16 19 22 25 32 38 50
4.5 9 12 16 19 22 25 32 38 50
5 9 12 16 19 22 25 32 38 50
6 9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150
9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150
12 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150
16 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150
19 25 32 38 50 65 75 100 125 150
22 32 38 50 65 75 100 125 150
25 32 38 50 65 75 100 125 150

引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼

JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の寸法許容差は、JIS B 0401-2の表22に基づき、軸hに対する公差等級を適用し、その値は以下表によります。

<寸法許容差(単位 mm)>


対辺距離
厚さ及び幅
軸hに対する公差等級
IT6 IT7 IT8 IT9 IT10 IT11 IT12 IT13
3以下 0
-0.006
0
-0.010
0
-0.014
0
-0.025
0
-0.040
0
-0.060
0
-0.10
0
-0.14
3を超え
6以下
0
-0.008
0
-0.012
0
-0.018
0
-0.030
0
-0.048
0
-0.090
0
-0.15
0
-0.22
6を超え
10以下
- 0
-0.015
0
-0.022
0
-0.036
0
-0.058
0
-0.090
0
-0.15
0
-0.22
10を超え
18以下
- 0
-0.021
0
-0.033
0
-0.052
0
-0.084
0
-0.13
0
-0.21
0
-0.33
18を超え
30以下
- 0
-0.021
0
-0.033
0
-0.052
0
-0.084
0 -0.13 0
-0.25
0
-0.33
30を超え
50以下
- 0
-0.025
0
-0.039
0
-0.074
0
-0.12
0
-0.19
0
-0.30
0
-0.46
50を超え
80以下
- 0
-0.030
0
-0.046
0
-0.074
0
-0.12
0
-0.19
0
-0.30
0
-0.46
80を超え
120以下
- 0
-0.035
0
-0.054
0
-0.087
0
-0.14
0
-0.22
0
-0.35
0
-0.54
120を超え
180以下
- - - - - - 0
-0.40
0
-0.63

備考1.偏径差又は偏差は、許容差の30%以下とする。

2.注文者の指定によって、軸h以外(例えば、軸g、jなど)の寸法許容差を採用してもよい。その場合の寸法許容差の数値は、JIS B 0401-2の表17から表32による。

引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼

JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の、形状及び加工方法別に適用する公差等級は以下表によります。

<形状及び加工方法別公差等級>

形状及び
加工方法
六角
研削 引抜き 切削
適用する
公差等級
IT6・IT7
IT8・IT9
IT8・IT9
IT10
IT11・IT12
IT13
IT10
IT11
IT11
IT12
IT12
IT13

備考.受渡当事者間の協定によって、上表以外の等級を用いてもよい。

引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼

ミガキ材と黒皮材との違い

引用元:株式会社三和鍍金 【言われてみれば】鋼材の黒皮ってなに?

黒皮材は、熱間圧延にて作られた鋼材のことで、表面が酸化皮膜で覆われています。ミガキ材と違って黒皮材の表面は、ミルスケールとも呼ばれる黒皮で覆われており、凹凸があり、精度に乏しい特徴があります。黒皮を除去するには、酸洗いで黒皮を溶かすか、研磨で物理的に除去します。

ミガキ材と黒皮材の違いについては、以下の表でまとめたので参考にしてください。

ミガキ材 黒皮材
・冷間圧延加工された鋼材
・表面がキレイで凹凸が少ない
・精度の高い加工に適している
・熱間圧延加工された鋼材
・表面は凹凸があり、酸化被膜の黒皮で覆われている
・精度の高い加工には不向き

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