2025-01-15
更新
「メッキ加工ってどういう風に加工しているんだろう・・」
私生活をしているなかで、金属メッキ加工をされたものは良く見かけます。
その中で、上記のように思ったことがある方もいらっしゃると思います。今回はそんな方々や、金属メッキ加工に興味を持っている方のために、メッキ加工の方法についての工程を詳しくご紹介させて頂きます。
メッキ加工は、材料の表面を金属の薄膜でコーティングすることを言い、材料に防食性や装飾性、機能性を与えるために行われます。その加工方法には、薄膜の形成の仕方によりいくつかの種類があります。ここでは、メッキ加工法の中でも代表的な電気メッキと無電解メッキについて説明します。
参考記事
メッキの効果や種類については、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひご覧ください。
⇒金属のメッキ処理の効果・種類を専門家が解説!【メッキ処理ならMitsuri!】
電気メッキは、電気分解によりメッキしたい金属を分解して、被メッキ金属の表面に析出させる方法です。
メッキ加工法の中では、低コストで生産性も高く、様々な金属に適用できることから、最も広く用いられています。
一方、均一なメッキや複雑な形状のメッキには、豊富なノウハウや経験が必要なことから、依頼時にはメーカーをよく吟味することをおすすめします。
無電解メッキは、電気を使わず、薬品による化学反応だけでメッキの薄膜を析出させる方法です。
電気メッキと比較すると、導電性を持たないプラスチックやセラミックなどにもメッキできる、均一なメッキが可能で複雑な形状の材料にもメッキできるといった利点があります。
反面、コストがかかる、メッキの速度が遅い、メッキ可能な金属が限られるなどが短所として挙げられます。また、電気エネルギーを利用しないため、一旦薄膜が形成されてしまうと、それ以上反応が進まないこともあることから膜厚には限度があります。
メッキ加工では、実際にメッキする前や後の工程が重要です。特に前処理工程は、メッキの密着性を左右するため、被メッキ金属の性質や加工履歴を考慮した最適な方法の選定が必要となります。ここでは、無電解ニッケルメッキを例に、メッキ加工の各工程を解説していきます。
なお、被メッキ金属やメッキする金属によって異なりますが、以下の①~⑥の前処理工程や⑧の後処理工程は電気メッキでも大きな違いはありません。
治具とは機械工作の際、刃物や工具を加工物の正しい位置に導くために用いる補助工具のことを言います。
治具(ラック)と呼ばれる器具に、製品同士がぶつからないように製品を取り付けます。ラックは、一般的に「タコ」、「ハンガー」とも呼ばれます。又、この治具に関して1つの製品を複数ヶ所引掛けて行う治具、内部に鍍金厚みが必要な場合に使用される補極付治具なども製品形状に合わせ様々な種類があります。
メッキ工場に入ってくる金属製品には、防錆や切削性・加工性などの向上のために、油脂が使われています。しかし、メッキ加工をする前に、油を完全に取り除いておかないと密着不良となってしまう原因となります。事実、密着不良の約80%はメッキ前処理不良が原因と言われます。
脱脂の除去方法とは、脱脂液を使い、汚れを除去する方法です。脱脂液の選定では、取り除く油に種類があるだけでなく、様々な性質持っているので、その性質に見合った除去方法を選択する必要があります。
水洗工程は、脱脂工程で使った脱脂液を次の薬液槽に持ち込まないようにするために行います。また、水洗工程後の水の滴り具合を見て、脱脂工程の出来具合を確認することも重要なポイントです。
脱脂工程が不十分な場合、製品が水をはじくため、もう一度脱脂の時間を延長したり脱脂温度を上げたりして、完璧に脱脂できるまで次工程へ進むことができません。
酸浸漬工程は、メッキをつきやすくするために素材を酸性溶液に漬ける工程のことです。酸洗処理で使用される酸は、主に硫酸や塩酸などがあります。
熱処理された金属製品の表面には、スケールと呼ばれる酸化皮膜が生成します。酸洗処理の目的は、このスケールの他、サビ等を取り除くことになります。
酸洗処理を行わないと、スケールやサビによって、密着不良になってしまうため金属メッキ加工では、とても重要な処理です。
電解脱脂工程は、酸浸漬脱脂で取り除くことのできない、微細な凹凸面に付着したバフカスや焼き入れのスケールを、多量のガスの圧力で取り除くために行います。
仕上げ脱脂と呼ばれることもあります。
製品素材によって、脱脂液の選定を行い、細かな温度調整や時間を調整します。
酸活性工程は、メッキ前にさらに素材を活性化させ、メッキを付きやすくするために行います。工程内容は、金属酸類水溶液に短時間浸漬させた素材表面に残るアルカリを中和し、前処理中に生じた薄い酸化層を除去して表面を活性化するものです。使用する処理液は素材によって異なります。
最適な前処理条件については、表面処理におけるノウハウの一つとなっており、各めっきメーカーで各々の前処理条件を設定しております。
無電解ニッケルめっきとは、文字通り電気を使わないニッケルめっきのことです。無電解ニッケルめっきでは、イオン化したニッケル(酸化剤)と還元剤をめっき浴中に溶解させておき、被めっき物を浸漬させると、その表面上で化学反応(酸化還元反応)が起こりめっき皮膜を析出していきます。電気めっきのように通電を必要としないため、素材の形状や種類にかかわらず均一な厚みの皮膜が得られ、プラスチックやセラミックスのような不導体にもめっき加工は可能です。
メッキ加工を終えたら最後に乾燥の工程に入ります。メッキを乾かすだけだと思われるかもしれませんが、乾燥方法にも様々な方法があります。
遠心力で水分を飛ばし乾燥させる遠心脱水乾燥機。垂直と傾斜を繰り返しながら製品を混ぜ乾燥させる傾斜式遠心脱水乾燥機。ラックめっきに適しているコンベア型乾燥炉。複雑形状や小型の品物に適している吸引式乾燥機。高温処理が可能な電気ヒーターを使用した乾燥炉、蒸気を熱源とし昇温速度が速い乾燥炉等の乾燥方法があります。
また、表面処理を行う上で、良質のメッキ皮膜が施されていても乾燥(後処理)条件が適さない場合、変色やシミ、変形、キズ等といった問題が発生してしまいます。
以上の工程を経て、メッキ加工は完成となり出荷されます。
工場によってはメッキの密着テストや様々な審査をしてくれるところもあります。
メッキ加工についてわかったところで、
・具体的に費用はどれくらい掛かるのか
・納品まで期間はどれくらい掛かるのか
などについて気になる方もいらっしゃると思われます。
そんな時はMitsuriにお任せ下さい!
それでは、メッキ加工の製品事例を見ていきましょう。
下の写真は、装飾性と耐食性を付加するため、電気メッキにより真鍮にニッケルをメッキしたものです。
引用元:植田鍍金工業株式会社
次の写真は、無電解ニッケルメッキの加工事例です。
引用元:株式会社コダマ
続く写真は、硬質クロムメッキの製品事例です。なお、硬質クロムメッキは、電気メッキにより可能なメッキで、摩耗耐性や耐久性の向上を目的に行われます。
引用元:太陽工業株式会社
次の写真は、電気接点(スイッチ)に使用できるよう、銀メッキが施された製品の事例です。
引用元:三和工業株式会社
今回は、メッキ加工の工程についてご紹介させていただきました。
金属製品はメッキ加工をすることで、様々部品として出荷され、パソコンの電子部品やデジタルカメラの一部として、私達の暮らしの役に立っています。
この記事を見てメッキ加工に興味を持っていただけた方がいましたら、工程だけでなく、メッキの種類などについても調べてみるのも、おすすめです。
また、もしもメッキ加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご登録下さい。
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