カテゴリ

Mitsuriでの受発注の最新の傾向や統計、サービス最新情報を毎月メールにてお届けします。
WEB上での新規取引のコツや活用方法など役に立つ情報も配信しています!

 

PEEKとは?用途、種類、性質、メリット・デメリット

2024-08-22

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

今回は、PEEKの基礎知識について解説します。
PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれる、熱可塑性樹脂の一種で、エンジニアリングプラスチックに比べて高い性能を有しています。
多くのメリットを持つプラスチックであるため、安全性が求められる製品や、金属部品の代わりとして多く採用されています。
この記事で、PEEKの特徴や用途などについて詳しく見てみましょう。

PEEKとは

PEEK(ピーク)とは、Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)と呼ばれる樹脂の略称で、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、あるいは芳香族ポリエーテルケトンと呼ばれるポリマー群の一種です。

PAEKは、アリール基・エーテル基・ケトン基から構成されるポリマー群で、これらの官能基の組み合わせや配列などにより、さまざまな種類の樹脂が存在します。そのなかでもPEEKは豊富なメリットを持つため、PAEKの代表的な樹脂として採用されています。

スーパーエンプラとは

また、PEEKは、熱可塑性樹脂のスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に該当する樹脂で、スーパーエンプラのなかでも代表的な樹脂として扱われています。
スーパーエンプラは、工業用として耐熱性や機械的強度を向上させていますが、PEEKは特に耐熱性や耐薬品性などに優れています。

PEEKのメリットとデメリット

メリット

●耐熱性・耐高温性・耐加水分解性

PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックのなかでも、耐熱性・耐高温性・耐加水分解性が非常に優れた材料です。連続使用温度は250℃程度とされており、熱老朽にも強い特徴があります。
耐熱水性にも優れており、200~250℃のスチームの中でも連続使用が可能です。そのためスチーム滅菌も可能で、短時間であれば300℃の高温にも耐えられる性能を有しています。

●耐薬品性

PEEKは、非常に優れた耐薬品性を有しています。多くの酸やアルカリ、有機溶媒に対して耐性があり、高温化でも耐えられるプラスチックです。ただし濃硫酸などの強酸には耐えられないので注意してください。

●機械特性・クリープ特性・耐摩耗性

PEEKは、広い温度範囲において高い強度と剛性を示し、機械特性にも優れたプラスチックです。強度については、ガラス繊維やカーボン繊維によって、さらに強化されます。また、クリープ特性や耐摩耗性にも優れており、金属の代替品としても活用されています。

●耐放射線性

熱加工性を持つ一般的な樹脂は、電磁波や放射線の影響により、脆くなる特徴があります。しかし、PEEKは科学的構造が安定しているため、電磁波や放射線のある環境下でも使うことが可能です。

●難燃性

PEEKは、難燃性の材料であるため、摩擦熱などの熱で燃える可能性が、他のプラスチックに比べて少ないです。また、燃焼時の発煙や腐食性ガス、有毒ガスなどが極めて少ないのもメリットです。

デメリット

●コストが高い

PEEKは豊富なメリットを持ちますが、他のプラスチックに比べてコストが高いです。

PEEKの用途

PEEKは、豊富なメリットを持つことから、航空・宇宙・自動車産業、食品加工産業、医療分野、電子産業など、さまざまな業界で採用されています。
金属の代替品として使われることもあり、自動車の性能向上や軽量化、コスト削減のために、金属部品の代わりとして多用されています。
ギア・ワッシャー・ベアリングなどのパーツ類もPEEKにて製造が可能で、高温時でも優れた機械的性能や耐摩耗性、耐薬品性などを要する場合にPEEKが用いられます。

PEEKの種類

一般的にPEEKと呼ばれているものは、さまざまなグレードがあるうちのひとつである、基本グレードのことを指しています。ここでは基本グレードにさらに特性を付与した他のグレードについて、いくつかご紹介します。

摺動グレード

摺動グレードは、基本グレードに炭素繊維・グラファイト・四フッ化エチレン(PTFE)を充填したグレードで、基本グレードに比べて耐摩耗性や摺動性に優れています。

用途としては、軸受やライナーなどの摺動部品に採用されています。

ガラス繊維強化グレード

ガラス繊維強化グレードは、基本グレードに比べて高い剛性と耐クリープ性を持ちます。また、寸法安定性も良好です。

主に静的荷重が長時間かかる場所に使用されています。

カーボン繊維強化・導電グレード

カーボン繊維強化・導電グレードは、ガラス繊維強化グレードに比べてより高い剛性を持つほか、機械的強度やクリープ性、耐摩耗性にも優れています。カーボン繊維を採用していることから、基本グレードに比べて約3.5倍高い熱伝導率も有しており、部品に発生した熱を素早く放散します。

用途としては、静電気やほこりなどを嫌う環境で採用されています。

PEEKの物理的・機械的性質

<PEEKの物理的・機械的性質>

比重 引張強さ
(MPa)
破断時伸び
(%)
圧縮強さ
(MPa)
曲げ強さ
(MPa)
衝撃強さ
(アイゾット ノッチ付)
(J/m)
1.3 71-103 30-150 125 110 85

引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)

PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性

<PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性>

線膨張率
(×10-5/℃)
荷重たわみ温度
(1.81MPa)
(℃)
成形温度
(射出成形)
成形温度
(押出成形)
吸水率
(24h)
(重量%)
4.0-4.7
(<150℃)
160 350-400 350-380 0.10-0.14

引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)

金属加工のマッチングならMitsuri!

法人・個人問わずご利用できます。

PICK UP!!

溶接記号一覧 読み方、書き方をわかりやすく解説

PICK UP!!

フランジとは?種類・形状・規格・材質など詳しく解説

Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
‍そんな疑問に毎月メールでお届けします

 
新着記事