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海外調達で気をつけること|課題と克服例を紹介

この記事を監修した人

大石 裕明

製造業DX推進担当

プログラマー。スタートアップから大企業までDXの相談に乗り続けて早10年。好きなものは「日々哲学してそうな人」。苦手なものは「それっぽいことを言うだけで何もしないコンサルタント」。株式会社Catallaxy代表取締役。

グローバル化が進む現代のビジネス環境において、海外調達は日本の金属製品製造業に大きな可能性をもたらしています。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。多くのメーカーが様々な課題に直面し、時には苦い経験を重ねてきました。本稿では、海外調達において頻繁に遭遇する問題と、それらを克服するための具体的な戦略を、様々な国々の例を交えながら紹介します。

品質管理

海外調達における最大の課題の一つは、一貫した品質の確保です。この問題に効果的に対処するためには、まず詳細な製品仕様書の作成が不可欠です。英語を基本としつつ、必要に応じて現地語を併記し、図面や写真を多用することで、言語や文化の壁を越えた理解を促進することができます。さらに、ISO 9001などの国際的に認知された品質管理システムを導入している供給者を優先的に選定することも、品質の安定化に寄与します。

生産過程においては、各段階での品質チェックが重要です。例えば、中国での調達では、初回生産時に日本人スタッフや第三者検査機関を派遣することが一般的です。また、量産前のサンプル承認プロセスを徹底することで、問題の早期発見と改善が可能になります。これらの取り組みにより、国や地域を問わず、高品質な製品の安定的な調達が実現できるでしょう。

クロスカルチャーコミュニケーション

言語や文化の違いによるミスコミュニケーションは、多くのトラブルの根源となります。この壁を乗り越えるためには、まず言語スキルの強化が欠かせません。英語を共通言語としつつ、可能であれば現地語のスキルも持つスタッフを育成することが理想的です。例えば、ベトナムとの取引では、日越バイリンガルスタッフの存在が大きな助けとなります。

また、取引先の国の文化や商習慣に関する研修を行うことも重要です。例えば、中東諸国との取引では、イスラム文化への理解が不可欠です。さらに、各国で主流のコミュニケーションツールを把握し、活用することも効果的です。中国ではWeChat、インドではWhatsAppが一般的であり、これらのツールを使いこなすことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。

契約と法務

契約と法務の面では、国際的な視点が求められます。国によって契約に対する考え方や法的枠組みが大きく異なるため、すべての重要事項を明文化した詳細な契約書の作成が不可欠です。特に大規模な取引の場合、国際取引に精通した法律事務所のアドバイスを受けることをお勧めします。準拠法と仲裁地の選択も慎重に行う必要があります。例えば、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)は、アジア地域での取引において人気があります。

知的財産権の保護も忘れてはなりません。進出先での商標登録や特許出願を早期に行うことが重要です。特に、中国やインドなどの新興国では、知的財産権保護に特別な注意が必要です。これらの法的側面をしっかりと固めることで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

価格交渉

価格交渉においては、文化によってアプローチが大きく異なることを認識しておく必要があります。まず、各国の労働コスト、原材料費、為替変動などを十分に理解し、交渉の基礎とすることが重要です。多くの国では、長期的なパートナーシップを前提とした交渉が好まれます。将来の発注量の増加や技術協力などを提示し、win-winの関係構築を目指すことが効果的です。

また、交渉スタイルも国や地域によって異なります。例えば、欧米では直接的なスタイルが一般的ですが、アジアでは間接的なアプローチが好まれることがあります。これらの違いを理解し、適切に対応することで、より円滑な価格交渉が可能になるでしょう。

リスク管理

海外調達には様々なリスクが伴うため、多様化と適応の戦略が不可欠です。まず、サプライチェーンの多様化を検討しましょう。特定の国や地域に依存せず、複数の国からの調達を視野に入れることで、リスクを分散させることができます。例えば、中国一極集中のリスクを避けるため、ベトナムやインドネシアなど他のアジア諸国も検討するのも一案です。

また、各国の政治・経済状況を常にモニタリングすることも重要です。例えば、タイの政治不安や、トルコの通貨危機などは、調達戦略に大きな影響を与える可能性があります。自然災害リスクにも注意が必要です。フィリピンやインドネシアなどの国々では、台風や地震のリスクが高いことを考慮し、必要に応じてBCP(事業継続計画)を策定することが望ましいでしょう。

為替変動リスクに対しては、先物予約や通貨オプションなどのヘッジ手段を活用することで、リスクを軽減することができます。これらのリスク管理戦略を適切に実施することで、海外調達に伴う不確実性を最小限に抑えることが可能になります。

まとめ

海外調達は確かに多くの課題を伴いますが、適切な戦略と柔軟なアプローチにより、大きな成功を収めることができます。品質管理、クロスカルチャーコミュニケーション、契約と法務、価格交渉、リスク管理の各側面に細心の注意を払いつつ、各国の商慣習や文化に対する理解を深めていくことが重要です。

グローバルな視点を持ちつつ、各国の特性に合わせて戦略を適応させていく姿勢が不可欠です。例えば、中国での経験をそのままインドに適用しようとしても上手くいかないでしょう。各国の特性を理解し、それぞれに適したアプローチを取ることが成功への近道となります。

海外調達を成功させることで、コスト削減だけでなく、新たな技術へのアクセスや、グローバル市場での競争力向上など、日本の金属製品製造業に大きな成長の機会をもたらすことができるでしょう。困難は多いかもしれませんが、その先には大きな可能性が広がっています

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