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非破壊検査のデメリット・種類一覧

2025-01-13

更新

この記事を監修した人

志民 直人

技術営業、カスタマーサクセス

切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。

非破壊検査は、直接的に発見できない製品内部の欠陥などを、検査対象を壊すことなく検出する検査法です。様々な工業製品はもちろん、自動車や鉄道車両、航空機等の輸送機、工場の設備、建築物などの検査に活用されており、社会の安全や廃棄物の削減に役立っています。

しかし、非破壊検査では、検査法の種類によって適用可能な物質や検出可能な欠陥が異なるなど制限があります。また、検査対象の性質や欠陥の状態などを検査結果から間接的に推察するため、どうしても不確実性が残ります。

そこで、今回の記事では、非破壊検査の概要と種類について解説してきます。非破壊検査を依頼する場合や検査結果を確認する場合などで、参考にしていただければ幸いです。

非破壊検査とは

非破壊検査とは、対象物を破壊することなく検査する技術です。検査対象を傷つけたり検査対象の機能に悪影響を与えたりすることなく、割れ・空隙といった欠陥の有無や、形状・寸法などを調べることができます。破壊検査と異なり、検査品をそのまま使用できることが特徴です。

主に、使用前の製品の「品質評価」、使用中の製品の「寿命評価」を目的に行われる検査手法です。品質評価は、製品が仕様を満足しているかを確認することで、製品の信頼性を担保するために行われます。一方、寿命評価は、製品の損傷や劣化状況を検出して余寿命を予測することです。安全に使用できる期間を予測したり、補修や交換などが必要かを判断したりするために行われます。そのほか、顧客からのクレームなどで、故障の要因を調査する場合などにも実施されます。

しかし、欠陥などを間接的に発見する検査法であることから、ある程度の不確実性を伴います。そのため、検査対象には、どのような欠陥が生じるのか、またそのとき、適用した非破壊検査法によってどのような検査結果が得られるかなどの知識や経験が重要となります。つまり、非破壊検査法の種類を選ぶにあたっては、検査の目的や対象物の材質・形状などを考慮するのはもちろん、存在する欠陥の状態などを予め予測することが必要です。

放射線透過試験(RT)

放射線透過試験(Radiographic Test)は、対象物に一様な強さの放射線を照射し、物質に吸収される放射線量の差をフィルムに撮影することで、内部の欠陥や対象物の厚みを検出する方法です。レントゲンと同じ原理を用いています。

鋳造品に生じる引け巣(鋳造品の内部に残る気泡)、溶接部に生じるブローホール(溶着金属中に生じる空洞)や溶込み不良などが存在する箇所では、放射線が透過しやすくなりフィルムにその輪郭が現像されます。

金属だけでなく、非金属の検査にも用いることができます。

素材内部の空洞などの検出が得意ですが、厚みのある対象の検査には、高いエネルギーを持つ放射線の照射が必要となるため、専用の検査装置を用意しなくてはなりません。また、空洞が生じない、表面のキズや密着した割れなどを検出することが不得手です。さらに、放射線の安全管理には十分な注意が必要となります。

超音波探傷試験(UT)

引用元:非破壊検査株式会社

超音波探傷試験(Ultrasonic Test)は、固体と液体又は気体の境界面で反射されやすい超音波の性質を活用した検査法です。反射された超音波(エコー)の大きさからキズの大きさを、エコーが戻ってくる時間からキズの位置を推定することができます(上図参照)。厚さの測定にも使用可能です。

主に溶接部や鍛造品などの内部キズの検出に用いられる方法です。素材内部に生じた割れなどの検出に適しており、特に平板状の欠陥の検出が得意です。また、超音波は、到達距離が長く、厚さ数メートルの製品でも探傷が可能です。

しかし、球状のキズや空洞に対しては、エコーが四方八方に反射してしまうために検出が困難です。複雑な形状の検査にも適していません。また、オーステナイト系鋼や鋳造品といった粗粒材(金属組織のサイズのバラツキが大きい材料)に対しても、この検査法は向いていません。それは、組織の境界で発生する微小なエコーが乱雑に広がり、検出すべきエコーを減衰させるからです。

磁気探傷試験(MT)

引用元:非破壊検査株式会社

磁気探傷試験(Magnetic Test)は、磁性体の性質を利用して、表層部の欠陥を検出する検査法です。磁化された磁性体は、表層部に欠陥が存在すると、上図のように外部へ漏洩磁束を生じます。これを、下図のように磁場に反応する磁粉などで検出することで、欠陥の位置や状態を測ります。

引用元:非破壊検査株式会社

磁性体のみに適用可能な検査法で、表面や表面直下の欠陥を検出するために実施されます。感度が良い方法で、肉眼で直接観察できるという利点があります。

しかし、オーステナイト系ステンレス鋼など、非磁性材料の検査には適用できません。

浸透探傷試験(PT)

引用元:日東金属工業株式会社

浸透探傷試験(Penetrant Test)は、毛細管現象を利用して、表面に開口している欠陥を目視でも判別しやすい像にして検出する検査法です。その検査法は、大きく以下の4つの工程に分けることができます(上図参照)。

浸透探傷試験の4工程
①浸透処理 表面に浸透液を塗布することで、欠陥内部を浸透液で満たす。
②除去処理 欠陥部以外に付着している浸透液を取り除く。
③現像処理 表面付近の表面張力を強めるための微粉末(現像剤)を薄く塗布する。
④観察 毛細管現象によって欠陥内部の浸透液が吸い上げられ、指示模様を形成するので、これを観察する。

金属でも非金属でも適用できる方法で、複雑な形状でも検査が可能です。

しかし、指示模様から欠陥の幅や深さを求めることはできません。また、表面が粗い素材や多孔質材料には適用できません。

電磁誘導探傷試験(ET)

電磁誘導探傷試験(Eddy current Test)は、検査対象の表面に交流を通じたコイルを接近させ、電磁誘導現象によって生じる渦電流の変化から欠陥を検出する検査法です。表面や表面直下に生じたキズの検出に用いられます。また、導電率の違いを検出することで、膜厚測定や材料判別などにも使用することができます。

板やインゴットの表面欠陥のほか、線・棒・管状の対象物の欠陥も検出可能です。線・棒状の対象物には、コイルを対象物に巻くことで、管状の対象物には、コイルを内挿することで検査することができます。

前処理や後処理が不要で、検査結果が電気的出力として得られるため、自動化することが可能です。

ただし、検査法の性質上、不導体の検査には適用できず、内部キズの検出も困難です。また、形状が複雑な対象の検査には向いていません。

アコースティックエミッション(AE)

引用元:株式会社レックス

アコースティックエミッション(Acoustic Emission)は、材料が変形したり割れたりする際に発する弾性波から欠陥を検出する検査法です(上図参照)。材料表面にセンサなどの検査機器を設置し、発生する弾性波を受動的に検出します。ほかの非破壊検査とは異なり、稼働中の製品や設備を常時監視する形で行われます。

稼働中のものを診断可能で、欠陥の発生や進展をリアルタイムに観測できるのが利点です。材質を問わず適用可能で、感度が高いという特徴もあります。

しかし、検査機器が製品の付属品となるため、コストが高くなります。また、高感度であるがゆえに、電磁ノイズに弱い、高温環境下では計測できないなどの問題があります。

スンプ法(SUMP)

スンプ法(Suzuki’s Universal Micro Printing method)は、検査対象の表面の凹凸をアセチルセルロース膜(レプリカフィルム)に転写し、フィルムを顕微鏡で観察する検査法です。

主に大型部品の表面欠陥や表面組織などを観察するために用いられます。応力腐食割れや粒界腐食、クリープ損傷などの検出や調査に有効な方法です。

高度なエッチング技術と高精度な顕微鏡があれば、表面の状態を精度良く把握することができます。

ただし、エッチング技術が必須で工程が多く、手間がかかる方法です。

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