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板金の成形加工とは?種類ごとに特徴を解説

金属加工 | 2021年12月01日

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モノづくりにはさまざまな成形加工がありますが、その中でも、今回は板金における成形加工について解説します。板金の成形加工は、塑性加工や曲げ加工などの方法を用いて板金の形状を変化させることを言います。

抜き加工によって切り取られた素材を製品として整えていく過程で必要となる加工で、そこにはさまざまな種類があります。

成形加工とは

板金における成形加工とは、金型を用い、プレスを使って金属板を任意の形状に変化させる加工法のこと。ただ形を変化させるだけでなく、強度を上げたり部品を取り付けやすい形状へと変化させたりする目的で用いられます。

成形加工の種類

板金における成形加工には、さまざまな種類があります。その中でも、多く用いられる種類について解説します。

タップ加工

タップ加工は、タップ穴を成形するための加工法です。タップ穴はネジ穴のことで、あらかじめ開けておいた穴に工具を用いてねじの山と谷を形成していきます。

タップ加工には、「切削式」と「転造式」の2種類がありますが、このうち成形加工に含まれるのは転造式の方になります。

転造式のタップ加工は、金属に強い圧力をかけてネジ穴を塑性変形させることを差し、切削式に比べて切り屑の排出がありません。その代わり、ねじの山と谷を含め、適正な量の材料を計算しておく必要があり、高い下穴精度が求められます。

バーリング加工

バーリング加工は、板金のネジ穴などの縁が盛り上がるように成形する加工方法のこと。タップ穴を盛り上げることでネジの深さを増し、十分な締結力を確保できるようにすることが目的となります。

バーリング加工はタップ加工と合わせて用いられることが多いため、バーリングタップと呼ばれることもあります。また、パイプ製品の分岐点を出っ張らせるために用いられることもあります。これにより、突合せ溶接が可能となり、溶接部分の強度と品質が向上します。

ザグリ加工

ザグリとは金属板を締結した際にボルトの頭の部分が出っ張らないよう考慮して穴を開ける加工法のこと。主に六角穴付きボルトに対して用いられることが多く、ボルトが出っ張ったままにしておくとケガに繋がったり、頭部分が引っかかってネジが緩みやすくなってしまったりするのを防ぐために用いられます。

皿モミ加工

皿モミ加工は、ネジの頭が飛び出してしまうことを防ぐ加工方法。ザグリ加工と同じ役割のため、「皿ザグリ」とも呼ばれます。加工の原理や用途はよく似ていますが、穴の形状が大きく異なります。

ザグリ加工は板金に対して垂直な穴が形成されますが、皿モミ加工はネジの頭の形状に合わせ、斜めの形状をしています。

エンボス加工

エンボス加工は、プレスによって板金に凸形状を成形する加工法です。凹凸の立体感によってデザインを浮き上がらせる装飾効果もあり、性質の付与と合せて幅広く活用されています。

エンボスは凹凸によって摩擦力や強度をアップさせたり、表面積が大きくなることで放熱性を向上させたり、音の反響面を変化させることで遮音性を持たせたり、さまざまな効果が得られます。そのため、板金におけるエンボス加工は、食品機械から放熱板、音響機器に至るまで、幅広い産業で、さまざまな効果を期待されて用いられています。

ダボ出し

ダボ出し加工は、板金の表面にダボと呼ばれる凸形状のダボを成形する加工方法です。スポット溶接をはじめ、板金を接合する際、位置を決めるのに用いられる加工方法です。

ダボ出しをすることでけがきをしたり治具を用いたりする必要がなくなるため、溶接のやりやすさが向上します。

ダボ出しは、丸いものや四角いものなど、目的・用途に合わせて形状が変わります。ダボの形状に合わせ、金型を使い分けるのが一般的です。

ルーバー加工

ルーバー加工は、通気孔のような形状を成形する加工方法です。基本的には製品内部の熱を外に逃がすことを目的としており、製品のカバーや筐体の側面などに用いられることが多く、開口部が下を向くように成形することで内部にホコリが侵入することを防止する形状となっています。

パンチングプレス

パンチングプレスは、板金をプレスで打ち抜いて孔を開ける加工法です。用いる金型によってさまざまな形状をしており、目的や用途に合わせて使い分けられています。

パンチングプレスによって成形された板金のことを、パンチングメタルと言います。

フランジ加工

フランジ加工とは、板金の縁の部分を折り曲げる加工法のことです。縁を折り曲げることで強度を向上させると共に部品の取り付け面を成形する目的があります。

フランジ加工には「曲げフランジ」「縮みフランジ」「伸びフランジ」「複合フランジ」の4種類があります。

●曲げフランジ

直線の板金を折り曲げる、最も基本的なフランジ加工です。加工部に応力が働くことがないため、長方形のブランクが用いられます。

●縮みフランジ

加工線が凸型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。扇状の素材は外側は広く、内側は狭くなっています。弧の内側を曲げる場合、曲げることによって圧縮の力が働くため、たるみやシワが発生しやすくなるため注意が必要です。

●伸びフランジ

加工線が凹型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。縮みフランジとは逆に、弧の外側は折り曲げると引っ張る力が働きます。加工時に割れが発生しやすくなるため、注意が必要です。

●複合フランジ

素材によってはきれいな直線や曲線を描いていないものもあり、曲げ加工を施す際、曲げフランジ、縮みフランジ、伸びフランジをかけ合わせながら加工しなければならない場合があります。これを複合フランジと呼んでいます。

加工によって素材がさまざまな作用を起こすため、非常に難易度の高い加工になります。

カーリング

カーリングは、素材の端を丸くカールさせる加工のことです。端部は強度が低い上、接触によってケガや破損の原因になってしまう場合があります。端部を加工することで内側に隠し、接触による事故を防ぐと共に、強度を向上させられる効果もあります。

カーリングは一般的に、予備的な曲げを含め、二段階の曲げ加工を行われることが多いです。また、曲げの種類にも「直線カール」と「外巻きカール・内巻きカール」があります。

●直線カール

直線カールは、直線の板材に対し、端部に曲げ加工を行います。カーリングの中では最も単純な加工です。

●外巻きカール・内巻きカール

板金の端部を円筒状に成形する加工方法です。外側に巻く外巻きカールと、内側に巻く内巻きカールがありますが、加工方法はどちらも同じです。

加工時、カール部に伸び応力と圧縮応力が働き、割れたりシワになったりする可能性があるため注意が必要です。

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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