メラミン塗装とは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します!

2023-11-07

自動車、鉄道、飛行機など乗り物や、建造物には何故塗装が施されているのでしょうか。それは、錆を防ぎ美観を守るためです。塗装は、ものの外観、外見を整えるだけでなく、サビなど素材の変質を防ぐ役割をしています。そのため、屋外で使う塗装は、対候性が高く、屋内で使用する塗装は美観に重点を置いています。

私たちの身の回りにあるもの、机、整理棚、パソコンなどのOA機器は、メラミン塗装と呼ばれる焼付樹脂塗装を施されています。

今回は、主に屋内で使用する機材に使われるメラミン塗装と他の焼付塗装の違い、メラミンの歴史、メラミン塗装の事例について詳しく説明させて頂きます。

メラミン塗装とは?

メラミン塗装は焼付塗装の一種で、二つの樹脂を合成するした塗料を使うことから、合成樹脂焼付塗装と呼ばれています。塗料は熱で硬化するアミノ系メラニン樹脂と、ポリエステル系樹脂アルキド樹脂を合成したものです。メラミンは、アミノ系樹脂の名前です。

100℃以上の高温で焼き付ける樹脂塗装の中でも、比較的安価で、耐水性、耐酸性がある上、色が長持ちするので、事務機器、パソコン、整理棚など屋内で使うものの塗装として利用されます。ツヤ加減の種類も、ツヤなし、3分ツヤ、5分ツヤ、全ツヤがあります。市場に出回るメラミン塗装製品の多くは5分ツヤです。

メラミン樹脂の歴史

メラミンというと、私たちの生活に全く馴染みがないと思いますが、”プラスチック容器”、というと、皆さんの生活に馴染みがあるでしょう。これらはメラミンから出来ているのです。

メラミンを開発したのは、米国の科学者で、デュポンの研究員の、ウィリアム・タルボットでした。タルボットが、デュポンに在籍していた1930年代は、社内でポリマー商品開発が

進んでおり、軽くて丈夫な食器の材料としてメラミン樹脂を開発されたのです。

腕を買われたタルボットは、デュポンからインク会社サン・ケミカルカンパニーのディレクターにヘッドハンティングされ、’45年にOSS(現在のCIA)に移籍しました。

OSSのディレクター時代の1947年(昭和22年)、当時デュポンが買収していたGMのアルキド樹脂を使い、メラミン樹脂塗装の元となる、アミノアルキド樹脂を開発しました。

焼付塗装とは

メラミン塗装を含む焼付塗装は、熱で硬化する塗料を使い、120℃~200℃の熱を塗布面に20~30分間あて、塗料を硬化、蒸着させる塗装法です。鉄、ステンレス、真鍮、鉛、アルミダイキャストなど、熱に強い素材に、日光や雨風、サビに弱い金属の美観を整える目的で塗装されます。粗熱がとれるとすぐ、次の作業工程に移れるのが焼付塗装の長所です。

参考

焼付塗装については、以下で詳しく説明していますので、こちらを御覧ください。

焼付塗装ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!

焼付塗装は、自動車をはじめとする工業用塗装として世間に知られています。

100℃を越える高温で塗料を素材に蒸着させるので、樹脂系の素材には使用できません。ABC樹脂、ナイロン、ポリカーボネイト、塩化ビニール、パテづけで形を整えた電車にはウレタン塗装を施します。

屋外で主に使用される焼付塗装

信号機や建造物など屋外で使用される焼付塗装には、以下の3つの塗装方法があります。

①アクリル塗装

無色透明のアクリル樹脂を使い、140℃~180℃の高温で焼き付け、20分加熱乾燥します。

透明の樹脂に色付けするので用途は広いですが、非常に高温なので、どこの業者でも扱っているとは限りません。瞬間湯沸かし器、ガスレンジ、自販機、空調、電車内装、自動車部品、ブラインドなど、幅広い用途で使用される上、メラミン塗装よりワンランク上の耐久性を誇ります。

②フッ素焼付塗装

フッ素焼付塗装は、超対候性があり、特に紫外線や雨風に強いので、家の外壁、消化器に使用されます。

建造物のLCC(ライフサイクルコスト)を削減出来る長所がありますが、価格が高く、

色のバリエーションが少ない点がネックになっています。

色のバリエーションの少なさをカバーするために、塗装会社では、木目・石目・テラコッタ壁専用の高温焼付け形フッ素樹脂塗料・PVDF樹脂(カイナー500)など、コーティング目的の焼付塗装を開発しています。

最近では住宅にガルバリウム鋼板を使いフッ素コーティングで仕上げる平屋もあります。

住宅に利用される様になった鋼板については、こちらで詳しく説明していますのでご覧下さい。

住宅にも使用されている!建築板金の特徴と活用部材6種を特集

③粉体塗装

粉体塗装では、高分子ポリマーを原料とし、静電ガンで塗料を素材に直接電着させ焼き付けます。

有機溶剤を使わず、エコ塗料として近年浮上してきた方法で注目されています。

素材表面の静電処理を入念にしておかないと、塗布する作業員に塗料が付着するなど、

まだまだ課題が残る焼付塗装法ですが、用途も幅広く各塗装工場に広まりつつあります。

メラミン塗装が焼付塗装の中でも比較的安価であるのに対し、他の3つの焼付塗装は、歴史が浅かったり、塗装価格が高かったり、様々な障壁を生じることもあります。

焼付塗装は価格だけで決めることもできませんし、場所に応じたクオリティで選ぶ必要があります。

メラミン塗装の事例

引用元:アスクル

メラミン塗装は、主に屋内で使うものや、OA機器に施されます。身近なものですと、オフィスの事務机の鋼メラミン塗装が挙げられます。

引用元:Panasonic Business

こちらは、パナソニックの遠隔セキュリティシステム「みえますネット」で使われている、屋外カメラです。パソコンやスマホと連動して店舗やクリニック、駐車場のセキュリティを守るのに使われるものです。素材はアルミダイキャストで、シルバーのメラミン塗装が施されてます。

メラミン塗装ならMitsuri!

焼付塗装が発明されて以来、塗装は防錆効果と対候性を持つ様になりました。

焼付塗装の市場では、有機溶剤を使用せず静電気で塗料を蒸着させる粉体塗料や、建物の美観とライフサイクルコストを両立させる木目フッ素焼付塗装も売り出されています。

他の焼付塗装が屋外使用を強みとする中で、メラミン塗装は屋内使用を強みとしています。メラミンそのものは、耐久性、耐酸性があり材料費が安く、幅広い分野で半世紀以上使用されています。

メラミン塗装は、長年愛用してきた書庫、学習机のリペイントに最適です。しかし、小ロットで工場に頼むのは気が引けるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

全国に協力会社250社以上持つMitsuriなら、リペイントやお客様のご依頼に添ったメラミン塗装が出来る塗装工場をお選び致します。この機会にどうぞご相談くださいませ。

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