2025-01-15
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板金加工には様々な金属が使用されますが、各金属の性質を分類すると、“機械的性質”と“化学的性質”に分類することができます。各金属には、それぞれの強みや弱み、特徴があり、それを把握して加工時の材料を選ぶことで、求める性能を実現する製品が生まれます。
本記事では、機械的性質・化学的性質とは何か、また主な板金材料について各性質をご紹介していきます。
機械的性質とは、引っ張りや剪断、衝撃、疲労などに対する強さや、材の硬さを示すものです。それらが自然の状態で持っている性質というよりも、外部の力が加わったときに、どのような反応を示すかを表した性質と言えます。そのため、試験機によって外力を加え、測定した数値によって表されます。
化学的性質とは、腐食のような、化学反応によって他の物質に反応して、違う性質の新しい物質に変化しようとする性質のことをいいます。“サビ”もその一種で、空気中の酸素と反応することで酸化し、金属表面にサビ(酸化鉄)が発生しています。他にも、溶解などの化学反応を起こすことで、別の物質に変化する性質のことを化学的性質と呼びます。
板金加工に使用されている金属は、まず鉄鋼と非鉄に分けられます。主なものとして、鉄鋼には、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛鉄板があり、非鉄には、アルミニウム、銅があります。
アルミニウムと銅については、合金板が使用されることもあります。合金とは、二種類以上の金属を融合してできた物質のことで、単一金属から合金化した場合には性質が変化します。例えば、強さについてはは、引っ張り強さは増加しますが、伸びは減少します。
冷間鋼板は、酸洗した熱間圧延コイルをロール状の冷間圧延機によって板厚を0.4〜3.2mmまで薄く延ばした後、焼きなまし及び調質圧延したもののことです。調質の区分は硬質の程度に応じて6つに分類されており、引っ張り強さや降伏点、耐力、伸びといった機械的性質についても規定があります。
冷間圧延しただけの状態では、金属固有の加工硬化により硬度が上昇し伸びが減少している状態ですが、熱処理をすることで、熱延鋼板よりも高い伸びをもつ加工性・成形性に優れた鋼板に仕上がります。
化学的性質としては、何もしないと錆びてしまうため、塗装やメッキなどの表面処理加工を行うことがほとんどです。
熱延鋼板は、800℃以上の温度で熱間圧延機により板厚1.2〜14mm程度に圧延されたものです。熱間圧延のままでは表面が酸化膜(黒サビ)で覆われており、その状態で黒皮材として使用されることもありますが、酸洗によって酸化膜を除去した酸洗剤が使用される場合もあります。熱延鋼板は、強度や加工性により数種類あり、用途によって使い分けられます。
化学的性質としては、黒サビで覆われている状態では、黒サビは赤サビと異なり鋼材の表面を腐食から守る働きをもちます。ただし、黒サビには微細なピンホールのような穴があるため、条件によってはその部分にサビが集中し、局部腐食が早く発生する可能性もあります。
ステンレス鋼板は、“Stainless”(さびにくい)という意味をもち、化学的性質として錆びにくさを特徴とする金属です。鉄に10.5%以上のクロムを添加することで、クロムが酸素と結合し、鋼の表面に薄い保護皮膜(不動態皮膜)を生成し、サビにくさを実現しています。100種類以上の鋼種があり、それぞれ適した用途に使い分けられています。
耐熱性・加工性・強度・意匠性に優れ、またメンテナンスがしやすい点も長所として挙げられます。環境に対する社会の関心が高まる中、100%リサイクル可能な材料としても注目されています。
亜鉛鉄板とは、主に高温で溶かした亜鉛の中に鉄を漬けて付着させたものです。化学的性質としては、亜鉛の表面には酸化皮膜が形成されることから、保護皮膜作用によって水に強い性質をもちます。また、傷やピンホールができた場合にも、亜鉛は鉄より腐食しやすく、亜鉛が優先して腐食されることで鉄の腐食を防ぐ“犠牲防食”の作用があります。引っ張り強さを基準として種類が分類されており、例えば「SGH340」は引っ張り強さ340N / mm2の亜鉛鉄板を示します。
銅は、古くから産業や生活で使用されてきた金属で、その歴史は紀元前に遡ります。圧延や押し出しなどの塑性加工がしやすく、展延性に優れます。また、切削の仕上げ面が美しく、色が豊富などの理由も、材料として多く使用される理由です。
化学的性質としては、空気中の酸素と徐々に反応し、黒褐色の酸化銅皮膜を形成します。生じたサビによって全体が酸化してしまう鉄とは異なり、銅の表面に形成された酸化皮膜はさらなる酸化の進行を防止する効果があります。湿った条件下では、二酸化炭素の作用によって、緑青の水酸化炭酸銅を生じます。
アルミニウムは、その加工性の良さと軽量さから幅広い分野で使用されている金属です。溶接性にも優れており、酸化しやすい金属ですが、空気中では表面にできる酸化皮膜により内部が保護されるため高い耐食性をもちます。
機械的性質における欠点として、強度が低く、粘り気があるため、加工時に切り粉が絡まってしまうと痛みや凹みの原因になるため、加工時には注意が必要な材料です。
本記事では、機械的性質・化学的性質について、また、板金材料として用いられる主な金属の性質についてご紹介しました。今回ピックアップしたのはごく一部ですが、求める性質に応じて、現在金属は様々な種類がつくられ使用されています。
板金加工品を製作する際には、機械的性質・化学的性質の両方を正しく把握し、適切な材料と加工方法を選びたいですね。
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