島尻 亮汰
Mitsuri PdM
製造業向け商取引プラットフォーム「Mitsuri」のプロダクトマネージャーとして、プロダクトの開発からマーケティングの戦略立案・実行に至るまでを包括的にマネジメントを行う。著書「SaaSで考えるPLG戦略」
かつて世界をリードしていた日本の製造業は、現在大きな転換期を迎えています。海外の新興国が技術力を向上させる中、日本の製造業は後継者不足と人材不足という深刻な課題に直面しています。これらの問題に対応し、持続的な成長を実現するためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が不可欠です。
DXの推進により、従来のアナログ業務をデジタル化し、より効率的で持続可能なものづくりが可能になります。
今回は、製造業のDXがどのように課題を解決できるのかを具体的に解説したいと思います。
日本の中小企業庁が発表した「2022年版中小企業白書」によると、製造業の中小企業経営者の平均年齢は約59.1歳に達しており、66.4%の企業が後継者未定という深刻な状況にあります。家族内承継の減少や、事業承継のコストの高さがその原因とされています。
事業が黒字であっても後継者がいないために廃業する企業が増えており、日本のものづくりの基盤が揺らいでいます。後継者がいない場合、M&Aや外部からの経営者招聘などの選択肢もありますが、それらも時間とコストがかかるため、容易には進められません。
製造業全体でも労働人口の減少が進んでいます。総務省の「労働力調査」(2021年)によると、この10年で製造業の就業者数は約130万人減少しており、労働者の平均年齢は44歳に上昇しています。
特に地方の製造業では、若者の都市部への流出が顕著であり、熟練技術者の退職によって技術の継承が難しくなっています。このままでは、日本の製造業の競争力が低下し、さらなる産業衰退を招く可能性があります。
クラウドシステムで経営の見える化
DXを活用することで、クラウドベースの管理システムを導入し、経営状況の可視化が可能になります。これにより、経営者交代時の混乱を最小限に抑え、スムーズな事業承継が実現できます。
受発注のオンライン化
製造業DXの一環として、受発注のオンライン化が進んでいます。取引の透明性を高めることで、取引先との信頼関係を築くとともに、業務の標準化を促進できます。
生産現場の自動化・効率化
IoTやAIを活用したスマート工場化により、人手をかけずに生産効率を向上させることが可能です。例えば、
オンライン営業・マーケティングの活用
DXを導入すれば、営業活動のオンライン化も可能になります。デジタルを活用することで、営業の負担を軽減し、少ないリソースで効率的に顧客と接点を持つことができます。
リモートワーク・デジタル管理の導入
DXを進めることで、設計や品質管理の業務をリモート化することが可能です。クラウドベースの管理システムを導入することで、
などが実現し、業務の柔軟性を高めることができます。
DXを成功させるためには、まずどの業務をデジタル化するべきかを明確にすることが重要です。
たとえば、
✅ 見積もり業務をオンライン化する ✅ 工場の生産データをクラウドで管理する ✅ 営業・受注管理をデジタル化する
一気にDXを進めるのではなく、低コストで導入可能なツールを試すことが重要です。
DXは導入して終わりではありません。定期的に効果を測定し、業務の改善を行うことで、より高い成果を得ることができます。
日本の製造業は後継者不足・人材不足という大きな課題を抱えています。しかし、DXを活用すれば、生産性向上・業務効率化が可能です。
とにかくまずは小さく始め、デジタル技術を活用しながら、業務の改善を積み重ねていくことが重要なのです。
DXの第一歩を踏み出し、未来の製造業を創造しましょう!
Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
そんな疑問に毎月メールでお届けします