島尻 亮汰
Mitsuri PdM
製造業向け商取引プラットフォーム「Mitsuri」のプロダクトマネージャーとして、プロダクトの開発からマーケティングの戦略立案・実行に至るまでを包括的にマネジメントを行う。著書「SaaSで考えるPLG戦略」
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、多くの業界で進められていますが、製造業ではその進捗が他業界に比べて遅れていると言われています。
製造業のDXが進めば、生産性の向上やコスト削減、新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。しかし、現実は課題が山積しており、多くの企業が導入を躊躇している状況なのです。
今回は、製造業DXが進まない理由を掘り下げ、その背景や課題を明らかにしつつ、
具体的な解決策も提案することで、DXを進めるためのヒントを提供したいと思います。
製造業におけるDXの取り組みは、部分的に進展しているものの、全体としては限定的です。
たとえば、大手メーカーではスマートファクトリーの導入やIoT技術を活用した生産効率化が進んでいます。しかし、中小企業ではDXの導入に二の足を踏んでいるケースが少なくありません。
DX白書2023によると、国内の製造業においてDXを本格的に進めている企業は全体の30%未満という結果となっています。
参考:DX白書2023
こうした状況から、多くの製造業がDXの必要性を理解しつつも、実際の行動に移せていない現状が浮き彫りになります。
DXの導入には初期費用がかかります。例えば、新しいソフトウェアやハードウェアの導入費用、既存システムの改修、スタッフのトレーニング費用などが必要です。中小企業では、このようなコストが大きな障壁となっています。
さらに、DX導入後もシステムの運用・保守費用が発生します。これにより、初期コストだけでなくランニングコストの見積もりも企業の負担となり、DXの効果がコストに見合うかどうか不安視されています。
DXを推進するには、ITリテラシーの高い人材が必要です。しかし、製造業ではIT人材が不足している現状があります。また、既存スタッフの中で新たなスキルを習得するための教育体制も整っていない場合が多いです。
特に中小企業では、専門のIT人材を採用する余裕がなく、既存の従業員に新しい業務を兼任させるケースが一般的です。このような状況では、現場の負担が増加し、DX推進が後回しになってしまいます。
多くの製造業では、長年使用してきたシステムや業務フローが根強く残っています。これらをDXに適合させるには、大規模な改修やプロセスの見直しが必要であり、企業にとって大きな負担となります。
特にレガシーシステムが根深い場合、新しいテクノロジーとの互換性がなく、大幅なカスタマイズが求められることがあります。こうした課題は、システム導入の遅れやコスト増大の原因となります。
経営層や現場スタッフがDXの本質や必要性を十分に理解していないケースも少なくありません。DXのメリットが短期的に見えづらいことも、この課題をさらに深刻にしています。
さらに、DXは単なるIT化や自動化ではなく、業務の全体最適化やビジネスモデルの変革を伴うものであるため、部分的な理解が誤解を生むことがあります。その結果、「本当に必要か?」という疑念が導入の妨げになります。
先ほどの人手不足とも関連しますが、DXの企画、推進、普及促進を行う人材が不足しており、何をしていいのかわからないという状況となってしまっているのです。
この、社内にDXのビジネスモデルを構築する知識があるプランナーがいないというのが致命的な要因となっているのです。
製造業特有の課題に対応したDXの成功事例が少ないため、導入に対する不安が企業内で高まっています。特に中小企業では「自社に適合するのか」という疑問が足かせとなっています。
また、成功事例があったとしても、その企業の規模や業種が異なる場合、具体的な参考にならないケースが多々あります。このような理由から、成功事例の共有や業界全体でのナレッジの蓄積が進んでいない現状があります。
全面的な変革ではなく、小さなステップからDXを始めることがとても有効です。たとえば、データの可視化や一部プロセスの自動化など、短期的な成果を出せる領域から取り組むと、社内の理解や信頼を得やすくなります。
まずは、生産管理システムやIoTセンサーを活用して「見える化」からスタートするのがおすすめです。これにより、現場の状況をリアルタイムで把握できるようになり、生産性の向上や無駄の削減に繋がります。
DXを進めるには、専門知識を持つ外部パートナーとの協力が不可欠です。Mitsuriのようなプラットフォームを活用すれば、見積もり業務の効率化やオンライン取引の仕組みを手軽に導入できます。
外部パートナーの支援を受けることで、技術面だけでなく、プロセス改善や組織改革もスムーズに進められます。また、外部の知見を取り入れることで、自社の課題がより明確になり、適切な解決策を見つけやすくなります。
Mitsuriを運営するCatallaxyでは、製造業DXについてご相談や実践的なコンサルティング、オーダーメイドのアプリ開発なども行なっています。
DX人材の育成には、オンライン研修や社内教育プログラムの整備が必要です。また、現場スタッフが使いやすいツールを選ぶことも重要です。
たとえば、現場の負担を軽減するために、直感的な操作が可能なクラウドツールを導入することが考えられます。さらに、実際の導入前にトレーニングを行うことで、新システムへの抵抗感を減らすことが可能です。
政府や自治体が提供するDX推進のための補助金や助成金制度を積極的に利用しましょう。これにより、初期費用の負担を軽減できます。
また、補助金を受け取るための申請プロセスをスムーズに進めるためには、専門のコンサルタントや公的機関のサポートを活用するのも一つの手段です。
業界に特化したDX成功事例を集め、社内で共有することで、導入への抵抗感を減らします。成功事例を基に、自社に適合するDXプランを具体化できます。
さらに、業界全体での事例共有イベントや勉強会に参加することで、他社の取り組みから新たなアイデアを得ることができます。
これにより、自社のDX推進に役立つ具体的な道筋が見えてくるかと思います。
Mitsuriでは、製造業のDXをサポートするためのさまざまなサービスを提供しています。
製造業DXが進まない理由は多岐にわたりますが、課題に対して適切なアプローチを取ることで解決可能です。特にスモールスタートで進めること、外部パートナーを活用することが鍵となります。
Mitsuriのようなプラットフォームを利用すれば、DXの第一歩を手軽に始めることができます。この機会に、製造業の未来を見据えたDX推進を始めてみませんか?
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