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【板バネ基礎知識】種類、用途、材質、加工方法、計算

金属部品 | 2021年04月22日

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板のような形をしたばねを「板バネ」といいます。主に「曲げ変形の特性」を活かしたい場所に用いられます。この記事では、板ばねの①種類②用途③材質④加工方法⑤計算方法に関する実用的な知識を解説しています。

板ばねの種類

板ばねには様々な形状のものがあり、

①重ね板ばね
②薄板ばね
③皿ばね
④渦巻きばね

の4つに分類できます。

※皿ばねと渦巻きばねは、板ばねに含めない場合もあります。

(1)重ね板ばね

引用元:flexdream

重ね板ばねは、長さの異なる板状のばねを複数枚重ね合わせて作ります。複数枚を重ねることで、使用時の応力が分散して耐久力が高まります。

代表的な用途としては、トラックや貨車のサスペンションです。板材同士が接触、摩擦することで振動が減衰していきます。現場では、リーフばね(リーフスプリング)とも呼ばれます。

(2)薄板ばね

引用元: 國光スプリング工業株式会社

薄板ばねは、薄い板形状をしたばねです。最も多用される板ばねで、「板ばね」と言った場合は「薄板ばね」を指しています。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極・スイッチ、AC100Vスイッチ部品、抜け止め金具など様々な用途に使われます。

③皿ばね

引用元:Direct INDUSTRY

皿ばねは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。コイルばねを設置できないような狭い場所でも使用可能で、大きな荷重に耐えられます。

ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャー、軸受回りのガタ防止などに用いられます。

④渦巻きばね

引用元:宏栄スプリング工業株式会社

渦巻きばねは、板状や帯状の素材を渦巻きのような形に巻いたばねです。ばねの端を引っ張ると、元の形状に戻ろうとする力が働きます。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では「ぜんまいばね」と呼ばれることが多いです。ぜんまい式のおもちゃ、機械式時計のぜんまいに用いられます。


板ばねの用途

板ばねの使用用途は大きく「緩衝用」「復帰用」「締結用」に分けられます。

(1)緩衝用

板ばねは衝撃を吸収してやわらげる「緩衝用」として用いられる場合があります。貨物自動車、トラック、バスなどの車のサスペンションに使われます。ひと昔前に流行ったオフロード車にも板ばねの技術が生かされています。スキー板は、板ばねそのものです。

(2)復帰用

板ばねは、復元力を動力とする「動力発生用」、位置の「復帰用」としても用いられます。具体例として、アーチェリーの弓、水泳の飛び込み台、オルゴール、ステープラーの針を押し出す薄板などが挙げられます。

(3)締結用

板ばねは、物をはさみ締めつける「締結用」としても用いられます。具体例として、ピンセット、トング、シャープペンシルのクリップがあります。


板ばねの材質

弾性を持った材料はすべてばねとなり得ます。材質で分類すると、①金属②非金属の2種類です。

金属を材質とする金属ばね(炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金)

金属ばねは広く使われており、コストが安い、大きな荷重に耐えられる、たわみ量を大きく確保できるといったメリットがあります。板ばねに多用される金属は、①炭素鋼②ステンレス鋼③ニッケル合金④チタン合金の4種類です。

炭素鋼

炭素鋼は、ばね鋼材として多用されます。炭素が主な添加元素で、他成分の含有量によってさらに詳細に分類されます。炭素以外の成分を付加することで、鋼の性能をグレードアップしたものは「合金鋼」と呼ばれます。

ステンレス鋼

ステンレス鋼は、熱やサビに強いという特性があります。非鉄金属では、電気伝導性に優れる銅合金がコネクタ、電気機器などに使用されます。ただし他の鋼材と比べると割高です。

ニッケル合金

ニッケル合金は、耐食性・耐熱性・耐寒性に優れた特性を有し、400℃以上の高温で使用されます。

チタン合金

チタン合金は、鋼と比較して弾性率と比重が小さいので、ばねを軽くしたい場面で利用されます。ただし、コストが高いのが難点です。

非金属材のばね(天然ゴム、プラスチック、セラミック)

金属で実現不可能な特性を出したい場合は、非金属材を使います。板ばねに用いられる代表的な非金属材料には、①天然ゴム②プラスチック③セラミックの3つがあります。

天然ゴム

天然ゴムには、汎用性が高い、ばね定数を自由に調整できる、内部摩擦で変形の際に減衰力が発生するというメリットがあります。反対に、ゴムばねの挙動を明確に計算できない点がデメリットです。

プラスチック

プラスチックは、金属と比べて「軽い」「錆びない」「加工が容易」な点がメリットです。ただし、強度が低いことが難点です。強度の低さを克服するために、繊維強化プラスチック(FRP)・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などがあります。

セラミック

セラミックは脆性材料なので「壊れやすい」「強度にばらつきがある」といった特徴があり、以前はあまり使用されませんでした。現在は技術が進歩したことで、耐熱性を活かした700~1,000℃の高温下で使用されるようになりました。


板ばねの加工方法

板バネの加工
量による分類温度による分類
少量生産熱間成形
大量生産冷間成形

少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチ(タレパン)で材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキという機械を使用します。近年はレーザー切断機やタレットパンチは、コンピュータで制御されます。多量生産を行う際は、型を用いた加工機(プレス機)を用いて製造します。代表的なプレス機は、単発型・順送型・トランスファー型の3種類です。

板ばねは、それぞれの材質・形状に適した加工方法が存在します。加工方法はおおまかに、熱間成形・冷間成形の2種類に分類されます。一般的には、大型のばねや特殊な加工には熱間成形を、小型のばねには冷間成形を行います。

(1)熱間成形

主に900~1,200℃という高温下で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温となり、加工がしやすいのが特徴です。加工後すぐに急冷します(焼入れ)。焼入れ工程を経て硬い鋼ができます。ただし、このままだと脆くて不安定な状態なので、所定の温度に再度加熱します(焼戻し)。焼戻し処理を行うことで、ばねとしての特性が現れます。

精度の高い加工の困難さが難点として挙げられます。とりわけ薄板の加工難易度は一気に上がってしまいます。

(2)冷間成形

主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特性を持ちます。金属に必要以上の熱をかけないため、高精度の加工ができます。金属の加工硬化が促進し、材料自体が硬化します。

ただし、大きな力で加工しなければならないことや、加工が過度になると内部ひずみを生じ「残留応力の蓄積」「粘り強さの減少」が起こることが難点です。残留応力を解消するにあたり、低温焼きなましを行います。


板ばねの計算例

板ばねの計算は、材料力学で用いられている公式が使えます。荷重が加わった際の、ばねに生じる最大応力とその位置・そこから求められるたわみやひずみに関しては、形状や材質から決まる各種の定数が関与しています。以下に押さえておくべき用語を紹介します。

応力

応力 = 力 / 断面積

ばねに外力(荷重)を加えると、材料の内部には外力に抵抗する力が発生します。材料に生じる応力が大きくなりすぎると、材料は破損します。応力とは、材料に発生する単位面積当たりの抵抗する力です。応力の種類には「引張り応力」「曲げ応力」「ねじり応力」の3種類があります。1つの応力だけが生じるのは稀で、複数の応力が同時に生じます。

ひずみ

ばねに荷重を加えると変形します。変形前の形に対する変形の割合が「ひずみ」です。ひずみには2種類あり、荷重方向のひずみを「縦ひずみ」、直角方向のひずみを「横ひずみ」といいます。

ばねのような弾性のある物体では、「荷重と伸び(応力とひずみ)は比例関係」にあります。ばねを選ぶ際にはこの応力とひずみの関係をしっかり計算して確認する必要があります。

ばね定数

F = k × 

ばねに荷重を加えると変形します。加えた力をF、変形量をxとし、上の関係を満たすkを「ばね定数」といいます。ばね定数が大きいほど硬いばねです。


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