接合加工基礎知識!板金加工品にも使われる「カシメ加工」を徹底解説

板金加工の基礎

接合加工基礎知識!板金加工品にも使われる「カシメ加工」を徹底解説

金属加工で様々な部品を組み合せる際に必要となる接合工程溶接ねじ固定の他にも、様々な方法があることをご存知でしょうか。本記事では、金属接合の様々な方法と、その中でも精密板金加工品の接合に使用されることの多い「カシメ加工」についてご紹介します。


接合加工とは?

接合加工とは、「目的の形状を作るため、部品をつなぎ合わせて組み立てる加工」を示します。機械の製作過程で、複数のパーツからなる複雑な部品を製作するときや、機械の組み立て時に使用します。

接合には、

①加工後分離できない接合(溶接など)

②加工後も分解できる接合(ねじ固定など)

の二種類があります。

メンテナンスを考慮する場合、必要部品を取り出せるように②の接合方法が多く採用されています。


金属の接合加工の種類

接合加工には接合の原理によって①機械的接合②冶金的接合③接着剤接合の三種類に分けることができます。

接合加工の種類

①機械的接合

②冶金的接合

③接着剤接合

  • ①機械的接合

母材間の材料的な接合ではなく、ねじや圧入、カシメなどによる接合です。

利点として、主に簡便な工具で簡単に組み立て・解体することができる点、信頼性の高い接合ができる点、破断が生じても接合部で進展が防止される点が挙げられます。一方で、信頼性の高い接合を得るためには、多数の部品や加工が必要となり、工数が多くなり、製作日数やコストがかかることもあります。また、継手が重ね継手になることや、接合部品によって製品重量が重くなる欠点もあります。


  • ②冶金的接合

溶接はんだ付けのように、金属材料の持つ特性を活かして接合する方法です。

継手の形状が簡単で、自由度が高く短時間で簡単に接合することが可能です。また、継手効率が高く気密・水密性が容易に得られること、製品重量が低減でき、組み立て工数も削減できるなどの長所があります。ただし、ひずみや残留応力が発生し、寸法精度の維持が難しい点や、解体が難しく破断が生じると止めることが難しい点、製品全体から見ると機械的性質や形状の不連続を生じる点が欠点として挙げられます。


  • ③接着剤接合

各種接着剤を利用して接合する方法です。

ほとんどの材料、また異材での接合が可能で、接合しても素材の性質や形状を変化させることがありません気密・水密性も優れ、製品の外観品質にも優れます。一方で、固定するのに時間を要することや、継手の耐熱性に限界があること、また継手の信頼性や耐用年数に関するデータが少ない点が欠点になります。


精密板金加工で使われる「カシメ加工」とは?

精密板金加工品の組立工程では、カシメ加工が使用されることが多くあります。

カシメ加工は機械的接合の一種で、二枚の板形状の部品を塑性変形を利用して接合する方法です。主な方法としては、二枚の板材に開けた穴にリベットを差し込み、リベットをプレス加工によって塑性変形させることで二つの部材を締結させます。また、穴のある部材と、穴にフィットする凸部をもつ部材を組み合わせて、穴から突出した凸部を折り曲げるようにプレスし二部材を接合する方法もカシメ加工の一つです。塑性変形を利用しているため、製品として完成すると分解することができません

引用元:株式会社伊澤製作所

カシメ加工は、溶接に適さない金属の組み合わせや、溶接することで変色してしまう塗装鋼板などの接合に適しています。場合によっては、板金とプラスチックのような樹脂との組み合わせも可能です。

溶接による組立とは異なり、低コストでスピーディーに加工することができるので、特に薄板の精密板金加工品の組立に適しています。


カシメ加工のメリット

カシメ加工では接着材を使用しないため、接着材の材料費を削減することができます。それだけでなく、板のみを使用して接合する場合には、ボルト、リベット等の副資材も不要なので、コストを削減できる接合加工といえます。加工直後もベタついたりすることがなく加熱しないため、塗装鋼板への使用に向いています。塑性変形を利用するため高速加工を可能にしています。


カシメ加工の種類

①ハゼ折りカシメ

板の接続に一部を折り曲げることで接合する方法です。見た目がきれいで、加工後も強度・安定性に優れます。

引用元:株式会社エナミ精機

②シーミング

板の縁を曲げて絡ませて接合する方法です。加工後の強度・安定性に優れます。

板の縁を巻き上げて一緒に締めることで接合する方法です。金属以外の異素材との接合が可能です。

穴状に少ない加工圧力を加えて接合する方法です。強度のある接合が可能で、強度の異方性がなく力の方向に左右されません

穴を開けた部品にリベットを通しリベットの先を加圧して潰すことで複数の部品を接合する方法です。必要最小限の力で加工するため、高精度が維持できます。

  • ⑥コーナーカシメ

角材で板の一部を折り曲げて接合する方法です。単一材をそのままに折り曲げて製作したものよりも強度が高く、使用工具の消耗も少ないことがメリットです。

引用元:株式会社エナミ精機


カシメ加工による製品例

カシメ加工を利用した最も代表的な製品として、洗濯機のステンレスドラムが挙げられます。ねじや溶接を必要としないカシメ加工を用いることで、洗濯物を傷つける心配がありません灯油タンクも、丈夫で長持ちして美しく仕上がるというという理由からカシメ加工が多く採用されています。他にも、洗濯機の外装換気扇枠雨樋などの建築部材にも使われています。


まとめ

今回は、金属加工で用いられる接合方法の種類と、精密板金加工で採用されることの多いカシメ加工についてご紹介しました。同じ「接合」でも、方法によって長所や短所があり、使用する材との向き不向きがあることがわかります。一つの製品を生み出すために様々な部材を組み立てるにあたり、接合方法についても適切なものを見極めて採用したいですね。

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Mitsuri編集部

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Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

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