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インボイス制度と電子帳簿保存法の概念と関係を徹底解説!改定による影響と準備も紹介

2024-09-06

更新

この記事を監修した人

甲平 伊織

(株)Catallaxyバックオフィス

経理と総務業務の実務経験が10年あり、前職の製造業では社内のDX化を推進。現在、株式会社Catallaxyで総務、経理、人事業務を一手に担当し、バックオフィス全体を管理している。大阪育ち。

インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正というニュースを通じて「インボイス」や「電帳法」といった言葉を聞いたことがあっても、実際にその内容まで理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、インボイス制度と電子帳簿保存法について、それぞれの概念と具体的な影響、制度への対応に向けた準備について解説をします。

インボイス制度と電子帳簿保存法とは

まずは、インボイス制度と電子帳簿保存法について解説をしていきます。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」の通称で、インボイス(適格請求書)を用いることによって仕入税額控除を受けられる制度です。

国税庁が事前に許可を与えた適格請求書発行事業者だけが発行できるインボイスの中で、取引先が支払う消費税額を計算します。

インボイスには以下の内容を含む必要があります。

  • 登録番号
  • 適格請求書を発行する氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分した消費税額
  • 適格請求書の交付を受ける取引先の氏名または名称

また、事業者は販売時と仕入れ時に支払う消費税によって二重課税が発生します。この二重課税を避けるために、仕入税額控除という仕組みを使って消費税を計算します。

事業者が消費税を計算するときには仕入税額控除によって計算された金額を支払うことになります。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、電子化された帳簿類を法的に認めるための法律です。また、この法律は1998年に施行され、改正が重ねられてきましたが、2022年1月にも改正されています。

対象書類は、簿記帳簿・記録書類・証憑などが該当します。これらの帳簿類を電子で保存する場合は下記の要件を満たす必要があります。

  • 完全性:情報が改ざんされていないことを証明できるか
  • 可読性:読み取り可能か
  • 再現性:復元時に元の情報と一致しているか
  • 保存期間:書類別に定められた期間保存しているか
  • 保存場所:一元管理やセキュリティ対策をしているか

2022年の改正点の概要を以下に3つ記載します。

  1. 税務署長の事前承認制度の廃止:事前承認がなくなることで実施工程を簡素化
  2. 適正事務処理要件の廃止:紙原本をスキャナ保存するときに1人で作業可能
  3. 検索要件の緩和:電子データ検索時の必要な項目を簡略化

インボイス制度と電子帳簿保存法との関係性

インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性について紹介します。

インボイス制度は、インボイスの中で消費税額を計算し、帳簿に記載する制度です。インボイスを適切に保存・管理しておかないと仕入税額控を受けることができません。具体的には、制度に則った帳簿や請求書などを保管しておく必要があります。

一方、電子帳簿保存法は、事業者が帳簿類を電子化して保存するときに、どのような要件を満たす必要があるかを定めた法律です。電子帳簿保存法により、事業者は電子帳簿の作成・保存によって、紙帳簿と同等の証憑力を持つことができます。

インボイス制度と電子帳簿保存法はお互いに関係する制度です。電子帳簿保存法の要件に沿って電子化を行い、適切に管理をすることで、インボイス制度の適切な運用が可能になります。

インボイス制度と電子帳簿保存法による影響

次に、インボイス制度と電子帳簿保存法による影響について解説します。

インボイス制度による影響

インボイス制度の実施は、普段作成する請求書に影響を与えます。

インボイス制度以前の請求書は「区分記載請求書」という書類でしたが、インボイス制度導入に伴い「適格請求書」へと変更になり、請求書の記載事項が変わります。

具体的には、適格請求書になることで

  • 「適格請求書を発行する事業者の登録番号」
  • 「税率ごとの消費税額」

を新たに追記する必要があります。

また、その他の変更点として、消費税額の算出方法が選べることも挙げられます。

以前は、年間の総売上に対して消費税を計算する「割戻し計算」だけが認められていました。しかし、インボイス制度によって売上が発生するたびに消費税を計算する「積上げ計算」を選択することも可能になりました。

電子帳簿保存法による影響

電子帳簿保存法改正の主な影響は、帳票類をデータ保存して管理しなければならなくなったことです。

ただし、2022年の改正で電子データの保存要件が緩和され、電子データの保存がしやすくなっています。

一方で、スキャナ保存したデータに不正があった場合には加重措置が課されることになります。具体的には、隠蔽、仮装、それらの申告漏れがあった場合に10%加重されることになります。

電子データの保存はしやすくなっても、管理は注意して行う必要があります。

インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備

インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備について解説します。

新しい制度に対する社内教育

1つ目は、新しい制度に対する社内教育です。

インボイス制度や電子帳簿保存法は、帳簿に関することなので経営者や経理担当者のみが知っていればよいという訳ではありません。

たとえば、営業担当者が顧客と請求書のやり取りをする場合、どのように事務処理を進めるのか理解しておかないと余計な時間を取ることになってしまうかもしれません。

社内教育をしっかりと行うことで、新しい制度への理解を深めておくことが重要です。

証憑書類管理システムの導入

2つ目は、証憑書類管理システムの導入です。

証憑書類管理システムの導入により、インボイスに必要な項目が記載されているか、保存要件に不備がないかといったことまで一元管理することが可能になります。

システム導入によって作業が効率化され、工数削減や証憑書類関係の業務の属人性の解消にもつながります。

まとめ

本記事ではインボイス制度と電子帳簿保存法の概要や影響、それらに対応するための準備について解説してきました。

インボイス制度や電子帳簿保存法は電子データでの証憑書類の保存や運用方法を定めた法律であり、電子化の流れが加速しています。

社内の書類が電子データになることで便利になり、生産性が高まる期待もあります。企業はそれらの法整備に対応できるように準備をすることが必要です。

本記事も参考に、インボイス制度や電子帳簿保存法についての対応を検討しましょう。

 

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