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インボイス制度と電子帳簿保存法の関係をわかりやすく解説【2026年版】

公開:2023-10-03更新:2026-08-18読了目安:約7分
インボイス制度と電子帳簿保存法の概念と関係を徹底解説!改定による影響と準備も紹介

インボイス制度が始まって2年以上、電子帳簿保存法への対応が本格化してからも一定の時間が経ちました。「言葉は知っているけれど、それぞれの制度がどう関係しているのか整理できていない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、両制度の違いと関係性、そして2024年以降に何が変わったのかを、実務目線であらためて整理します。

インボイス制度と電子帳簿保存法は何が違う?

インボイス制度は、消費税の仕入税額控除を受けるための「請求書のルール」です。一方、電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データでやり取り・保存する際の「保存方法のルール」を定めたものです。対象にしている領域が異なるため別の制度ですが、請求書を電子データでやり取りする場面では両方のルールが同時に関わってきます。この重なりが、両制度が混同されやすい理由でもあります。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」の通称で、インボイス(適格請求書)を用いることによって仕入税額控除を受けられる制度です。

国税庁に登録した適格請求書発行事業者だけがインボイスを発行でき、インボイスには次の内容を含める必要があります。

  • 登録番号
  • 適格請求書を発行する事業者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分した消費税額
  • 適格請求書の交付を受ける取引先の氏名または名称

事業者は販売時と仕入時にそれぞれ消費税を支払うことで二重課税が発生しますが、仕入税額控除の仕組みによってこれを解消できます。課税事業者が納税額を計算する際は、売上に紐づく消費税額から仕入に紐づく消費税額を差し引いて計算します。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、電子化された帳簿類を法的に認めるための法律です。1998年に施行されて以降、たびたび改正が重ねられてきました。対象書類は、簿記帳簿・記録書類・証憑などです。これらを電子で保存する場合は、次の要件を満たす必要があります。

  • 完全性:情報が改ざんされていないことを証明できるか
  • 可読性:読み取り可能か
  • 再現性:復元時に元の情報と一致しているか
  • 保存期間:書類別に定められた期間保存しているか
  • 保存場所:一元管理やセキュリティ対策をしているか

2022年の改正では、主に次の3点が変更されました。

  1. 税務署長の事前承認制度の廃止:事前承認がなくなり手続きが簡素化された
  2. 適正事務処理要件の廃止:紙原本をスキャナ保存する際、1人での作業が可能になった
  3. 検索要件の緩和:電子データ検索時に必要な項目が簡略化された

2024年1月から何が変わった?宥恕措置終了と新しい猶予措置

2022年改正の際には、対応が間に合わない事業者向けに「宥恕措置」という経過措置が設けられていましたが、この宥恕措置は2023年12月31日で終了しています。これにより2024年1月からは、メールで受け取ったPDF請求書やネット通販でダウンロードした領収書など、電子的に授受した取引データは、原則として紙に出力せず電子データのまま保存することが必要になりました。

ただし、2024年1月からは新たに「猶予措置」が設けられています。保存システムや社内の業務フロー整備が間に合わないなど「相当の理由」があり、税務調査の際にデータのダウンロードの求めや、そのデータをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じられる場合には、保存要件に従わない形での保存も認められます。事前に税務署へ申請する必要はありませんが、なぜ法令どおりの対応ができなかったのかを税務調査の際に説明する責任は事業者側にあります。

名前が似ているため混同されがちですが、「宥恕措置」と「猶予措置」は次のように性質が異なります。

宥恕措置(旧・経過措置) 猶予措置(新・本則)
位置づけ 令和4年度改正による2年間の経過措置 令和5年度改正で電子帳簿保存法の本則に規定
適用期間 2022年1月1日〜2023年12月31日 2024年1月1日〜(期限の定めなし)
適用条件 「やむを得ない事情」があると税務署長が認める場合 「相当の理由」があると税務署長が認める場合
求められる対応 出力書面の提示・提出に応じられること 出力書面の提示・提出に加え、電子データのダウンロードの求めにも応じられること
事前申請 不要 不要

ポイントは、この猶予措置が「宥恕措置」とは違い、期限付きの経過措置ではないという点です。財務省の解説資料によれば、この猶予措置は電子帳簿保存法の本則に恒久的な制度として位置付けられており、国会答弁(令和5年3月・参議院財政金融委員会)でも「適用期限のない、新たな猶予措置を整備する」と明確に説明されています。あえて「宥恕措置」から「猶予措置」へと呼び方を変えたのも、期限付きの経過措置とは異なる制度であることを明確にするためだとされています。つまり「宥恕措置」自体は2023年12月31日で廃止されましたが、実質的に同じ内容が期限の定めのない「猶予措置」として現在も適用されています。「2026年に猶予措置が終了する」といった情報も見られますが、これは宥恕措置の廃止時期と混同したものと考えられます。ただし、あくまで「相当の理由」があることが前提の措置であるため、恒久的に頼り切るのではなく、計画的に電子保存へ対応していくことをおすすめします。

インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性

インボイス制度は、インボイスをもとに消費税額を計算し、帳簿に記載する制度です。インボイスを適切に保存・管理していなければ、仕入税額控除を受けられません。

一方の電子帳簿保存法は、帳簿類を電子化して保存する際の要件を定めた法律です。2024年以降は、電子的に受け取ったインボイスを紙に出力して保存するという選択肢が原則なくなり、電帳法の要件に沿った電子保存が前提になっています。つまり、インボイス制度に対応するための請求書運用と、電子帳簿保存法に対応するための保存要件は、切り離して考えることができない関係になったと言えます。

実務で気をつけたいポイント

社内教育

インボイス制度や電子帳簿保存法は、経理担当者だけが把握していればよいものではありません。営業担当者が取引先と請求書をやり取りする場面でも、どのようなデータ形式で受け渡しをすればよいか理解しておく必要があります。社内での認識をあらためて揃えておきましょう。

証憑書類管理システムの導入・見直し

証憑書類管理システムを使えば、インボイスに必要な記載事項が揃っているか、保存要件に不備がないかを一元管理できます。すでに導入済みの場合も、2024年以降の要件を満たせているか、この機会に見直しておくと安心です。

検索要件の緩和特例も確認する

売上高が一定基準以下の中小事業者については、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられれば、検索機能の整備が不要になる緩和特例もあります。具体的な売上高の基準は改正のたびに見直されているため、最新の基準は国税庁の情報で確認してください。

今後の方向性:電子インボイス(Peppol)と電帳法の連携

今後は、Peppol(ペポル)という国際規格をベースにした電子インボイスの普及が進むと見られています。電子インボイスで受け取ったデータが、電帳法の要件を満たした形で自動的に保存される仕組みへと連携していく方向性が示されており、将来的には手作業での保存対応そのものが減っていく可能性があります。制度の全体像を把握しておくと、システム選定の際の判断材料にもなります。

まとめ

インボイス制度と電子帳簿保存法は、それぞれ「請求書のルール」と「保存方法のルール」という別の制度ですが、2024年以降は電子データでの保存が原則となったことで、両者を切り離して考えることが難しくなっています。すでに運用を始めている企業も、この機会に自社の対応状況をあらためて確認し、猶予措置に頼りきらない体制づくりを進めておくことをおすすめします。

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