インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

2023-11-06

インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

インボイス制度が始まる前に問題点への対策を打っておきたい、と考える担当者もいるでしょう。インボイス制度を適切に利用開始すればメリットを得られるものの、取引先が制度加入していない場合、適切な控除を得られない可能性もあります。制度開始に合わせて社内体制を整備しなければ、経理担当者の負担が増えてしまいます。そのような事態が発生しないためにも、問題点を早期に把握して、対策を打つことが大切です。

そこで本記事では、インボイス制度の問題点と解決方法、押さえておくべき負担軽減措置について詳しく解説します。

インボイス制度の問題点とは

まずは、インボイス制度の問題点について、以下4点を説明します。

  • 仕入れ税額控除減額の可能性
  • 経理担当者の負担増の可能性
  • 取引が継続されない可能性
  • 請求書の様式変更

それぞれ、一つずつ見ていきましょう。

仕入れ税額控除減額の可能性

1つ目の問題点は、仕入れ税額控除減額の可能性です。

仕入れ税額控除減額とは、仕入れた商品やサービスにかかった消費税を、自社で支払った消費税から差し引いて納税する仕組みです。消費税の二重課税を解消できる、という特徴があります。

インボイス制度開始後、売り手となる取引先がインボイス制度に加入していない場合、買い手は仕入税額控除が減額されます。免税事業者に支払った消費税は、税務署からは支払ったと認められないため、自社がわざわざ納付しなければなりません。

経理担当者の負担増の可能性

2つ目の問題点は、経理担当者の負担増の可能性です。

インボイス制度導入開始後は、免税事業者となる取引先が、インボイス制度に加入しているか、そうでないかが分かれます。そのため、買い手側の経理担当者は、それぞれの企業に合わせた対応が必要です。

仕入れ税額控除率も異なり、取引ごとに税額計算を行う積上げ計算も加わるため、それぞれのインボイス(適格請求書)を区別して管理する必要があるでしょう。

インボイス制度開始後は、請求書を受け取って処理する経理担当者の請求書業務の負担も増える可能性が高く、制度開始に備えて体制を整えておく必要があります。

取引が継続されない可能性

3つ目の問題点は、取引が継続されない可能性です。

売り手側がインボイス制度に加入していない場合、買い手にとっては「取引先の仕入れ税額控除が減額されてしまう」というデメリットがあります。買い手の中には「インボイス制度に加入していない企業とは今後の取引を見直したい」と判断し、取引を継続されない可能性が高まるでしょう。

そのため、インボイス制度に加入しない免税事業者(売り手)は、インボイス制度開始後取引先が減り、売上も減少してしまうかもしれません。

請求書の様式変更

4つ目の問題点は、請求書の様式変更です。

インボイス制度開始後、売手側は従来の請求書の様式に対して、以下の記載事項を追加して発行する必要があります。

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

上記対応のためには、請求書や請求書まわりの帳票(納品書・検収書)などを管理する、基幹システム・帳票システムなどへの対応が必要です。

請求書一つの様式を変更するだけでも、データ生成方法や項目定義、帳票定義の仕様変更など、さまざまなシステムの変更対応をしなければなりません。

経理部門、システムを担当するバックオフィス部門などに、インボイス対応による仕事の負担がかかる可能性もあります。

インボイス制度の問題点の解決方法

インボイス制度の問題点の解決方法について、以下2点を説明します。

  • 売手側の対応
  • 買手側の対応

それぞれ、一つずつ見ていきましょう。

売手側の対応

1つ目は、売手側の対応です。

インボイス制度開始後、要件が満たされた適格請求書をスムーズに発行するためにも、売り手は早い段階で、インボイス制度への登録申請などの手続きを進めておく必要があります。

場合によっては免税事業者から課税事業者への変更対応が必要なケースもあるでしょう。請求書のフォーマット対応や、基幹システム側で項目変更など対応に追われないためにも、余裕を持った期間設定が大切です。

買手側の対応

2つ目は、買手側の対応です。

社内で経理事務を担当する方は、インボイス制度の問題点に備えた対応が必要となります。

たとえば、消費税額の計算方法に関して従来の割り戻し計算ではなく、売上で発生した消費税の金額を都度足す「積上げ計算」を理解しておくことが重要です。

中小企業の場合、売上に係る消費税額から、消費税の納税額を簡単に算出できる「簡易課税制度」の適用も検討しましょう。対象となる課税事業者なら任意で選択でき、経理事務の負担も軽減できる可能性があります。

また、免税事業者と課税事業者から発行される請求書の区分・管理も必要です。請求業務のワークフローの見直しも検討することで、業務効率化を図りましょう。

インボイス制度開始後は、取引先が課税事業者ではない場合、仕入れ税額控除減額の恐れもあります。取引相手が免税事業者か課税事業者かを確認し、今後も継続するべきかを見極めていきましょう。

インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置とは

インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置について、以下4点を説明します。

  • 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)
  • 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)
  • 少額な返還インボイスの交付義務免除
  • 登録制度の見直しと手続の柔軟化

それぞれ、一つずつ見ていきましょう。

小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)

小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)とは、インボイス制度開始を機に、免税事業者から課税事業者(インボイス発行事業者)となった小規模事業者に対して、税負担が増えることを防ぐために設けられた控除制度です。

インボイス制度は、小規模事業者や個人事業主・フリーランスにとって、請求書の内容記録や報告負担が重く、導入に踏み切れない場合もあるでしょう。

2割特例を適用可能な小規模事業者は、売上税額の2割を納税額とできるため、納税義務の負担が重いと感じている事業者にとって大きなメリットです。

ただし、この特例は小規模事業者に限られており、補助上限が設けられています。

また、2割特例の期間は、2023年(令和5年)10月1日〜2029年(令和11年)9月30日までの間と限定されています。

したがって、小規模事業者はその期間の間、インボイス制度を導入するために体制などを整えておくといいでしょう。インボイス発行事業者登録を受けていないと、2割特例の対象となりませんので、注意しましょう。

一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)

一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)とは、前々年・前々事業年度となる基準期間において、課税売上高が1億円以下、かつ当該課税仕入れに係る支払対価よの額が、1万円未満の場合に適用される仕組みです。

一定の事項が記載された帳簿を保存しておけば、インボイス制度の開始から6年間、仕入税額控除を受けることが可能です。

この制度により、2023年10月1日〜2029年9月30日までの間は、インボイスとして保存しなくとも、国内の課税仕入れに関しても仕入れ額控除を認められるでしょう。

少額な返還インボイスの交付義務免除

少額な返還インボイスの交付義務免除とは、一定金額以下の返品・値引き・割戻しなどを対象に、売上の返還に関して、返還インボイス交付義務が免除される、という制度です。

インボイス制度では、商品などの返品・値引きにおいて売上の一部返還を行う際、適格返還請求書となる返還インボイスを、別途交付する必要がありました。インボイス制度の改正により、税込1万円未満の値引き等については、返還インボイスの交付不要と定められています。

登録制度の見直しと手続の柔軟化

インボイス制度導入にあたり、登録制度の見直し・手続きの柔軟化が行われています。

適格請求書を発行するためには、当初2023年3月31日までが登録期限とされ、その日までに登録申請書を提出する必要がありました。しかし、登録制度の見直しにより、2023年9月30日まで、期限が延長されることとなりました。

この見直しにより、これから導入を検討する企業も増えています。またインボイス制度は多くの企業にとって簡単で使いやすい制度になるのではと、期待が高まっています。

まとめ

本記事では、インボイス制度の問題点とその解決方法、負担軽減措置について解説しました。

インボイス制度準備をしていないままでいると、自社に大きな影響をもたらしてしまうかもしれません。インボイス制度を円滑に進めるためにも、制度開始前に既知の問題点を把握し、請求書等関連システムの仕様変更や体制強化が大切です。インボイス制度は2023年10月1日よりスタートします。制度開始に合わせて、しっかりと準備を整えていきましょう。

 

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