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【インタビュー】株式会社広伸 石川社長

2024-05-29

記念すべき第一回目は、「株式会社広伸」様にお答えいただきました。

株式会社広伸 外構
石川裕社長

広伸株式会社

カタラクシー小椋:

まずは御社の創業からの歴史について簡単にご紹介いただけますでしょうか。

石川社長:

1965年に創業しまして、当初は 個人事業として創業しました。1970年に法人化しています。そろそろ53期目が終わろうとしています。

カタラクシー小椋:

53期目ということで、われわれIT企業からするととんでもない歴史をお持ちですね。ところでこの「広伸」というお名前については創業者の方のお名前と何か関係する部分があるんですか。

石川社長:

もともと辻製作所という社名から始まりまして、90年代になって広伸という名前に変わりましたね。なぜ「広伸」なのかですが、伝聞によると姓名判断を見てくれる方による命名だったようです笑 それは裏話として、表のお話としては広く伸びていきたいという想いがあったようです。

カタラクシー小椋:

ビジネスが末広がりになるように、という想いを込めてということですね。御社は板金が得意と聞いておりますから、金属を薄く伸ばす、みたいな感覚とも関わりがあるのかなと思っておりましたが、そこはあまり関係ないですか?

石川社長:

金属の加工と社名は関係ないです笑 板金に限らず様々な加工にチャレンジしていきたいという想いではおりますね。

カタラクシー小椋:

ありがとうございます。今従業員の方はどれくらいいらっしゃるのですか?

石川社長:

100名弱といったところです。平均年齢的にはもう40代後半になってまして、9名の外国人の方にも働いてもらっています。 ベトナムのエンジニアが3名と特定技能が6名。40代が多く、ベテランと呼ばれる域に入ってくるような方が多いですね。これは製造業共通の悩みですけれども、なかなか若い子が採用できないですね。

カタラクシー小椋:

なるほど。御社ではどんな加工が得意なのでしょうか?

石川社長:

弊社は鉄骨プレハブメーカーさんと共に成長してきた経緯がありますので、メインのお客様は住宅業界に多くいらっしゃいます。住宅も、分譲住宅ではなく請負住宅なので個々に少しずつデザインが違うのですよね。住宅にあわせて小さいものから大きいものまでなんでも対応する必要がありました。かつ、溶接のウェイトが高い。なんでも加工できて、かつ溶接という特殊品質を担保しなければならない。

多品種少量で、溶接も含めて製造を請け負っているので置いている機械の種類は豊富です。プレス、タレパン、レーザー、ブレーキと板金加工で必要な設備はひととおり揃えています。かつ、溶接もやりますので、現在溶接ロボットが18台あります。従事する溶接作業員も30名近くおります。

板厚でいうと、中板というゾーンで3.2mmから6mmの厚みの加工が大半、8割くらいを占めてます。ですので弊社の領域は一言でいうと「中板の板金・溶接」となりますね。

カタラクシー小椋:

なるほど、中板の板金・溶接。お客様は住宅メーカーさんが中心ということですが、新規のお客様も受け入れていらっしゃるのでしょうか。

石川社長:

創業当時から鋼製家具メーカーさんの製品なんかをやらせてもらっています。鋼製家具で使われる棚板ですね。これは薄板板金になるのですが、そのあたりの製品もやらせてもらってます。

あとは物流倉庫なんかでもよく使われている、柱やフレームなんかもやってます。あとはブラケットなんかもやります。たとえば鉄道車両メーカー、農機具メーカーともお付き合いがあります。

少量ではありますが、舞台装置も取り扱っています。住宅関連以外の残り2割がこんなところです。

カタラクシー小椋:

住宅メーカー以外のものも豊富に取り扱われているのですね。御社に加工をお願いする場合、どんなふうに会話がスタートするのでしょうか。

石川社長:

うーん…パターンはいくつかありますが、弊社のことを全くご存知ないお客様であれば、図面をもらって加工可能かどうかの判断をさせていただきます。既存のお客様であれば、弊社の加工実績を知っていただいているので、図面に変更があったとしてもシンプルなコミュニケーションで済むことが多いです。いわゆるリピート品ですね。

カタラクシー小椋:

なるほど。お客様は昔からお付き合いある方が多いのでしょうか、それとも一見さんも結構いらっしゃいますか?

石川社長:

既存の住宅メーカーさんも含めて、9割が既存のお客様ですね。図面を少し違えたような類似品の注文をリピートでいただいています。

カタラクシー小椋:

残りの1割のお客様が流動的なお客様だとしたら、その1割のお客様はどうやって御社を見つけるのですか? ウェブサイトですか?

石川社長:

口コミや紹介ですね。正直、新規開拓はここ何年か伸びていないです。

カタラクシー小椋:

9割が既存のお客様で、それで稼働が埋まっているなら新規顧客開拓は必要なさそうですが。

石川社長:

いや、必要です笑 新規が獲得できていないので、そこは悩みの種ではあります。

とはいえ、工場の製造能力は上限があるので、新規を取ると既存のお客様の注文に対応できないというトレードオフがあります。既存のお客様には供給責任があるので。これまでは既存のお客様の商売の拡大にあわせて我々も拡大してきたので、新規を取れるほどの余力がなかったということもあるのですが。

かといって年がら年中忙しいというわけではなくて、稼働のスキマはあるのでそこにはまるような仕事を見つけていけたらと思ってはいます。

カタラクシー小椋:

たとえば御社の閑散期はいつですか?

石川社長:

住宅がメインのお客様ですので、人の移動に関係しているので3月までが忙しくて、例年4月5月がヒマです笑

カタラクシー小椋:

では、4月5月に御社に相談にいけばお仕事を請けていただける可能性は高いということですね!

石川社長:

そうなりますね。

カタラクシー小椋:

6月からは新規のお仕事は請けれない、ということでしょうか?

石川社長:

「請けれない」、ということではないですが、先ほど申しましたように「既存のお客様への供給責任」が出てくるので、納期を長めに頂いたりはしています。ただ、既存のお客様でも週ごとに発注をいただくお客様が多くて、曜日によっては稼働にバラつきが出るんです。溶接は時間が必要な工程なので、新規のお仕事は多くは請けれないのですが、抜きモノ・曲げモノはついで仕事でもできるので、そういったお仕事であれば新規でも全然お請けできます。

カタラクシー小椋:

なるほど。

石川社長:

もともと多品種少量で生産体制を敷いているので「これ一個」と言われても対応は可能です。既存のお客様からそういった別注がないので、Mitsuriのようなサービスを使って特注みたいな製品を作っています。タイミングの問題ですので新規のお客様はいつでもウェルカムです。

あとは、弊社が住宅メーカー中心にやってきておりますので、厳しい公差を要求されることはないんですね。どちらかというと粗い品質でやっておりまして、そこをご納得いただけるお客様であれば新規の少量受注も抵抗なくお請けします。

すなわち粗いものを多品種少量で、というのが弊社の強みかと思います。

KPFについて

カタラクシー小椋:

次の質問なんですけれども、製造業が中国やベトナムにシフトしたり、日本国内の製造業は厳しい状態が続いておりますが、これからどのようにビジネスを伸ばしていこう、というアイデアはありますか?

石川社長:

そうですね... 金属加工業って大変裾野が広く、いろんな産業の川上に位置する業態だと思うんですね。しかし裾野が広い分、精密板金から製缶まで全部揃えられるかというと資本的にも物理的にも難しい。

なので工場同士で「できること」をかけ合わせていくしかないと思っています。それを体現したのが、門真プラットフォーム、(KPF)です。

https://pr.kadoma-platform.com/

強みをかけ合わせることで、1+1が2以上になるようなイメージです。M&Aという方法もありますが広伸ではM&Aでなく、ゆるやかな連携を目指す方向です。

カタラクシー小椋:

なるほど。門真プラットフォームのお話が出たので、そちらの話題に移りましょう。僕は事前に聞いていたので僕から説明させていただくと、先ほど社長がおっしゃったような各工場の強みを持ち寄って、より良いものを作っていくという取り組みですね。

どういうきっかけで、このプラットフォームの取り組みが始まったのでしょうか?

石川社長:

もともと門真市が地域未来投資促進法に基づいて、門真市が基本計画を立てました。そこで門真市から「広伸さん、この基本計画に基づいた事業をやってもらえませんか?」とお願いされたのがきっかけです。

最初は「そんな大それたことできません!」と最初はお断りしたんですけど笑

しかし、地域をよりよくしていくという想いはずっと持っていましたから、オープンなプラットフォームをつくることで計画の主旨には応えられるのではないかと、最終的には引き受けました。

カタラクシー小椋:

地域のために石川社長が立ち上がった、と。

石川社長:

キレイに言うとそうですけど笑 工場が独自の強みを活かすことができれば、というのが根っこにはあります。強みを持ち寄って、一つの仕事にしていければという気持ちですね。

カタラクシー小椋:

それは、御社が案件を仕切って協力工場に流すのでしょうか。それともまた別のやり方なのですか?

石川社長:

品質保証を誰がするのか、という問題がありますので、加工物によって協力工場の中からヘッドになる会社を決めています。弊社がヘッドになって各社と連絡を取る場合もありますし、直接各工場と連携を取っていただくことも可能です。

そこも含めてオープンで、地域の中小企業に新しい仕事が回ってくればいいなという想いです。

カタラクシー小椋:

なるほど。プラットフォームの成果はいかがですか? 思ったようにお仕事が来ているのか、あるいは思ったよりは困難なのかでいうと?

石川社長:

困難だらけです笑 当初は「受発注システムがあれば皆さん使ってくれるだろう」という見込みがありましたが、コミュニケーションの細かい部分はシステムだけでは解決できません。人でつながる部分も多いので。それに、そもそも認知度は低いですし。仕切り直ししなきゃなとは思っています。

カタラクシー小椋:

門真プラットフォーム自体はオープンではあるが、広め方を変えていかなきゃいけないということですね。

石川社長:

そうですね。システム上でマッチングしなくても、システムがきっかけで企業同士つながって仕事になっているので、これを積み重ねていこうと想います。

カタラクシー小椋:

なるほど。プラットフォームの参画企業は門真市内の会社限定ですか?

石川社長:

基本は門真市ですけど、近隣の大東市とか東大阪市も受け入れています。とはいえ強みを持ち寄るということを考えるとおのずと距離は近くなりますね。

カタラクシー小椋:

我々も似たような「Mitsuri」というプラットフォームを運営しているので、 是非勉強させていただきたいです。我々の話でいうと、実は御社とは長い付き合いをさせていただいておりまして、2023年のリニューアル前のSaaSツールのときから使っていただいておりました。弊社のMitsuriに期待していることはどんなことでしょうか。

石川社長:

そうですね、カタラクシーさんの事業の遷移は遠くから見守っておりましたが、今の形態に落ち着かれたのは非常に良い判断だと思います。我々はアナログでずっとやってきて、その延長にデジタルがあるという形ですが、最初からデジタルで事業を作っていくという取り組みは私たちには成しえないことです。

各地域でいろんなマッチングプラットフォームが乱立していますが、それぞれのプラットフォームとシームレスに受発注が成立するようなものにしてくれれば嬉しいなとは思います。

カタラクシー小椋:

地域の工業団地レベルで仕事が請けられるような仕組みがMitsuriにあればいいということですね。

石川社長:

そうですね! 堅実にこれまで経営をしてきたので門真プラットフォームは一つの冒険でしたが、若い方に来てもらえるような会社にしたいとは思っています。どういうふうにすると若い方に来ていただけるかは考えているのですが。

新卒採用も始めました。人事制度の改定や、将来的には新工場を建てたいです。

カタラクシー小椋:

溶接となると長い修行期間が必要な気がしますが、実際どれくらいの修行期間が必要なのでしょうか?

石川社長:

溶接といってもピンキリなのですが、弊社では住宅メーカーなのでそこまで高度な溶接を求められることはなく、溶接技能者の基本級は1年程度で取れるようなイメージです。3年くらいすれば、専門的な溶接もできますね。ティグ溶接とか特殊鋼の溶接はさらに修行時間がかかりますが、弊社ではそこまで高度な注文がないです。溶接のお仕事はもっと取っていきたいです。

カタラクシー小椋:

この記事を見てくださっている方で「われこそは」という方がいらっしゃれば是非求人に応募していただきたいですね。

石川社長:

人は絶対必要ですからね。多品種少量で、溶接もロボットが代替するようになっておりますが最後は人がいります。いくら溶接が自動化したとしても溶接仕事自体がなくなるわけではありませんから。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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