2025-01-15
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表面焼入れには、炎焼入れ・高周波焼入れ・電子ビーム焼入れ・レーザ焼入れの4種類がありますが、そのなかでも高周波焼入れは、最も多く利用されている表面硬化法です。
高周波焼入れは、コイルを使った電磁誘導電流により材料を加熱する仕組みで、主に炭素鋼や低合金鋼の部品表面に対して耐摩耗性や耐疲労性を向上させるために行います。
今回は高周波焼入れの原理や適した材料、メリット・デメリットなどについて見てみましょう。
高周波焼入れとは、高周波電流から発生する誘導加熱を利用した熱入れ方法で、加熱コイルにより鋼材を熱したあとに、急速に冷却して鋼材の表面を硬化させることが可能です。表面焼入れしたままだと、破損や研磨割れが発生しやすくなるため、基本的に高周波焼入れ後は200℃以下の低温焼戻しを行います。
高周波電流の浸透深さは、鋼材の比透磁率や抵抗だけでなく、周波数によっても決まります。これにより、さまざまな周波数に対応する高周波発振機があります。加熱する際には、一般的に1~500kHzの広範囲の周波数が用いられています。
高周波焼入れを行う主な鋼材は、炭素鋼や低合金鋼が代表的で、産業機械のベッド・シャフト・歯車などの部品に多く使用されています。
引用元:Tech Note 表面熱処理の種類:金属熱処理の基礎知識7
高周波焼入れの例として、上図に竪型移動焼入れの構造を添付しています。
高周波焼入れ機は、鋼材の近くにある加熱用コイルに高周波電流を流すと、鋼材表面に渦電流が流れます。鋼材は、渦電流と鋼材の電気抵抗から発生するジュール熱によって発熱します。この熱により、鋼材をオーステナイト領域まで急速に加熱させたあと、内部温度が上昇する前に急速に冷却すると、鋼材の表面がマルテンサイト領域に入り硬化する仕組みです。
渦電流の浸透深さは、周波数が高いほど浅く、周波数が低いほど深くなります。そのため、硬化層深さを浅くしたい場合は高い周波数を、深くまで硬化させたい場合は低い周波数を用います。
定置一発焼入れは、部品のみ回転させて対象箇所全体を一度に加熱し、焼入れする方法です。加熱コイルや製品を大きく移動させない汎用的なタイプです。
引用元:東洋高周波工業株式会社 技術ブログ掲載全部品 ギアの歯底一歯焼入れ
一歯毎焼入れは、さまざまな種類のギアの一歯毎に焼入れすることを指します。歯の形状によってはコイル製作から行います。
引用元:株式会社ナガト 竪型移動焼入機
堅型移動焼入れは、加熱コイルと部品を縦方向に移動させて、連続で焼入れを行います。主に長尺や円柱状の部品に採用されています。
引用元:株式会社ナガト 横型移動焼入機
横型移動焼入れは、コイルと部品を横方向へ移動させながら、連続で焼入れを行います。主に平面を焼入れする部品に採用されています。
高周波焼入れに適した材質の例は以下の通りです。
ステンレス鋼:SUS420J2・SUS440C
高周波焼入れは、炭素鋼S45Cの場合、50~60HRC程度の硬度が得られます。
高周波焼入れに必要な装置は、以下のようなものがあります。
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