2025-01-15
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この記事では、ハンドタップの種類や使い方について解説します。
タップとは、金属加工に使う工具の一種で、母材にめねじを設けるためのものです。タップには、スパイラルタップやポイントタップ、ロールタップなどのさまざまな種類がありますが、そのなかでもハンドタップは、ストレート溝のタップを指します。別名を「ショートマシンタップ」といいます。ハンドタップは、その名前の通り手作業で扱うタップで、細かく分けると、「先タップ・中タップ・上タップ」があります。
ハンドタップに適した被削材は、高硬度の被削材、鋳鉄、調質鋼などです。ハンドタップは、切り屑をタップ本体に抱え込む設計のため、止まり穴と通り穴のどちらにも兼用できます。
ここでは、ハンドタップの種類と使い分け方について解説します。
ハンドタップは、【JIS B 0176-1 ねじ加工工具用語-第1部:タップ】の規格にて、食付き部の山数の違いにより【先タップ(1番)・中タップ(2番)・上タップ(3番)】の3種類に分けられています。
先タップ(1番)は、食付き部の山数が7~10山のタップを指します。7~10山がテーパー状になっており、下穴をあけたときに最初に立てるタップとして使用します。
先タップは、タップの食付き部が多くあることで先端が下穴に入りやすく、真っ直ぐに食いこみやすい形状になっています。また、タップの刃が少ないことから、弱い力でも切ることが可能です。
中タップ(2番)は、食付き部の山数が3~5山のタップを指します。先タップを使用したあとに中タップを用います。
貫通穴に対して使用する場合は、中タップのみでタップを立てることも可能です。
上タップ(3番)は、食付き部の山数が1~3山のタップを指します。上タップは穴の底まで加工するもので、仕上げ用として使うタップのため、「上げタップ」とも呼ばれています。
止まり穴の加工を行う場合は、先タップの後に上タップを使う場合もあります。
ハンドタップを使用する前に、ドリルで下穴をあけておきます。このとき、使用するタップに合う、適切なサイズの下穴径をあけるようにしましょう。また、下穴は必ず垂直にあけてください。
下穴をあけた後は、ハンドタップを使用します。専用のハンドルにタップを装着し、潤滑油をタップに吹きかけて、少し時計回りにねじを切る→反時計回りにタップを戻す作業を繰り返してタップを立てます。このときも垂直にタップを立てるように意識しましょう。タップ立ては、必要以上に力を入れるとタップが折れる場合があるので注意してください。
ハンドタップは使用するおねじの規格に適合するものを選ばなくてはなりません。また、下穴のサイズについても、おねじのサイズに合わせた径であける必要があります。
代表的な下穴のサイズは以下の通りです。
<ドリル径(下穴)のサイズ表:メートル並目ねじ>
ハンドタップを使用していると、段々切れ味が悪くなってきます。その場合は、もとの切れ味に戻すためにも再研磨が必要です。再研磨の時期の見極めは、ねじの仕上がり面が悪くなったときや、ねじの寸法精度が悪くなったとき、切削抵抗が大きくなったときなどが挙げられます。
ハンドタップの再研磨は、タップを扱う専門メーカーに依頼して行います。小さいサイズのハンドタップは使い捨てのもので対応できない場合があるので、再研磨を行いたいハンドタップが対応できるかは一度メーカーに問い合わせてみましょう。
ハンドタップの標準的な再研磨は、食付き部分と溝部分を研磨します。再研磨ではセンター出しのために、刃物の両端部にセンター穴が必要になる点に注意してください。
ハンドタップは、主に手作業でタップを立てるものですが、機械加工で使うことも可能です。ただし、機械加工でハンドタップを使用した場合は、切粉の排出性に乏しく、加工速度が上げられない点に注意してください。基本的に機械加工でタップを立てたい場合は、ポイントタップやスパイラルタップといった別のタイプを使用します。
仮に機械加工でハンドタップを使用する場合は、ハンドタップの先タップ・中タップ・上タップの3種類のうち、いずれか1つを使用することがほとんどです。
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