染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
ERPと生産管理について、あらためて基本をおさえておきたい、2つの違いを把握しておきたい、と考える方も少なくないと思います。ERPと生産管理は目的・機能、対象も異なり、ERPパッケージには生産管理機能を搭載しているものも多いです。
そこで本記事では、ERPと生産管理について、それぞれの概要と目的・機能・選び方を詳しく解説していきます。
ERPと生産管理について、概要を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
ERPとはEnterprise Resource Planningの略です。組織全体のリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し、統合的に管理する、業務プロセスを効率化するための情報システムのことを指しており、基幹系情報システムと呼ばれることもあります。
ERPでは、統合的にデータを管理していきます。 ERPシステムでは、企業のさまざまな部門(販売・製造・購買・会計・人事など)からのデータを一元管理することに加え、重複防止、情報の透明性と整合性を保つことが可能です。
また、注文管理・在庫管理・給与計算など、日々、繰り返されるタスクを自動化することも可能です。作業効率向上・ヒューマンエラーも削減できるでしょう。
蓄積されたデータからリアルタイムに販売動向・在庫状況・財務状況などを抽出し、企業の経営層に迅速かつ正確な意思決定を促せます。
ERPには便利な機能が豊富にあります。その分、導入コストがかかることや、複雑な運用になりやすいため、組織のニーズやリソースに応じて適切なシステムを選択することが重要です。
生産管理とは、製品を効率的に生産するために必要な一連の活動のことです。経営計画を元に生産計画をしていきます。
受注や仕掛状況の把握・材料調達・製造工程など、生産に関する業務を管理対象とします。
生産管理では、納期までに品質の高い製品を顧客に提供することが重要です。
そのため、不良品を最小限に抑えて品質基準を満たすことや原材料や機械など用意されたリソースを効率的に使用してコストを最小化すること、スケジュール管理し生産納期を守ることが求められます。
生産管理を効率よく進めるためにはシステム化が有効で、ERPはその手段の一つといえます。
ERPと生産管理の目的について、それぞれ説明します。
ERPシステムの目的は「業務全体を効率化すること」です。
従来、生産・販売・会計・人事など各部門では独自のシステムを保有しており、それぞれの管理や連携対応に大きな手間をかけていました。ERPを導入しそれらのシステムを統合的に管理することで、従来の業務プロセスを自動化でき、従業員の労働時間・労力削減、ヒューマンエラーを減らすことも可能です。
生産管理の目的は「生産業務を効率化すること」です。
製造業で製品を生産するとき、安定して提供できるために、生産プロセスを効率的に管理すること、生産コストを最小化することが挙げられます。また、生産スケジュールを作成し・管理し、製品の納期を守ることも生産管理の一つです。
ERPと生産管理システムのそれぞれの目的は、対象とする範囲に違いがあります。
ERPと生産管理の機能の違いについて説明します。
一つずつ見ていきましょう。
一般的なERPシステムの主要な機能をいくつか説明します。
ERPの機能として販売管理・財務会計・人事・経費・生産管理・在庫管理などの業務機能があります。また、それぞれのデータのバックアップやセキュリティ対策などシステム周りの管理機能も代表的です。
販売管理では、営業・顧客情報の管理・マーケティング活動・顧客のサポートなどを行います。代表的な例としては、企業の財務データの一元管理・予算計画・財務分析・資金調達・費用追跡などが財務関連を管理する機能です。
また、生産管理では生産計画・在庫管理・品質管理・工程管理など、生産プロセス全体を効率化していきます。
ERPには多くの機能があり、導入時に自社の目的に合わせて必要な機能をカスタマイズすることが可能です。その分コストもかかるため、ERPシステムを選ぶ際は、企業が必要とする機能に絞って、慎重に検討が必要です。
製造業の中心的な業務である生産管理について、主要な機能を説明します。
生産管理には、生産計画・在庫管理・品質管理・コスト管理などがあります。生産計画では、需要予測に基づいて、必要な製品をどのように・いつ・どのくらい生産するかを計画するのです。
在庫管理では現在の在庫数の確認、在庫種類の確認を行い、生産計画をサポートしていきます。これにより、在庫状況を正しく把握することはもちろん、過剰在庫の削減、在庫欠品の防止にもつながるでしょう。
生産管理機能には、品質管理もあります。品質チェックや不良品の特定・品質保証におけるプロセス改善なども含まれます。また、生産プロセスに関わる全体のコストを見て、生産効率の確認・無駄がないかの確認などを含めてコスト削減できるかを確認する機能も重要です。
これらの生産管理の機能は、ERPパッケージにも含まれることがあります。
生産管理を適切に実施するためのERPの選び方について、以下3点を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
1つ目は、対応範囲の確認です。
生産管理を適切に実施するために選択するERP製品が、自社の業務に対応しているか確認することが重要です。
ERPシステムは業務プロセスを統合して効率化するためのツールのため、製品によっては特定の業種や業務に特化した機能を持っていることが多いでしょう。そのため、自社の具体的なニーズと要件に合致したシステムを選ぶことが、導入の成功を左右します。
たとえば、自動車の部品会社が生産計画・在庫管理・設備保守管理など、具体的な生産管理のニーズを持っているとします。その企業がERPシステムを選ぶ際には、これらの要件を満たす機能がある製品を選ぶべきです。もし、要件に適した機がないERPを選んだ場合、システム導入後に追加のカスタマイズや別途システム導入が必要になり、コストと時間が追加で発生する可能性があります。
ERPを選ぶ際には、自社の業務要件に適した機能を持つ製品選びが、生産管理の効率化の実現、導入後の運用コストを削減するために重要と言えます。
2つ目は、対応業界の確認です。
生産管理を適切に実施するために、ERPが自社業界の課題を解決する機能を備えているかどうかが、重要な判断基準となります。
ERPには自動車業界、機械製造業、食品製造業向けなど、それぞれ特有の課題やニーズに対応した機能を持っているものも多いです。業界特有の機能に合わせたERPを選ぶことで、自社問題の効果的な解決、業務プロセスの効率化を実現できます。
たとえば、食品業界の場合、食品業界特有の習慣に対応している必要があります。たとえば、ロット管理・賞味期限管理機能が求められます。
自社の業界特有課題に対応した機能が備わったERPを選択することは、業務プロセスの効率化とリスクの軽減に大きく貢献します。
3つ目は、業務分野への影響です。
ERPを選ぶ際には、自社の生産管理分野以外への影響も考慮することが重要です。
ERPシステム、は組織全体の業務プロセスを統合するものであり、生産管理以外の部門(たとえば営業・財務・人事)にも大きな影響を及ぼします。生産管理のニーズにだけ焦点を当てて選択すると、他の部門の業務効率やパフォーマンスに影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
たとえば、生産管理の効率化を目指してERPシステムを選択した場合、このシステムは生産管理のニーズに完全に対応しているものの、営業部門や財務部門のニーズを満たしていないかもしれません。この場合、生産部門の効率は向上しますが、他の部門では情報共有や業務処理が困難になり、全体的な業務効率が低下する可能性もあります。
ERPを選択する際には、生産管理部門だけでなく、他の部門の業務プロセスに及ぼす影響も考慮することが重要です。
本記事では、ERPと生産管理について、それぞれの概要と目的・機能・選び方について解説しました。
ERPと生産管理は、そもそもの目的や機能、対象とする範囲が異なります。ERPには生産管理機能が含まれているものもあるため、生産管理に取り組むことを考えているなら、ERPを導入することがおすすめです。ERPにはさまざまな機能があり、業種・業界に合わせてカスタマイズも可能ですが、その分コストがかかります。
ERPで生産管理に取り組みたいなら、生産管理機能が含まれていることはもちろん、自社のニーズに合った機能を洗い出して選定しましょう。
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