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【バリ取りとは?】バリの種類や除去方法などを徹底解説!!

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

面取り取りについて動画で知りたい方はこちら

面取り指示の仕方について動画で解説しています。
噛み砕いて説明しているのでぜひ御覧ください!

切削の面取りについての解説動画はこちら!

板金の面取りについての解説動画はこちら!

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加工の過程で発生した金属の残留物や付着物を削り取る「バリ加工」。

バリ取りは一見地味な作業と思われがちですが、製品の精度や安全性を左右する“決定的に重要な工程”なのです。

そんな製品のクオリティを左右する、バリ加工についてこんなお悩みをお持ちではないでしょうか?

「バリ加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」

「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」

工場を探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。

バリとは

加工の際に発生した残留物が製品に付着したものが“バリ”。これが原因で、擦り傷や手を切ったりすることも多々あります。

バリは製品の安全性を悪化させるだけでなく、製品の精度にも影響を与えます。

板金製品を制作する図面には「バリ不可」と記載されていることも頻繁。

「バリ不可」という言葉は、

  • 安全性
  • 製品機能

の2点で十分に注意すべきだというメッセージになります。

バリの問題点

発生したバリが起こす問題点は以下の3つ。

  • ①バリによる怪我
  • ②故障や摩耗
  • ③精度の悪化

①バリによる怪我

バリは鋭利なので素手で触ると手を切るかもしれません。

板金製品を使うエンドユーザーがバリによって怪我を負うリスクが考えられますが、これは製造物責任法に関わる重大問題です。

たとえば、製品に残ったバリによってエンドユーザーが怪我をした場合を想定します。

この際、エンドユーザーは小売店ではなくメーカーに対して、無過失で責任を負わせます。

つまり損害賠償責任を追及されるのです。

②故障や摩耗

剥がれたバリが動作部に入りこむと、故障や摩耗につながります。

  • 製品へのキズ
  • 機能部品、電子部品への接触

などのトラブルを引き起こすため、要注意です。

以前であれば、製品の人が手を触れない場所はバリ取りが除外されてました。

しかし近年ではそれらの場所も100%人が触れないと言い切れないので、バリ取りを行う必要が出てきます。

その際、設計から出される図面には、人が触れる可能性がほんの少しでもあれば「バリなきこと」と記されなければなりません。

要するに、ほぼ全ての板金部品がバリ取りを必要とされてます。

③精度の悪化

正しく加工してもバリがあることで、その箇所の寸法は異常な値に。

組み立て時のバリの存在や、バリが剥がれて部品同士の間に挟まると、組み立て時の精度も悪化します。

製品の組み立て時、バリは「想定外のすき間」を作り出してしまいます。

エッジ部に発生したバリは、基準面と加工板の間に入り込み、基準面と計測道具の間隔を狂わせ、計測誤差を生み出すことに。

また、バリはせん断穴に入り込み、穴に通す丸棒との勘合不良を起こします。

さらにエッジ部から剥がれたバリは、ロールなどに付着して押し込みキズを作ります。

バリは先が鋭く尖っているため、組み立て時や使用中に指などに触れると、切創や突き刺さりの原因になり危険です。

また、バリがあると仕様性能においても問題になることがあります。

ドリルやエンドミル用の工具は切削加工を行いますが、工具のエッジにバリがついていると鋭いエッジになりません。

バリはできるだけ発生直後に除去しなければなりません。

バリの発生場所

バリは切削加工やせん断加工のエッジ部分に発生。

バリは金属加工物とつながっているため、衝撃や振動程度では取れません。

ボール盤加工の場合は、入り口と出口に切削加工で取れなかった部分がバリとして残ります。

フライス盤加工の場合は、フライスが侵入した入り口や出口にバリが付着。

さらに切削面の角に引きちぎりバリが生成。

とりわけ出口のバリは鋭く大きなバリが現れます。

バリの種類

バリは加工法ごとに発生状況が変化。

大きくわけて、以下の3つに分類されます。

①切削加工のバリ

②プレス加工のバリ

③鋳造・鍛造・射出成型のバリ

それぞれ解説をすすめてゆきます。

①切削加工のバリ

工作物に力が加わると、

  • 1.弾性変形(元に戻る変形)
  • 2.塑性変形(元に戻らない変形)
  • 3.破断

という流れで変形します。

切削加工の工具の切れ刃のあたりでは、上記の3つの変形が順番に生じてます。

加工面では塑性変形が起こっており、塑性変形によって製品の端にはみ出た箇所が“バリ”になります。

加工バリを少なくするためには、

  • 鋭利な工具で切り込み量を減らす
  • 出来上がる製品の端にダミーの材料を当てる

などの対策を行います。

②プレス加工のバリ

パンチが工作物に食い込むと工作物の、

入口には“ダレ”、出口には“バリ”

が生じます。

これは“せん断加工”の場合も同様です。

バリが発生する主要な原因としては「パンチとダイのクリアランス」が挙げられます。

クリアランスは大きすぎず小さすぎず、適正に設定しなければなりません。

③鋳造・鍛造・射出成型のバリ

分割した金型を合わせた際のすき間に流れた材料が原因で薄いバリ(パーティングライン)が発生。

通常、パーティングラインは製品の機能上、問題のないところにくるように設計します。

バリの除去

バリの発生そのものを0にすることは、とても困難なので“バリ取り”によって除去します。

バリだけをピンポイントで除去するのは困難なので、実際はバリの寸法以上に削ります。

たいていの場合は手作業で行うため、精度の高い“C面取り”や“R半径”とはなりませんが、実務ではC面取りで指示するのが通例です。(※)

(※)面取り寸法は、「C0.1~0.3mm」くらいの“触って痛くないレベル”で問題ありません。

バリ取り方法

バリは生成と同時に完全に取り除きたい欠陥と言えます。

バリ取りの方法には、大きく分けて

①機械加工法
②砥粒(とりゅう)加工法
③熱的加工法
④化学加工法
⑤電気化学的加工法

の5種類。

①機械加工法

機械加工法には、

・ボール盤やフライス盤を使用
・手仕上げ用の道具を使用
・ブラシを使用

などの方法があります。

エンドミル加工などで、バリが発生する場所を予備切削しておき、本加工後もバリが発生しないようにする工夫もあります。

②砥粒(とりゅう)加工法

砥粒加工には

  • 砥粒ジェット:気流で砥粒を吹きかける
  • 砥粒流動:砥粒をバリのついた加工品に接する状態で流動させてバリを除去
  • バレル研磨:容器の中に製品と砥粒を入れて一緒にかき回して切削
  • ベルト切削などの方法があります。

とりわけバレル研磨は砥粒研磨剤と研磨パーツを容器に入れて回転させるだけでバリが除去できるので、細かい部品のバリ取りに多用されます。

③熱的加工法

熱的加工法には

  • 火炎やプラズマを利用⇒バリだけを加熱除去
  • リ部に通電して電気抵抗で発熱させて除去

の2種類があります。

④化学加工法

化学的研磨は薬品でバリを溶かす方法です。

⑤電気化学的加工

電気化学的加工法は、

  • 電解研磨
  • 遠心バレル
  • スピンドル仕上げ

などがあります。

とりわけ電気研磨法は多用されます。

電解液中に研磨パーツを入れて、電解液を上下に揺動(ようどう)させながら通電します。

バリ取りは隠れた金属加工

金属加工を行う際は、「切断」「変形」などの加工が注目されがちですが、製品の品質を決める“最後のポイント”がバリ取りと言えます。

大きな問題を未然に防ぐには、加工の際に必ず現れるバリの除去が不可欠なのです。


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