2025-01-13
更新
今回はメッキ処理の中の「クロムメッキ」に絞って、特徴や使用場面、加工工程を解説していきます。
「クロムメッキってどんなメッキなの?」「どんな製品と相性がいいの?」「どんな工程で加工をするの?」
等の疑問にわかりやすくお答えしていきますので、参考にしていただければと思います。
外観が美しく、変色や腐食しにくい特性を持つクロムメッキは、住設機器や自動車部品、工業製品など幅広い用途で使われています。
クロムメッキには、「装飾用クロムメッキ」と「硬質クロムメッキ」の2種類があります。
大きな違いは、メッキ層の厚さです。
一般的に、装飾用クロムメッキの厚さが1μm以下、硬質クロムメッキは1μm以上とされ、用途や目的によって異なります。
「装飾用クロムメッキ」は薄いメッキ加工による光沢感ある仕上げで、主に美観を持たせた製品に適しています。
また、「硬質クロムメッキ」は厚いメッキを施すことにより硬度と耐摩耗性に優れていることから、機械部品や金型などの工業製品に適しています。
それぞれの特性をもつ2種類のクロムメッキについて、詳しく見ていきましょう。
装飾用クロムメッキは、ニッケルクロムメッキとも呼ばれ、一般的には銅やニッケルなどの中間メッキの上に、薄いメッキを施します。
表面に金属光沢加工と耐久性を持たせ、外観などの意匠性と耐食性を兼ね備えた施工技術です。
メッキ表面が空気に触れることで、酸化被膜が形成され耐食性を持たせています。
膜厚が0.5μm以上になると表面に割れが生じて耐久性が低くなることから、0.1μm〜0.5μmが製品に加工する一般的な基準となっています。
このように、装飾用クロムメッキは、サビなどによる腐食を防ぐだけでなく、製品の美観に優れているという特性から、水道蛇口などの設備部品や、自動車の外観部品などに使用されます。
硬質クロムメッキは、工業用メッキとも呼ばれ、硬度Hv750以上膜厚1μmから100μm、さらにメッキを厚く施すことで、より耐久性を高めることが可能です。
このような、硬質クロムメッキの硬度と耐摩耗性、潤滑性という特性から、機械工業や航空機など、さまざまな産業の分野で広く活用されています。
引用元: (株)ワカヤマ
ゴルフヘッド(有)藤本技工製:ニッケルメッキ(左) クロムメッキ(右)
クロムメッキは、表面の加工により高い耐久性能を持たせ、外観が変色しにくいことが特徴です。
画像の左側が「ニッケルメッキ」右側が「クロムメッキ」です。
色調は、クロムメッキが青み系であるのに対し、ニッケルメッキはやや黄系というのが特徴です。
実際のクロムメッキの色目は、画像よりシルバーに近い色です。
ニッケルメッキ表面にクロムメッキ加工を施すことで、独特な金属色調を生み出します。
「装飾用クロムメッキ」「硬質クロムメッキ」それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
装飾用クロムメッキの大きな特徴は、金属特有のピカピカした光沢感です。
バフ研磨を施すことでより表面の光沢感が増し、それにともない光反射性や熱反射性も高まります。
詳しい特性は、下記のとおりです。
<装飾用クロムメッキの特性>
引用元:株式会社エプテック
<装飾用クロムメッキの応用例>
引用元:株式会社エプテック
硬質クロムメッキの特徴は、これまで述べてきたように「硬度」「潤滑性」「耐摩耗性」「耐熱性」、さらに「肉盛性」「水素除去」などの優位性があります。
肉盛性とは、たとえば寸法の修正や修理を目的とする場合、膜厚を多くすることが可能なこと。
水素除去とは、硬質クロムメッキ中や表面に含まれる水素ガスを脱水素処理を施し、水素を除去することです。
詳しい特性は、下記のとおりです。
<硬質クロムメッキの特徴>
引用元:株式会社エプテック
<硬質クロムメッキの応用例>
引用元:株式会社エプテック
クロームメッキ前(左)
クロームメッキ後(右)
引用元:メッキ工房 NAKARAI
上記は、自動車樹脂パーツのクロムメッキ加工前と加工後の画像です。
クロムメッキ加工の工程は、材質や仕様目的により異なりますが、大きく「前処理」「本処理」「後処理」の順で行われます。
引用元:TECH-JOURNEY
さらにクロムメッキ本処理では、「1.下地のメッキ」「2.中間層のメッキ」「3.仕上げのメッキ」が行われます。
一般的なクロムメッキ本処理の加工工程を紹介します。
1.下地のメッキ
クロムメッキについてわかったところで、・具体的に費用はどれくらい掛かるのか・納品まで期間はどれくらい掛かるのかなどついて気になるかたがいらっしゃると思われます。そんな時はMitsuriにお任せ下さい!
クロムメッキの品質について、JISであげられている項目があります。
用途に合った品質管理項目を選択、自社や他の機関に依頼し適正な試験実施、製品の品質評価、ユーザーサイドでの使用環境を想定した実験評価を促しています。
以下は、日本工業規格によるクロムメッキの品質基準です。
【めっきの外観】
めっきの外観は、表面は平滑で、焦げ、こぶなど使用上有害な欠陥があってはならない。ただし、つや消し仕上げ(液体ホーニング、ブラスト仕上げ、ポーラス加工など)のものについては、必ずしも平滑でなくてもよい。
【めっきの最小厚さ及び許容差】
めっきの最小厚さ及び許容差は、受注当事者間の協定による。
【めっきの多孔率】
ポーラスクロムめっきの多孔率については、受注当事者間の協定による。
【めっきの密着性】
めっきの密着性は、めっきのはく離又は膨れがあってはならない。
【めっきの硬さ】
めっきの硬さは、ビッカース硬さ750以上とする。ただし用途によってビッカース硬さは受渡当事者間の協定によってもよい。
【めっきの耐摩耗性】
めっきの耐摩耗性は、受注当事者間の協定による。
【めっきの耐食性】
めっきの耐食性はこの品質を特に重視する用途に対してだけ適用し、その品質は受注当事者間の協定による。
引用元:日本硬質クロム工業会
クロムメッキが日本で工業化され80年以上が経過しました。
そのあいだ、産業の発展や時代のニーズに応じて、メッキ技術は進化をつづけ、今日では私たちの身のまわりのあらゆる製品開発に欠かせないものになっています。
素材の堅牢性だけでなく装飾性を併せもつクロムメッキ加工は、今後も日本のものづくりの発展に大きく貢献をもたらす技術といえます。
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