滑り止めの突起(リブ)が縞模様のように付いている「縞鋼板」は、「縞板」「チェッカープレート」とも呼ばれ、様々な製品で用いられています。
機能性(滑りにくい)と強靭性を併せ持つ縞鋼板は用途が広く、加工の需要も少なくありません。小ロットの加工をどこに依頼したらよいかを迷う場合も多いと思います。
この記事では、Mitsuriで依頼できる縞鋼板(チェッカープレート)の加工の種類を、事例と共に分りやすく紹介します。
縞鋼板(チェッカープレート)とは、鉄鋼製の板の表面に、圧延によって滑り止めの突起を設けたモノを指します。業界では縞板(しまいた)とよばれることも。縞鋼板は板状の鉄の塊(スラブ)を高温で圧延する「熱間圧延」による製法で作られます。
縞鋼板の滑り止め模様は、隣り合う模様とは45度の角度を付けているため、どの方向からでも滑り止めの効果が期待できます。また、それぞれが独立した模様であることから、水はけが良いことも特徴。
縞鋼板は高い機能性を有していながらも、価格は安価です。用途は建築構造物の床や、バスやトラックなどのステップ、溝・排水溝やハンドホールの蓋など、幅広く使用されています。
引用元:株式会社宝機材
縞鋼板(チェッカープレート)の規格サイズ・板厚・重量については上表の通りです。縞鋼板を加工する際は、上表の「幅×長さ」より、目的のサイズに近い定尺の品から、切断や曲げ、溶接をおこないます。
メーカーによっては、同じサイズでも比重や縞模様の寸法が異なり、取り扱いのあるサイズ・厚みにも違いがあるので注意してください。
引用元:株式会社神戸製鋼所
また、縞鋼板の機械的性質は上表の通りです。いずれのメーカーも、機械的性質の規定がない一般用と、SS400相当の機械的性質を有する一般用構造用があります。
縞鋼板は、日本工業規格(JIS)での規定がなく、化学成分や機械的性質の保証がありません。そのため、化学成分や機械的性質が求められる場合は、各メーカーが製造している、SS400相当の製品を使用します。
なかにはアルミニウム製やステンレス製の縞鋼板もありますが、一般的に「縞鋼板」と呼ばれるモノは鉄鋼製を表しています。材質が鉄鋼製と異なる場合は、「アルミニウム縞板」や「ステンレス縞板」というように、「材質名+縞板」で呼ばれることがほとんどです。
縞鋼板の加工には、主に切断加工、曲げ加工、溶接の3種類があります。
縞鋼板の切断は、直線的な切断はもちろん、円形や楕円形に仕上げる曲線の切断もできます。また、次のような複雑な形のカットも可能です。
切断方法には、①レーザー切断、②プラズマ切断、③ウォータージェット切断、④シャーリングなどがあります。
鋼板切断に広く使われているのがレーザー光線による切断です。赤外線領域の光を増幅集中させ、発生する熱で素材を切断します。
レーザー切断はごく狭い範囲にレーザー光を収束させることができるので、効率よくスピーディーに切断でき、切断面がきれいな点が特徴です。パソコンによる制御で直線も曲線も自由に切ることができ、小ロットにも対応できます。
プラズマ切断は、高温を発生させるアーク放電を利用した切断法で、高電圧をかけてプラズマ化(電子化)した気体を吹き付けて、素材を瞬時に溶かして吹き飛ばす方法です。
ガス切断のように素材を調整炎で炙る必要がないので、スピーディーに切断でき、素材の熱による変性が少ないメリットがあります。
ランニングコストも、酸素やアセチレンガスが消耗品であるガス切断より、主な消耗品が電気であるプラズマ切断の方が大幅に低くなります。
研磨剤(砂)を入れた高圧の水流で材料を切断するのがウォータージェット切断です。熱が発生せず、切断面がきれいで二次加工の必要がないというメリットがあります。
厚い材料でも直線や曲線が自由に切れるほか、三次元加工も可能です。任意の点から切断を開始できるので、穴あけ加工にも向いています。
2枚の刃を圧をかけながら動かして金属板を切断するのがシャーリングです。厚さ1
~6mmの鋼板を切断することができます。
シャーリング切断は、直線の切断に限定され、厚さ6mm以上の厚い縞鋼板の切断には向いていません。切断寸法に1mm以内の誤差が生じることがあります。
縞鋼板は用途に応じて、L字曲げ、V字曲げ、U字曲げ、コの字曲げ、R曲げなどの曲げ加工を施すことができます。
曲げ加工は、パンチ(上型・上刃・雄型)とダイ(下型・下刃・雌型)と呼ばれる2つの金型に素材を挟んでプレスすることで行います。代表的な曲げ加工方法(L,V,U字曲げ)は下図の通りです。
引用元:金属厚板の曲げ加工における曲げ方式 及び精度向上に関する研究
引用元:金属厚板の曲げ加工における曲げ方式 及び精度向上に関する研究
引用元:金属厚板の曲げ加工における曲げ方式 及び精度向上に関する研究
曲げ加工の金型には汎用性があるので、小ロットの発注も可能です。
縞鋼板は突起(リブ)があるため、曲げ加工で角度を出すのが通常の鋼板より難しいとされていますが、Mitsuriなら経験豊富な工場の紹介が可能です。
縞鋼板の加工でも溶接が必要になるケースは少なくありません。例えば、排水パイプをカバーする縞鋼板の工作物の裏側には次のような脚が溶接されています。
引用元:縞鋼板で溶接DIY
引用元:縞鋼板で溶接DIY
そのため、縞鋼板も溶接性を考慮した成分の配合や圧延方法で作られています。
亜鉛メッキを施した縞鋼板は溶接が難しいとされていますが、Mitsuriでは対応可能な工場をご紹介することが可能です。
縞鋼板は、人の足や車のタイヤが踏む箇所の滑り止めに、様々なところで使用されています。
階段踏板材は縞鋼板の利用範囲の中でももっとも需要が多い用途のひとつです。
引用元:NISSIN SANKO
床の配線を人や車が踏まないためのカバーで、滑りにくい縞鋼板の使用が必須です。
引用元:鉄・資材センター
駐車場の段差を解消するためのスロープで、タイヤが滑りにくい縞鋼板が適しています。
引用元:三幸金属工業所
建設現場の足場でも滑りにくい縞鋼板が多用されています。
引用元:アイリーワークス
人が通る場所に設置された、溝や排水溝の蓋にも縞鋼板が使用されます。
引用元:三幸金属工業所
家庭の敷地内にある水道の水道メーターの蓋にも縞鋼板が使用されています。
引用元:鉄・資材センター
蓋に使われる縞鋼板には、蓋の持ち手となる取手が付けられます。落とし込み取手はつまづき防止になり、回転取手は裏側に凹凸が出ないメリットがあります。
引用元:株式会社宝機材
蓋に使う縞鋼板は、裏側にずれ止めの加工をすることができます。
引用元:株式会社宝機材
今回は縞鋼板の加工法と使用例をご紹介しました。
縞鋼板は滑りにくいという特性を生かして様々な製品に加工されています。
製品によって必要な加工が異なるので、発注するときは対応可能な工場を選ぶ必要があります。
縞鋼板の加工についてお悩みのときは、ぜひMitsuriにご登録ください。
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