2025-01-15
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ノギスは、定規やスケールでは測定しにくい物体の外径や内径、穴の深さや段差の幅などを、1本で簡単に測定することができる測定工具です。
最近ではその便利さからモノづくりには欠かせない道具のひとつになっていて、部品の製造や機械加工などをメインにしているプロから、DIYを趣味にしている一般ユーザーに至るまで、幅広く活用されています。
今回は、一度使うと手放せなくなる便利なアイテム「ノギス」について、使い方や種類を詳しくご紹介していきます。
ノギスとは、さまざまな物の長さを正確に測ることができる測定工具のこと。
種類にもよりますが、プロの使用している精度の高いノギスはミリ以下の単位まで計測することができ、一般的に市販されているアナログノギスは100分の5mmまで、最新のデジタルノギスを使えばさらに細かい精度で計測が可能になっています。
ノギスで測定できるのは下記の通りです。
定規やスケールでは計測しにくく、用途も大きくことなるため、モノづくりをしている職人にとっては欠かせないアイテムのひとつです。
ノギスにはメインスケールに目盛りが振られていて、モノによってはセンチメートルだけでなくインチが測定できるようになっているものもあります。
それぞれの部位の名称や役割は下記の通り。
上記にもそれぞれの部位を記しているので、照らし合わせながら参考にしてください。
●メインスケール(本尺)
ノギスの本体で、縮尺が記されている文字盤のことです。メインスケールや本尺目盛りといった呼ばれ方をします。長さの単位はmmの他、ノギスによってはinchの目盛りが記されているものもあります。
●バーニアスケール(副尺)
ノギスのメインスケールをスライドするように設置されている文字盤のことです。メインスケールに記されているmmのスケールと併用することで、一般的なアナログノギスでも0.05mmまで計測することが可能です。最近では0.01mmまで測定できるデジタルノギスが主流となっています。
●外側ジョウ
外側ジョウはノギスの先端に設置されている、大きい方の測定器のことで、外径・外寸の測定に使用します。筒状・球体などの外径を正確に測定でき、ノギスで最も活用頻度が高い部分です。
一方はメインスケールに固定、もう一方はバーニアスケールと一緒にスライドする仕組みになっていて、計測したい物をジョウで挟み込むようにして使用します。
●内側ジョウ(クチバシ)
内側ジョウは外側ジョウの反対側に設置されている小さい方の計測器で、主に筒状の物体に差し込んで内径を測る際に使用します。外側ジョウを「ジョウ」内側ジョウを「クチバシ」と呼び分けることも多いです。
ジョウと同様、一方はメインスケールに固定、もう一方がバーニアスケールと一緒にスライドする仕組みになっています。
●デプスバー
ノギスの後端についている細い棒のことで、バーニアスケールをスライドさせることで伸びる仕組みになっています。筒状のパイプやネジ穴、溝などに差し込んで深さを測る際に使用します。
ノギスによってはついていないものもあるため、使用する可能性が高い場合は必ずデプスバーが付いているノギスを選ぶようにしましょう。
その他、バーニアスケールを固定するために使用する「止めネジ」や、バーニアスケールをスライドさせる際に指がすべりにくいよう工夫されている「指かけ」など、各部に名称が付けられています。
正式名称はノギスの種類やメーカーによっても異なるため、販売元のホームページや商品の説明書などを参考にしてください。
さまざまな物の長さを正確に測定できるノギスですが、場合によっては測ることができないものもあります。例えば、ペットボトルの内径。口の部分はクチバシで測定できますが、ボトル内部は口が邪魔して真っ二つに切断しないと測定できません。
このように、測定したい場所の間に突起物がある場合や、ネジ穴の距離、クチバシが届かない奥の方で段差になっている管の内径など、一般的なノギスで測定できない部位の例を上げてみると意外に少なくありません。
そこで、それぞれの測定に特化した特徴的なノギスをご紹介します。
両丸口ノギスは、その名の通り測定器の部分が弧を描いた丸型のノギスです。
袋穴深部など、突起物が邪魔してストレートのジョウでは測定できない場所の数値を計測することが可能です。
ピッチノギスは、1本で側面から穴までの寸法や、穴と穴の間を測定できるノギスのこと。
丸穴に直角にジョウを差し込むことで、自然とノギスが穴の中央まで広がっていくため、穴の中心から次の穴の中心までの距離を正確に知ることができます。
インサイドノギスは内側測定に特化したノギスのこと。
管のより深い部分を測定するためにジョウを細長くしたものや、突起物のある管の内側を測定するためにジョウが垂直に折れ曲がった形状をしているものなどがあります。
アナログノギスは、メインスケールとバーニアスケールを合わせて読むことにより、0.05mmまで測定することが可能です。しかし、読み間違いが多く、測定値は正確なのにヒューマンエラーによってデータが狂ってしまうことが少なくありませんでした。
そこで、より精度が高く読み取りやすいダイヤル式のノギスが登場し、近年ではさらに間違いの少ないデジタル式のノギスが主流となっています。
「デジタル式は電池が切れると測定できない」という弱点をソーラー電池で克服したり、測定値をパソコンに送信できる機能を備えたりと、細かい部分でも進化を続けています。
一般的なアナログノギスの精度は0.05mmが一般的ですが、他にも0.1mm~0.02mmまでさまざまな精度のノギスがあります。
副尺目盛りの使い方によって精度が異なるため「JIS B 7507」を参考に、最小読み取り値(分解能)についてご紹介します。
参照元:JIS B 7507
ノギスはメインスケールとバーニアスケールの数値を掛け合わせて測定します。図のように副尺目盛りが0の位置でピッタリだった場合、寸法は50.00mmになります。
一方、50より少しズレていた場合、メインスケールとバーニアスケールの線がピッタリ重なる場所が小数点以下の数値になります。
図のノギスはバーニアスケールの目盛りが「39mmを20等分」しており、最小読み取り値は0.05mmです。
19mmを20等分した場合も同じ0.05mmの分解能ですが、分割寸法が短いため目盛りが読みにくくなります。分割寸法は長いほど目盛りが読みやすくなりますが、その分ノギスのサイズも大きくなります。
39mmを20等分した0.05mmの精度のノギスが最も多く使われているのも、数値が読みやすく、扱いやすいサイズであることが理由のひとつです。
ノギスの最小読み取り値は、一般的なアナログノギスで0.05mm、デジタルノギスなら0.01mmとなっています。しかし、寸法測定の目盛り位置と測定しているものの位置が一直線上にならなければ、きちんとした数値は測定できません。
そのため、必ずしも表示されている数値が正しいわけではなく、デジタルノギスでメーカー保証は±0.2mmとなっています。これは、ノギスの最小読み取り数値を考えると決して小さい数字ではありません。
ノギスの測定精度を上げるには、ドイツの科学者「アッベ」が提唱している原理をきちんと理解する必要があります。
これによると、ノギスの摩耗や劣化、メインスケールの歪み等が原因でジョウがメインスケールに対して直角でなくなった時、測定値には微妙な誤差が生じます。
誤差は「アッベの原理に合致しない誤差」の計算式で算出することが可能です。
アッペの原理に合致しない誤差
f=hθ=h a/ℓ
さらに、誤差については、測定器の歪みや摩耗だけでなく、測定者の測定方法によっても生じる可能性があります。
定期的に複数名で同じものを異なるノギスで測定してみるなどして、測定器に異常はないか、測定者の癖によって誤差が生じていないかを検証しておきましょう。
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