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C5191(りん青銅)の特徴、機械的性質、物理的性質

銅 | 2021年04月22日

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C5191は、りん青銅と呼ばれる金属材料の一種です。

りん青銅は、銅(Cu)とスズ(Sn)の合金である青銅に、りん(P)を加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。

C5191は、りん青銅のなかでもスズの含有量が多く、強度や耐摩耗性を向上させています。

参考:【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!

参考:リン青銅とは!?特性や用途について専門家が解説!

C5191(りん青銅)の特徴(導電性、耐摩耗性、耐応力腐食割れ)

C5191(りん青銅)は、展延性・耐摩耗性・耐食性・耐応力腐食割れに優れており、ばね材に適した材料です。JIS規格の【JIS H 3110:2018】では、高性能のばね性を要求するものは、ばね用りん青銅を用いるのがよいとされています。

C5191は、スズ(Sn)を5.5~7.0%と多く含有している金属材料です。りん青銅はスズを多く含有するほど、強度と耐摩耗性が向上しますが、その一方で導電性や熱伝導率の値は低下する特徴があります。

C5191の用途は、電気機器用ばね・スイッチ・コネクタ・ヒューズグリップ・しゅう動片軸受けなどが代表的です。

参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法

参考:銅の加工ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!

C5191の化学成分

<C5191 板及び条の化学成分(単位:%)>

合金番号

Cu

Pb

Fe

Sn

Zn

Mn

Ni

P

C5191

a)

0.02以下

0.10以下

5.5~7.0a)

0.20以下

-

-

0.03~0.35a)

注記

a):Cuを分析し、Cu+Sn+P=99.5以上とする。

引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条

C5191の機械的性質

<C5191 板及び条の機械的性質>


質別


製品記号

引張試験

曲げ試験

硬さ試験

厚さの

区分

mm

引張

強さ

N/mm2

伸び

厚さの

区分a)

mm

曲げ

角度b)

内側

半径b)

厚さの

区分

mm

ビッカース

硬さc)

HV

O

C5191 P-O

C5191 R-O

0.10以上

5.0以下

315以上

42以上

0.10以上

1.6以下

180°

又はW

厚さの

0.5倍

-

-

0.10以上

0.50以下

1/4H

C5191 P-1/4H

C5191 R-1/4H

0.10以上

5.0以下

390~510

35以上

0.10以上

1.6以下

180°

又はW

厚さの

1倍

0.10以上

5.0以下

100~160

0.10以上

0.50以下

1/2H

C5191 P-1/2H

C5191 R-1/2H

0.10以上

5.0以下

490~610

20以上

0.10以上

1.6以下

180°

又はW

厚さの

1.5倍

0.10以上

5.0以下

150~205

0.10以上

0.50以下



H

C5191 P-H

C5191 R-H

0.10以上

5.0以下

590~685

8以上

0.10以上

1.6以下

180°

又はW

厚さの

2倍

0.10以上

5.0以下

180~230

0.10以上

0.50以下

EH

C5191 P-EH

C5191 R-EH

0.10以上

0.20未満

635~720

-

-

-

-

0.50以上

5.0以下

200~240

0.20以上

5.0以下

5以上

SH

C5191 P-SH

C5191 R-SH

0.10以上

5.0以下

690以上

-

-

-

-

0.05以上

5.0以下

210以上

注記

a):各欄の上段は、試験片を板又は条の圧延方向に取った場合、下段は試験片を板又は条の圧延方向と直角に取った場合を示す。

b):曲げ試験の試験条件を示す。Wは、W曲げ試験を表す。

c):最小試験力は、1.961Nとする。

引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条

C5191の物理的性質

<C5191の物理的性質>

液相融点

(℃)

固相融点

(℃)

比熱

線膨張係数

(20~300℃)

[×10-⁶・K]

縦弾性係数

[kN/mm²]

導電率

[%IACS]

体積低効率

[10-3μΩ・m]

熱伝導率

[W/(m・K)]

比重

(20℃)

1045

910

377

18.0

105

13

133.0

67

8.83

引用元:阪根商事株式会社

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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