染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
製造業が業務効率化するためには何をすべきだろう、と考えている担当者もいるかと思います。少子高齢者社会で労働人口が減る中、今の生産量を維持するには、効率よく商品・サービスを生産することが大切です。
そこで本記事では、製造業が業務効率化すべき理由と難しいと考える原因、業務効率化で得られる効果・進め方を詳しく解説していきます。
まずは、製造業が業務効率化すべき理由について、以下3点を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の理由は、労働者の減少です。
日本では高齢化社会や少子化により働く世代の人口が減少しており、製造業で働く人の数も減っています。労働者の減少は、生産量の低下・品質管理の問題・納期遅延など、製造業にとって重大な問題を引き起こす可能性が高いです。これらの問題を解決するために、業務効率化が必要です。
労働者の減少への対策として、たとえばAIやロボット技術の活用があります。一部の作業を自動化することで、人手不足を補えるでしょう。AIはデータ分析にも利用できるため、生産性の向上につなげることも可能です。
労働力の減少が進む中、製造業は人材不足の影響を最小限に抑えて従来と同様の生産量や品質の維持・向上実現のためにも、業務効率化に取り組むべきです。
2つ目の理由は、競争力強化です。
製造業では、国内外の競争が激化しているため、生産コストを抑えること、品質・生産性の向上が求められています。業務の効率化により、時間・リソースの節約、製品の品質向上、顧客満足度の向上の達成が期待できるでしょう。
競争力強化への対策として、たとえば製造工程の自動化があります。工程を自動化すれば人的ミスを減らせるでしょう。生産スピードを上げ、一貫した品質を保てますし、人が対応するのに比べて少ないコストで24時間稼働できます。
製造業が業務効率化することにより、品質向上・生産性向上、コスト削減が可能となり、企業の競争力を強化できます。
3つ目の理由は、従業員の満足度向上です。
製造業が上手に業務効率化に取り組むことで、従来の不必要な作業・過度な労働の削減が可能です。これにより、従業員は空いた時間を自身のスキルアップや、自身が持つ知識を最大限に活用できる業務へと集中できるようになります。さらに、従業員のストレスが軽減され、職場での満足度や業務へのモチベーションが向上するでしょう。
従業員が満足度向上するための方法として、たとえば製造工程の自動化・AIの導入があるでしょう。従来の従業員の単純作業を代替することで、従業員がより高度な業務に集中できます。業務効率化により、従業員の業務への満足感を高め、自身の能力を発揮する可能性が高まるでしょう。
労働人口が減ったにもかかわらず業務効率化しない状態だと、企業に残された中堅、若手の負担も大きくなる一方です。従業員が安心して働ける環境を維持するためにも、業務効率化に取り組むべきです。
製造業が業務効率化を難しいと考える原因について、以下3点を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の原因は、人材不足です。
製造業が業務効率化を推進するためには、AIなどの新しい技術の導入・既存作業フローの見直しなどが求められています。これらを進めるには、その分野の知識・技術を持つ人材が必要です。
しかし、人材不足が深刻化している製造業では、新しい技術を理解し適切に管理できる人材を確保するのは難しい、と考えている場合もあります。たとえば、製造工程に自動化システムを導入することは、生産効率を大幅に向上できる可能性があります。しかし、人材が不足している場合、このようなシステムの導入は困難と考えるかもしれません。
人材不足は製造業において深刻な問題のため、そもそも業務効率化に取り組むのが難しい、と考えてしまう企業も多いです。
2つ目の原因は、属人化です。
属人化とは、特定の人に依存した業務で、その人がいないと業務が進行しない、または品質が保証できないという問題が生じます。
たとえば、特定の機械の操作方法を一人の従業員だけが理解している場合、その従業員が欠勤すると生産が停止してしまう可能性も高いでしょう。また、その従業員が退職すると、その機械に関する重要な知識・スキルが会社からなくなり、生産に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
属人化は製造業での業務効率化を難しくする原因の一つです。属人化を解消するためには、業務標準化・個人が持つ知識の共有化、そして従業員一人ひとりへの教育が重要です。
3つ目の原因は、組織間連携不足です。
製造業の効率化は、一部の生産部門だけでなく、在庫管理・物流・経理など、組織全体で連携する必要があります。しかし、各部門がそれぞれ自己完結で業務を遂行し、組織間の情報共有がされていないと、全体での業務効率化が難しいといえるでしょう。一部門のみが業務効率化に取り組んだ場合、他部門の作業負荷を増加させてしまうような場合もあります。
組織間の連携不足は製造業における業務効率化を難しくする原因です。業務効率化に取り組む際には、各部門間で情報共有し、組織全体で効率化に取り組むことが重要です。
製造業の業務効率化がもたらす効果について、以下3点を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
1つ目の効果は、コスト削減です。
業務効率化により、生産過程の無駄を削減でき、製品一つあたりの生産コスト(原材料、労働時間など)が下がる可能性もあります。たとえば、製造工程の一部業務を自動化することで、従来従業員が行っていた作業時間を大幅に削減し、労働コストを下げることも可能です。また、一定の時間で生産量を増やすことも可能です。
製造業が業務効率化に取り組むことで、コスト削減を実現でき、製品を生み出す業務が効率化し、無駄なコストもかからなくなり利益がアップするでしょう
2つ目の効果は、品質安定化です。
たとえば、製造プロセスをAIで自動化することで、製品のバラつきが少なくなり、品質も安定します。たとえば、ロボットやAIを用いた自動化により、人間の手作業に起因するエラーやばらつきを大幅に減らすことができます。また、センサー技術などを用いて品質管理を自動化すれば、品質に問題が見られたときの早期発見・迅速な対応も可能です。
製造業における業務効率化は、製品の品質安定化に大いに貢献し、企業のブランド信頼性を保ち、顧客満足度を高められるでしょう。
3つ目の効果は、顧客満足度向上です。
製造業が業務効率化に取り組むことによって、製品の品質も安定します。従来よりも、顧客に迅速かつ信頼性の高い製品を提供できれば、顧客満足度も向上するでしょう。たとえば、製造工程におけるデータ分析を自動化すれば、バグの少ない安定した品質の製品を顧客に届け、製品の信頼性を高められます。また、生産スピードも上がるため、一つひとつの製品にかける時間が減り、販売コストを下げられるかもしれません。
製造業が業務効率化に取り組めば、顧客満足度も向上し、信頼の獲得、企業の競争力を高めることにもつながります。
製造業が業務効率化を進める方法について、以下7点を説明します。
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
1つ目は、目的の明確化です。
製造業における業務効率化に取り組むときに明確な目標がなければ、効率化のための取り組みがばらばらになる可能性があります。その結果、業務効率化に取り組んでも効果が薄れること、効率化の取り組み自体が非効率的になってしまう可能性もあるでしょう。
目的を明確にすることで、組織全体が一致した目標に向かって進むことができ、最小限のリソース・コストで実施するなど、業務効率化のための活動を効果的に推進できます。
2つ目は、スケジュール立案です。
スケジュール立案とは、効率化の目標を達成するために計画を作成することです。スケジュールには、具体的なアクション、期限、担当者が含まれます。
スケジュール立案では、いつまでに、どのような順番で何をするのかを取り決めていきます。そのスケジュールを全体に共有することで、他の組織のメンバーが進行状況を理解でき、自分達の業務調整もしやすくなるでしょう。
スケジュール立案は他の組織の関係者も含めて、目標を意識しながらいつまでに何をすべきかを共有することが大切です。
3つ目は、現状把握です。
現状把握とは、製造業の現在の全体像を理解することです。現在の製造プロセスや生産量・使用技術・従業員のスキル・品質管理・データ分析方法などが挙げられます。
製造業が現状を理解すれば、改善が必要な工程やエリア、すでに効率化できている工程・エリアを明確に分け、業務効率化に取り組む際のリソースを集中箇所の特定も可能です。
現状把握は改善の箇所を明確にするためにも、製造業が業務効率化に取り組む際の重要なステップです。
4つ目は、改善策の提示です。
改善策提示では、現状把握に基づいて、業務効率化を達成するために具体的な提案や戦略を作成・提示していきます。たとえば、AIなどの新たな技術やツール導入・ムリムラムダ削除・業務プロセスの改善・従業員のスキル向上などが挙げられます。
改善策を提示するときは、実現に必要な人的リソースや時間を計算して、実現可能性や影響を評価することが大切です。問題ないと判断したら、業務効率化計画に組み入れていきます。
5つ目は、ツール導入です。
業務効率化を達成するために、AI技術・ソフトウェアなどを導入していきます。ツールを導入することで、生産速度向上・エラー減少・品質管理強化・人的リソース最適化など、さまざまな活用が可能です。
自社の効率化の目標に基づいているか、効果はどれくらい見込まれるか、コストはどれくらいかかるのかを評価してからツールを導入することが大切です。
ツールを導入すれば一気に自動化が進むでしょう。製造業が業務効率化を進める際の重要な手段といえます。
6つ目は、対策です。
対策実施では、具体的に業務効率化に取り組んでいくプロセスのことです。
改善策の提示やツール導入など、計画や提案があっても、それらが実際に取り組まれなければ、業務効率化を達成できません。そのため、対策を実施することで実際に取り組み効果を確認していくことが重要といえます。
7つ目は、評価です。
業務効率化への取り組みに対して、改善策の効果を定量的または定性的に判断していきます。評価方法として、KPI(業績指標)のトラッキング・従業員のフィードバック収集・比較分析などが挙げられます。
期待通りの効果が得られているのか、今後さらに改善が必要な部分はどこかなどを理解することで、継続的な業務効率化を実現できるでしょう。
本記事では、製造業の業務効率化すべき理由・難しいと考える原因・得られる効果・進め方について解説しました。
製造業は、少子高齢化による労働者の減少に対応するため、競争力強化をしていくためにも業務効率化に取り組むべきです。人材不足などで難しいと考えているかもしれませんが、上手に取り組むことで、コスト削減・品質安定化・顧客満足度向上を達成できるでしょう。本記事で紹介した進め方を参考に、業務効率化に取り組んでみてください。
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