アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる!

家庭用品や機械部品にも使用されているアルミ。

一円玉やアルミ缶の他にも、装飾品や建築材料など様々な製品に加工をすることができます。生活の中で見ることの多いアルミですが、その種類までご存じでしょうか?

アルミにも様々な種類があり、特徴も異なっています。その特徴を理解しておくことで、アルミ製品を買うときや加工メーカーに依頼する際にも非常に役に立ちます。

そこで、今回はアルミの種類について詳しくご紹介させて頂きます。「アルミって種類があるの?」と思っている方は勿論、これからアルミ加工を依頼しようとしている方にも、参考になる記事なので、是非ご一読して頂きたいと思います。

アルミの番手とは

日々、生活を支えてくれるアルミですが、切削加工などで使用されるアルミ材料のほとんどは、純度100%ではありません。純度100%で使用されないのは、アルミの性質に関係しています。

アルミは、軽く、さびにくいという性質を持っている半面、柔らかく傷つきやすい金属です。そのため、アルミのみで加工してしまうと、強度が不十分になってしまいます。強度を上げつつも、アルミの特性を活かした製品を作るには、別の金属類の特性を付与する必要があります。一般的には、マンガンや銅、ニッケルなどの性質を組み合わせています。

アルミの番手は、そんなアルミに異なる性質を付与した物を種類別に表したものになります。アルミの番手はアルミの頭文字である「A」の後に4桁の数字で表します。

アルミ材の種類とその使用例

アルミの種類は主に1000番手系~7000番手までに分類されており、1000桁台の数字が変わる度に特徴が大きく変わっていきます。今回はその特徴と使用例をご紹介します。

1000番手系

1000番手系のアルミは純アルミのことを表します。アルミの純度が99%以上の為、耐食性もや熱伝導率、導電性に優れています。しかしその半面で強度が低く、粘り気もある為、加工すると傷がついてしまったりするので扱いに注意が必要です。また、下二桁はアルミの純度を表してます。例えばA1100は、99パーセント以上の純度を表しており、A1050は、99.5%の純度を表しています。

1000番手系のアルミは、主に、強度がそれほど必要ではない部材や部品、家庭用品や電気器具などに使われます。

2000番手系

2000番手系のアルミは、ジュラルミンと呼ばれている番手です。アルミに銅を多く含有することで、高い強度を持っています。しかし、銅の特性上、酸化しやすいため、一般的なアルミよりも耐食性は低いです。その為、ジュラルミンを加工する際は、アルマイト処理などの表面処理を行うことをおすすめします。そうすることで耐食性をあげることが可能です。

また、アルミは溶接をするのが難しい金属ですが、このジュラルミンは通常のアルミ以上に溶接が難しく、すぐに溶接割れを起こしてしまいます。その為、溶接加工にはあまり向いていない素材です。

またA2024のアルミニウムは、超ジュラルミンとも言われています。

使用方法としては、機械などの部品のほかにも、ジュラルミンケースといった衝撃に強いケースとして使用されることが多いです。

3000番手系

3000番手系のアルミは、純アルミニウムにマンガンを含有することで、強度を上げつつ、耐食性を向上させたものです。この番手で代表的なものは、A3003といったアルミがあります。

一般的に切削加工の材料として使用することはあまりありませんが、アルミ缶の材料はこの3000番手系が多く使われています。アルミ缶のほかにも屋根材、パネル等の建築材、電球口金など、様々なものに使われています。

4000番手系

4000番手系のアルミは、シリコンが含有されているアルミニウムです。アルミの特性だけでなく、シリコンの特性を活かし、耐熱耐性と耐磨耗性を付与することが可能です。また他のアルミニウムと比較すると融点が低いため、ろう材や溶接溶加材として利用できます。

代表的なものに、A4032というアルミニウムがありますが、3000番手系と同じく、切削加工にはあまり向いていません。しかし、熱膨張が少ない為、鍛造ピストン等にも使用されています。

5000番手系

5000番手系のアルミは、マグネシウムを含有したものです。マグネシウムの特性を付与することによって、耐食性と強度を上げることが可能です。また、加工しやすいため、アルミニウムを材料とした切削加工には最適です。その為、切削材料としては最もメジャーな素材といえます。

代表的なものはA5052という板材が挙げられます。使用例としては、主に船舶や車輌などの強度を求められる物に使用されています。

6000番手系

6000番手系のアルミは、シリコンとマグネシウムの両方が加えられています。5000番手系のアルミニウムと比較しても耐食性や強度が優れています。また6000番手系には、熱を加えることで、さらに硬化する物もあります。しかし、溶接等に弱く、アルミのメリットである熱伝導率の関係で、溶接箇所以外にも熱が広がってしまい、周辺部位まで強度低下が起きてしまうことがあります。その為、ボルトやナット、リベットなどの機械的な接合が用いられることの多い材料です。

表面処理を施すことで、陽極酸化皮膜が得られるという特徴もあるため、主に建築用サッシなどの構造材に使用されることが多いです。

7000番手系

7000番手系のアルミには、亜鉛とマグネシウムが加えられています。熱処理をすることで強度が上がり、全アルミニウムの中で最硬度になります。また、非常に折り曲げや引っ張りに対して強い性質を持っています。さらに、アルマイト処理することで、様々な性質を付与することができます。

7000番手系の代表的としてA7075が挙げられます。このアルミは、超々ジュラルミンと言われており、2000番手系のアルミを遥かにしのぐ硬度を持っています。耐久性を必要とするようなものに使用され、車や飛行機の部品やスポーツ用品、そしてスマートフォンの筐体などに加工されています。

よく使われるアルミ材の種類

説明したようにアルミ材にはたくさんの種類があります。ここでは、身の回りで、また金属加工でよく使われているアルミ材について説明していきます。

A1050

純アルミに分類されるA1050は、アルミ材の中でも耐食性が高く、導電性に優れることから送配電用の材料として用いられています。電気伝導率は銅より低いものの、軽量かつ低コストなため、銅の代替材料として電線の置き換えが進んでいます。

アルミ純度99.6%以上のA1060と99.7%以上のA1070も導電材として広く用いられています。

A1N30

A1N30は、優れた展延性や耐食性を示すことから、薄箔用材料に用いられている材料です。食品用のアルミ箔はもちろん、薬品や日用品のほか、コンデンサの材料として使用されています。

なお、A1N30のNは、日本独自の合金であることを表す記号です。

A2017(ジュラルミン)

銅系アルミニウム合金のA2017は、熱処理によって高強度化することが可能な上、切削加工性に優れるため、金属加工で広く用いられているアルミ材です。航空機や自動車の構造部材、機械部品などに使われています。

A3004

マンガン系アルミニウム合金のA3004は、A3003にマグネシウムを1%程度添加することで強度を増した合金です。耐食性が高く、プレス加工性に優れていることから、アルミ缶のボディ材に使われています。

A5052

マグネシウム系アルミニウム合金のA5052は、金属加工の材料として最もよく使われているアルミ材です。板金加工にも向いており、板状のアルミ合金では、最も流通量が多い材料です。

A5182

A5182は、マグネシウムの添加量が多く、5000番手系の中でも高い強度を持つアルミ材です。アルミ缶の蓋材に使われていることで有名な合金です。

A6061    

マグネシウム-ケイ素系アルミニウム合金のA6061は、熱処理によって高強度化が可能で、押出成形に向いていることから金属加工で広く用いられているアルミ材です。車両や機械の部品、建材や各種構造部材などに用いられています。

A6063

A6063は、アルミサッシの材料として知られているアルミ材です。A6061より強度は低いですが、押し出し性はより優れているため、複雑な形状に成形することができます。

まとめ

今回はアルミの種類についてご紹介させて頂きました。

アルミにも様々な種類があり、どれも特徴や性質が微妙に異なります。アルミ製品を購入する際や、アルミ加工の依頼をする前には、何の用途で使用するかを考えてから、アルミの種類を選ぶことをおすすめします。

この記事を読んで、今までアルミの種類について知らなかった方や、知っていても疑問が残っていた方々に、少しでもお役に立てれば幸いです。

また、アルミ加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。

Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な素材の選択に加えて、アルミ加工の得意な工場のご紹介も可能です。

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