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話題の防錆剤とは?種類や成分、おすすめ商品を紹介

金属加工 | 2022年01月07日

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この記事を監修する専門家

オフィス村元合同会社

代表 村元弘和 氏

(元 ㈱村元工作所 タイ地域責任者)

錆とは、金属が酸素や水と反応し、生成される腐食物。金属製品を在庫保管する際、海外へ輸出する際など、製品劣化を防ぐために防錆は必須条件です。これまでの一般的な防錆対策は、グリースや防錆油を金属製品の表面に塗布する方法でしたが、作業コストの低減、環境負荷の低減といった観点で見直しが図られているテーマでもあります。

さらに、金属製品の精密化、高度化によって、フィルムやシート状の防錆剤のみならず、気化性の防錆剤やノンウェットのスプレー防錆剤など、新たな防錆剤も開発されています。そこで今回は、さまざまな種類がある防錆剤を詳しくご紹介します。

防錆剤とは?

金属製品の錆を防ぐ防錆剤は、主に鉄に用いられる薬剤のことを指します。鉄以外の金属に対する薬剤は、錆ではなく腐食を防ぐという意味から腐食防止剤、防食剤と呼ばれます。

防錆剤には、用途や製品などに応じて使用法が異なるため、さまざまな種類があります。最も多い種類としては、金属の表面に皮膜を形成するもの。一般的に市販されている防錆スプレーなどもこの系統になります。それ以外にも還元剤や酸素を除去する補足剤など、さまざまな種類があります。

防錆剤の種類

錆の発生を防ぐのは、水や酸素による影響をいかに遮断するかにかかっています。一般的に金属製品の錆を防止するために施されるコーティングの方法としてメッキを用いた金属皮膜、合成処理などを使った無機皮膜、油やゴム、プラスチックなどでコーティングする有機皮膜の3種類に大別されます。

いずれの処理を用いても、永久的に錆を防ぐことは困難で、あくまでも一定期間、錆びにくい環境を作り出しているにすぎません。そのため、防錆の良し悪しによって金属部品の防錆期間が決められ、一定期間を経過すると再度防錆処理を行わなければ錆が発生してしまいます。

錆止め油

錆止め油は、金属の表面に油や添加剤で防護膜を形成することで、酸素や水を遮断する防錆剤のこと。めっき加工以外の手段では最も広く浸透している防錆方法です。

JISK2246には、指紋除去形防錆油、潤滑油形防錆油、溶剤希釈形防錆油、防錆ペトロラタム及び気化性防錆油の5種類に分かれています。

錆止め剤

油以外に用いられる防錆剤として、気化性、水溶性を持つものを錆止め剤と呼んでいます。気化性防錆剤には、鉄鋼や鉄合金以外に、銅や銅合金、他の非鉄金属にも用いられます。

鉄鋼用として代表的なものはジシクロヘキシルアンモニュームナイトライトやジイソプロピルアンモニュームナイトライトなどがある。それ以外に、さまざまなアミンのカプレート、ラウレート、カーボネートなどがあります。

銅用はベンゾトリアゾールやアルキルベンゾトリアゾールなど、鉄とは異なるものが用いられます。

錆止め紙・錆止めフィルム

錆止めの中には、錆止め紙や錆止めフィルムが用いられることがあります。金属を防虫剤のように紙やフィルムでコーティングすることで錆から防ぐことができます。

防錆油などを使用しなくても、紙やフィルムで包むだけで高温多湿・結露の心配のある金属製品を錆から守ってくれるので、製品の輸送などに主に用いられます。

一般的に、時間経過によって防錆性能が落ちることはありませんが、使用方法や保存方法を誤ると防錆効果を発揮できない場合があるので、取り扱いには注意が必要です。

その他の錆止め剤

上記3種類以外にも、可剥性プラスチックスや、シリカゲルをはじめとする乾燥剤や脱酸素剤、インヒビターやキレート化合物なども防錆剤として活用されます。

中でも可剥性プラスチックスには浸漬またはスプレーでコーティングする塗装形や、加熱溶融してコーティングする熱間浸漬形の2種類があります。

防錆剤の成分

防錆剤にはさまざまな成分が使用されます。

揮発性の防錆剤として用いられる吸着型の防錆剤は、アミン系の有機化合物、アミン類の亜硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩などが用いられます。

循環冷却水などの密閉水中環境において用いられる防錆剤として、リン酸塩やケイ酸塩、メタケイ酸塩などが使用されます。また、銅にはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカトベンゾチアゾール等があります。

配管系の炭素鋼に使われる不動態型の防錆剤は、亜硝酸塩やモリブデン塩酸、タングステン塩酸などが用いられます。

酸素を除去することで防錆効果を発揮する脱酸素型の防錆剤はヒドラジン、亜硫酸塩などが使われます。

その他、湿気を取り除くことで腐食の発生を抑える手段として、生石灰やシリカゲル、塩化カルシウムやシリカアルミナゲル、デシクレイ、合成ゼオライト、水酸化ナトリウムなどがあります。

おすすめの防錆剤を紹介

防錆剤はニッチな業界、且つ製造の技術障壁が高く、世界的にも防錆剤メーカーは限られます。その中でも網羅的な製品ラインナップのある大和化成株式会社の製品を3種類、ご紹介します。

一般的な防錆油による処理と比較してトータルコストが廉価で、自社工場内が清潔に保たれるだけでなく、納入先での洗浄や組み直し作業が発生しないため、取引先に喜ばれる防錆剤です。

VERZONEメタシードK

メタシードは、気化性防錆剤を溶剤に溶かしたスプレータイプの防錆剤。べたつきのない防錆剤で主に油分を嫌う金型や計測器、ジグ等、工具に用いられる防錆剤で、金型においては使用時に樹脂による熱で成分が気化するため、金型に使用しても樹脂製品に悪影響を与えません。金型以外にも自動車部品や精密部品等の出荷輸送間防錆、保管用防錆としてノンウェット防錆剤として用いられます。

金属製品を防錆しないといけないが、次工程でのパーツフィーダーを通すので防錆油の使用が禁じられている場合や、溶接作業があり防錆油の使用が禁じられているときなど様々なシチュエーションで使用が可能です。

VERZONEエコスーパーK

気化性防錆剤(気化した防錆成分で金属を防錆する薬剤)鉄鋼や鋳鉄の他に、亜鉛やアルミニウムに対しても優れた防錆効果を発揮する防錆剤です。金属製品と同梱するだけで防錆が可能となります。さらに近年の環境規制にも対策済みで亜硝酸塩や、PRTR精度指定の化学物質を一切含んでいない、安全性の高い防錆剤です。毒劇法、消防法、労働安全衛生法をはじめとする法律の面から見ても極めて安全性が高い上、即効性が高く、長期間の防錆が可能。防錆油を使用しないため、クリーンな作業環境を保つことができます。

金属製品と一緒に包装するだけで防錆が可能となる事から、出荷防錆だけではなく仕掛品や滞留部品、長期連休期間の防錆処置としても注目されています。

VERZONE IFC-30

特殊な防錆剤を配合した水溶性の防錆剤でプレス機、ダイカストマシン、樹脂成型機の循環冷却水に少量添加することで、高い防錆効果を発揮します。

ごく少量の添加で防錆が可能であるため、ボイラーや熱交換器の製造後の水張試験(リーク試験)にもご使用いただく事が出来、試験水は下水道にそのまま排水が可能です。


※上記商品に関するお問い合わせは、金属加工プラットフォーム「Mitsuri」を運営する株式会社Catallaxyより可能です。

メール: info@catallaxy.me

電話: 03-4405-6976

担当: 経営企画責任者 木村

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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