2025-01-15
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本シリーズでは、溶接加工に関する知識が全くない方でも、読み進めていくことで溶接加工について理解できるようになることを目標にしています。
シリーズ第2回目の本記事では、溶接の1種である「融接とは何か?」を理解するために、加工法の定義や種類、メリットデメリット、圧接との違いなどを解説します。
融接は、場合によっては溶接=融接として解説されることもあるくらい、溶接の中でもとりわけ一般的な溶接法です。
具体的な加工法は、被溶接材料(母材)の溶接部を加熱して、被溶接材料同士を融合させて溶融金属を作り、冷却とともに凝固させて接合するというもの。
文字で説明すると一見分かりづらいと思いますが、画像のような、火花を散らしながら作業するいわゆる溶接のイメージをしていただければ、それらがおおむね融接に該当します。
なお、被溶接材料同士のみで接合するケースのほか、溶加材を加えて接合の補助とするケースもあります。また融接では、被溶接材料に機械的圧力を加えることは基本的にありません。圧力を加えて接合する圧接については、シリーズ第3回で解説します。
次に、融接に分類される代表的な溶接法を、それぞれの詳細や主な用途と合わせてご紹介します。
アーク溶接は、アーク放電という気体中に生じる放電現象を利用した溶接方法です。
アーク放電とは、炭素やタングステンなどからなる電極を、電流を流した状態で接触し引き離すと起こるもので、非常に強い光を発するのが特徴です。身近なものでは、家電などのプラグをコンセントから引き抜いたときに発生するスパークなどが挙げられます。パソコンやスマホなどの充電器を、接続した状態で引き抜いた際に、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
溶接で使用するアークは、高いものでは中心部で約16,000℃、外周部で約10,000℃あると言われていて、これは太陽の表面温度を超える温度です。あらゆる母材を溶融させるのに、十分な熱量があることがわかります。
主な用途は、以下の通りです。
・自動車フレーム
・電子機器筐体
・そのほか、大型小型問わず、さまざまな機械のフレームなど
代表的なアーク溶接としては、以下のようなものが挙げられます。
代表的なアーク溶接
・被覆アーク溶接
・TIG溶接(ティグ溶接)
・ガスシールドアーク溶接(ミグ溶接、マグ溶接)
・サブマージアーク溶接
・セルフシールドアーク溶接
・スタッド溶接
・エレクトロガスアーク溶接など
なおアーク溶接には、自動化が行いやすい反面、母材に変質・変形が生じやすいなどのデメリットがあります。アーク溶接の詳細に関しては、本シリーズ第4回以降で解説しますのでそちらも参考にしてください。
アーク溶接以外の代表的な融接法としては、次のようなものが挙げられます。
ガス溶接は、可燃性ガスの燃焼によって得られる熱を利用する溶接方法です。アーク溶接と同じく広く普及している溶接方法のひとつで、鉄鋼・ステンレス鋼・チタンなどの加工に用いられることが多いです。
レーザ溶接は、レーザ光線から発生する熱を利用する溶接方法です。局部的で微細な溶接が可能で、精密機器などの溶接に用いられる傾向があります。そのほか、他工法では困難な、異種材料の溶接が比較的容易というのも大きな特徴です。
ただ非常に精密な扱いが必要なため、溶接箇所の密着精度や溶接面の管理が不十分な場合、ブローフォールやクラック等の溶接欠陥が発生する原因になります。
電子ビーム溶接は、フィラメントから放電された電子を母材に衝突させて、その際に生じる熱エネルギーを利用する溶接方法です。特徴は真空中で溶接を行うことによる、歪みの少なさ。大気の汚染もなく、深い溶け込みが得られることで知られています。しかし一方で、溶接機械自体が非常に高価で、大気汚染がない代わりに、X線放射といった問題があります。
主な用途は、タングステン・チタン・モリブデンなど、他の溶接法では加工が困難な材料の加工。用いられる材料の特徴から、自動車部品から航空部品などの製作に用いられることが多い加工法です。
溶接には、融接以外に圧接とろう接という加工法があります。それぞれの特徴と比べた、融接法のメリットデメリットを確認してみましょう。
なおここまでご説明した通り、融接法と一口に言っても非常にたくさんの種類の加工法が含まれるため、そのメリットデメリットを語ることは簡単ではありません。
そのため続いて解説するのは、すべての融接法に当てはまる特徴というよりも、あくまでもそういった傾向がある、といった程度に認識していただければ幸いです。
融接法が他の溶接法、圧接やろう接よりも優れている点としては、主に次のような点が挙げられます。
融接法のメリット
・形状、サイズを問わず加工しやすい
・種類が多く、材料に合わせた加工法を選定できる
・精密な加工が可能な溶接法が多い
・加工法によっては自動化が可能で、ランニングコストが抑えられる
・一定の強度が確保できる
対してデメリットは次の通りです。
融接法のデメリット
・局部的に溶接するため、ブローフォール、クラックなどの問題が生じやすい
・技術者の熟練度によって、仕上がりや品質に大きな差が生まれる
・圧接ほどの強度はない
・選定した加工法によっては、機器導入などにコストがかかる
「ゼロからわかる!溶接加工!」シリーズ、第2回は代表的な融接法や、そのメリット・デメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。これだけではまだまだイメージしづらい部分も多いと思いますが、溶接加工を本当に理解するためには、ひとつひとつの工法を掘り下げるだけでなく、関わる工法を網羅的に把握する必要があります。
次回は圧接法について解説し、その後はアーク溶接やレーザ溶接など、溶接の中でも代表的な加工法について詳細に紐解いていきます。
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