樹脂加工は繊維や紙だけでなく、日頃よく目にするような生活用品や、精密機器の部品などに採用されています。樹脂には種類が豊富にあり、用途によって使い分けることで低コストかつ高い機能を実現できます。
樹脂加工には、繊維や紙の表面に合成樹脂を施して風合い・手触り・防水・防縮などの機能を改善する意味もありますが、今回は樹脂自体を加工する方法について解説しています。
樹脂加工に用いられる素材「樹脂」とは
図1:樹脂加工とは
樹脂とは植物から取れる植物の樹液のことで、別名「やに」とも呼ばれます。樹脂の種類は、大きく分けて「天然樹脂」と「合成樹脂」の2種があり、それぞれで特性が異なります。
天然樹脂は植物由来の素材
マツやモミなどの樹の幹から分泌されたかたまりを「天然樹脂」と呼びます。元々、粘度の高い液体である天然樹脂は、空気に触れることで揮発成分が揮発して固体化しています。天然樹脂は、水に溶けにくく、アルコールなどの有機溶媒に溶けやすいのが特徴です。
代表的な天然樹脂に、松脂・漆・天然ゴム・琥珀があります。
松脂は、松の木から分泌され、医薬品の原料やインク、滑り止めのロジンバッグなどに使われます。漆は、ウルシノキから採取される樹液を加工した、天然樹脂の塗料です。天然ゴムは、ゴムノキから採取できる弾力性のある材料。琥珀は樹脂が化石化したもので、宝石としてだけでなく、香料として利用されることもあります。
合成樹脂とはプラスチックのこと
合成樹脂の特徴 | |
優れる点 | 軽量性 |
絶縁性 | |
耐薬品性 | |
劣る点 | 耐熱性 |
耐衝撃性 |
合成樹脂とは、石油を原料として人工的に製造された高分子物質のことです。日常的に使う「プラスチック」の別名です。合成樹脂は軽量性・絶縁性・耐薬品性に優れていますが、耐熱性・耐衝撃性に乏しいのが特徴です。
合成樹脂には、大きく分けて「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類があります。
図2:合成樹脂の分類
(1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、加熱すると柔らかくなり、冷やすと再度固まる性質を持ちます。成形するのが容易で汎用性も高いことが特徴です。流通している合成樹脂のほとんどが、熱可塑性樹脂です。
(2)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は、加熱を続けると硬化する性質を持ちます。熱可塑性樹脂と違い、再加熱しても柔らかくならないため、基本的に成形は一度しか行えません。
さらに熱可塑性樹脂には、「汎用樹脂」と「エンジニアリングプラスチック(エンプラ)」といった種類があります。
a. 汎用樹脂
汎用樹脂は、日常でよく使われている家庭用品・雑貨・包装材料などに採用されています。代表的な素材は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなどです。いずれも価格が安価で量産しやすく、加熱で軟化する性質があります。
b. エンプラ
エンプラは、工業用として耐熱性や機械的強度を向上させた合成樹脂です。金属ではオーバースペックになってしまうものの、汎用樹脂よりは耐熱性や強度が必要となる場合に採用されています。
エンプラは、さらに「汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)」と「スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)」に分かれます。
(a) 汎用エンプラ
汎用エンプラは、主に自動車や電子機器の部品などに採用されています。そのなかでも、ポリアミド・ポリカーボネート・ポリアセタール・変性ポリフェニレンエーテル・ポリブチレンテレフタレートは、「5大汎用エンプラ」と呼ばれており、エンプラ全体の使用率のほとんどを占めています。
(b) スーパーエンプラ
スーパーエンプラはエンプラのなかでもさらに高性能で、高い耐熱性や耐溶剤性を有した材料です。
樹脂加工(品)の用途例
代表的な各材料の用途例の一覧表です。
(1)汎用樹脂の用途例
汎用樹脂は、100℃前後で溶けてしまう材料です。そのため、耐熱性を必要としないところで採用されます。
分類 | 略号 | 用途 |
ポリ塩化ビニル | PVC | 排水管・包装用フィルム・絶縁カバー |
ポリエチレン | PE | 日用雑貨・パイプ・容器類 |
ポリプロピレン | PP | 調理用具・家電製品・自動車部品 |
ポリスチレン | PS | 電機部品・食品容器・文具 |
アクリル | PMMA | ディスプレイ・壁・看板・水槽 |
アクリロニトリルブタジエンスチレン | ABS | 家電製品・電気製品・自動車部品 |
(2)汎用エンプラの用途例
汎用エンプラは、耐熱温度が100℃を超えます。強度に優れた材料です。
分類 | 略号 | 用途 |
ポリアミド(ナイロン) | PA | 自動車部品・電気製品・衣類・釣り糸 |
ポリカーボネート | PC | ランプ・窓ガラス・電子レンジ用食器 |
ポリアセタール | POM | 水道メーター・歯車・洗濯機 |
変性ポリフェニレンエーテル | m-PPE | OA機器・ケーブルカバー |
ポリブチレンテレフタレート | PBT | 時計部品・カメラ部品・電動工具 |
ポリエチレンテレフタレート | PET | ペットボトル・たまごパック |
(3)スーパーエンプラの用途例
スーパーエンプラは、150℃以上の耐熱温度を有し、耐久性や耐溶剤性に優れています。
分類 | 略号 | 用途 |
ポリフェニレンスルファイド | PPS | 電気コネクター・歯車・表面保護材 |
ポリエーテルエーテルケトン | PEEK | 光ファイバー・絶縁材料・化学プラント部品 |
ポリイミド | PI | 航空機部品・ベアリング・電子部品 |
ポリアミドイミド | PAI | 電子レンジ・歯車・半導体製造装置 |
液晶ポリマー | LCP | 光ファイバーコネクター・軸受け部品 |
ポリサルフォン(ポリスルホン) | PSF | 光学部品・プリント基板・歯科用具 |
(4)熱硬化性樹脂の用途例
熱硬化性樹脂は、耐熱性と強度に優れた材料です。ただし、熱可塑性樹脂と比べると、耐衝撃性に劣ります。
分類 | 略号 | 用途 |
フェノール樹脂 | PPS | 灰皿・ベアリング・やかんの取っ手 |
メラミン樹脂 | PEEK | 化粧板・台所用品・電気スイッチ |
エポキシ樹脂 | PI | 塗料・接着剤・コネクター |
尿素(ユリア)樹脂 | PAI | 電気スイッチ・文具 |
ポリウレタン | LCP | 塗料・スポンジ・建材部品 |
樹脂加工の方法は成形加工と切削加工の2種類
樹脂加工には、大きく分けて「成形加工」と「切削加工」の2種類があります。
(1)大量生産向き「成形加工」
図3:樹脂加工の方法(成形加工)
成形加工は、熱により溶融させた樹脂を金型に入れて成形し、冷却して固化させる方法です。製品を量産するのに適しています。ただし、熱硬化性樹脂は冷やしても固化されないため、さらに加熱や加圧をし、化学反応を起こすことで固めます。
成形加工には、上表のように射出成形・押出成形・圧縮成形・ブロー成形など、豊富な加工方法があります。「成形」と名前が付いている加工は、基本的に金型を使った製法です。樹脂の流動性・収縮性・熱安定性・離型性などを考慮して、成形方法を決めています。
(2)少量特殊向き「切削加工(旋盤加工、フライス加工)」
図4:切削加工の種類
切削加工は、機械や人の手で樹脂を切ったり削ったりして加工する方法です。成形加工が大量生産向きであることに対して、切削加工は、少量生産や特殊な加工が必要な場合に用いられることが多いです。切削加工では、大きく分けて旋盤加工とフライス加工の2種類があります。
a. 旋盤加工
旋盤加工は、円筒形状の樹脂を機械にセットし回転させながら、固定してある刃物で加工します。手動で旋盤加工する機械のことを「汎用旋盤(普通旋盤)」、コンピューターにより動作を制御しての加工を「NC旋盤」といいます。
参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!
b. フライス加工
フライス加工は旋盤加工と逆で、被加工材を固定し、回転した刃物を当てて削り出す加工方法です。被加工材の表面を平面状に削れるほか、段付きや穴・溝も設けることが可能です。
フライス加工にはさらに、手動で操作する「汎用フライス」、コンピューターで加工数値を制御する「NCフライス(CNCフライス)」があります。そのほかにも、加工内容を数値制御し、豊富な工具を自動で使い分けて加工する「マシニングセンタ」も多くの工場で利用されています。
参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!
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